上海センターブラウンバッグランチ(BBL)セミナー 第6回
「世界の援助潮流と東アジアの開発課題」
日時 2005年 6月30日(木)12:15-13:45 |
講演概要 | |
本年7月に英国で開催されるグレンイーグルス・サミットに向けて、アフリカ支援をどのように行ってゆくか、同時に、我が国のODAをどのように増加させるか、が、大きな課題となっている。これらの課題は、今年のサミット、そして9月に予定されている、ミレニアム+5の国連総会へ向けて、極めて今日的な課題となっているが、実は、これらの課題は21世紀に入って以降、先進国間で共有された課題である。 本講演で取り上げたのは、まず、途上国側の課題として、MDGsの達成と貧困削減という大目標、その上でミクロ・マクロの貧困トラップの存在の実証と、その政策的含意、これらの貧困削減の鍵となりうる途上国自身のガバナンス強化のメカニズムについてである。同時に、これらの途上国側の課題に応えるかたちで、援助側である先進国も課題を負っている。 アジアについては、投資は活発であるが、さらなる成長を得てゆくためには、FTA・EPA(自由貿易協定・経済連携協定)のようなより広域の市場を作り出す動きが重要である。これまで、十分な成長とはいえなかったベトナム、カンボジア、ラオスのような国を含んで、より広域の市場が形成されれば、活発な投資は持続し、それが更なる貧困削減へと寄与する可能性がある。すなわち、東アジアにおいては、まず、市場の形成を一層促進し、その動きを開発援助で補完することを中心として、今後の日本の貢献を考えてゆく必要がある。 (本稿は6月30日に開催された上海センターブラウンバッグランチ(BBL)セミナーでの講演を和田義郎氏にまとめていただいたものである。) |