「中国東北部振興における日本の役割

 共催  京都大学経済学会

 日時  2006年2月28日(木) 14:00〜

 会場  経済学研究科3F 第311教室

 講師  楊棟梁 南開大学日本研究院院長
        玄東日 中国延辺大学人文社会科学院副院長

 講演概要
 (玄東日)
 

 中国のWTO加盟と国内改革テンポの加速にしたがって、港湾業は新しい発展の段階に入った。すなわち、港のサービス市場は次第に独占的な市場からますます激しくなる競争的な市場へ変わっている。2002年東アジア地域(北東アジア、東南アジア)における主な港のコンテナ輸送量は、12,130.2TEUとアジア地域の91.4%、さらに全世界における主なコンテナ港100ヶ所のコンテナ輸送量の53.8%を占め、世界最大のコンテナ集散地域となった。中国の経済成長を支えている珠江デルタ、長江デルタ、環渤海地域の三大港群は基本的に形成された。中国の港は、その世界中での地位を大幅に上昇させただけでなく、多元的な競争体制を形成し、その重心も次第に北へ移動している。?1.中国東北地域の港湾物流情況 遼寧省の沿海港群は、大連と営口を主力港、丹東と錦州を地域レベルの港、盤錦と葫芦島を補充的な港として形成された。2004年遼寧省の各港の貨物輸送量は24,160万トン、そのうち、大連港と営口港の貨物輸送量がそれぞれ60%と25%を占めた。(1)大連と営口を始めとする遼寧省の港群

1)大連港の発展現状大連港は東北地域の最も重要の港として、ずっと東北地域の海運貨物の輸送を担ってきた。現在黒龍江省、吉林省、内モンゴル東部の海運貨物の約95%、67%、70%が大連港を通じて輸送されている。遼寧省の海運貨物のうち、その一部が営口、丹東、錦州、錦西などの中小港を通じて輸送され、それ以外は基本的に大連港を通じて輸送される。

大連港はまた北東アジア地域の油類輸送の中継センターで、主に原油、加工油、液体化学工業製品の貯蔵と輸送を行っている。15万トン級のタンカー、さらに20万トン級タンカーも17.5万トンを積載した場合には接岸可能で、アジア最先進のバルク液体化学工業製品の海運基地である。また、北東アジア地域における最大のバルク穀物の中継港であり、中国最大の海上客運港でもある。

 中国内陸部から港を通じて移出入される主な貨物種類は、石油、穀物、雑貨(コンテナ貨物も含む)であるが、それぞれ総輸送量の47.4%、16.1%、16.0%を占める。金属鉱石、鋼鉄、石炭、化学肥料および非金属鉱石などの毎年輸送量は、それぞれ100250万トンで、主にカナタ、アメリカ、日本、ロシアなどに輸出される。 長年の市場育成を通じて、大連港の海運中継網は次第に成熟している。現在は主に環渤海地域の中継輸送を展開しており、天津、錦州、畑台、威海、龍口、営口など環渤海諸港との航路を持っている。また、大連港は瀋陽、長春、長春南、ハルビン、延吉に至る五つのコンテナ輸送ルート持ち、海陸連運網は東北地域の主な都市に及んだ。水路、鉄道、道路などの輸送手段より組織された現代的な交通網は、環渤海地域と東北内陸地域に及んでいる。 大連港の発展は大まかに以下の三つの時期に区分できる。第一、1991年以前の港輸送能力が相対的不足し、滞貨状態がひどかった時期である。この時期に東北地域の輸出が主に資源輸出に偏っていたため、港において貨物の滞貨状態が続いた。輸送量はずっと中国海港の中で前三位を維持し、そのうち、輸出入貨物の輸送量は一度第一位を占めた。

 第二、19911998年の輸送量が緩慢に増加した時期である。この時期は、東北地域経済の移行期が始まり、重工業中心の国有大中型企業の困窮、さらに港の建設が船舶大型化発展の需要に適応できなかったため、輸送量は緩慢な増加を余儀なくされた。

 第三、1999年から内陸の経済が回復し始め、港の建設と輸送量も高い成長期に入った。この時期は、東北地域経済の移行期が終盤に入り、国有大中型企業も次第に困窮から抜け出し始め、港の貨物量も大きく増加した。1999年から2003年までの5年間、大連港の貨物輸送量は5,100万トン近く増加し、年平均増加率は13.6%に達した。

2)営口港の発展現状 

 営口港は、遼寧省の中部都市群と最短の距離にある。すなわち、中部都市群はすべて半径250km以内に位置しており、輸送距離が最も合理的である。したがって、陸路輸送からすると輸送コストが一番安い。

 また、営口港は東北内陸地域と内モンゴル東部地域からも最短の距離にある海港で、大連港に比べ180kmほど短く、陸路輸送コストも約1020/トン安い。営口港??港区は瀋陽−大連高速道路、ハルビン−大連国道、長春−大連鉄道と連結され、北の瀋陽までは210km南の大連までは180kmと交通が非常に便利で、比較的高い貨物集散能力を備えている。特に、陸路輸送コスト差異の影響は、海運距離が短い貨物ほど顕著にあらわれる。

 現在営口港には、生産性バース25個、1万トン級以上のバース17個あり、各種のばら積み貨物の荷役が可能であるだけでなく、コンテナ、加工油、液体化学工業製品、自動車などの専門バースも備えるなど、港湾施設が完備され、機能も万全である。東北地域からの非金属鉱石の移出は、ほぼ営口港を通じて行われる。また、東北地域における毎年100万トンの化学肥料の大部分も営口港を通じて輸送され、鉄鉱粉、?粉も主に営口港を通じて輸出される。(2)吉林省延辺地域の図們江出海物流の現状

吉林省の東部に位置している延辺地域は、吉林省から水路を通じて日本海に至る唯一のルートである。中国政府の積極的な後押しの下で、1995年に「借港出海」(港を借りて海に出る)の歴史的な第一歩を踏み出し、延吉―琿春―圏河―羅津(北朝鮮)―釜山(韓国)のコンテナ陸海連運ルートを開通した。さらに1996年に琿春―ザルビノ港(ロシア)―尹予三島(日本)の陸海連運ルート、1999年に琿春―ポシェット(ロシア)−秋田(日本)のコンテナ陸海連運ルート、2000年に琿春―ザルビノ―束草の貨客陸海連運ルートを開通した。また、琿春―ザルビノ鉄道を通じて、ロシア極東地域の各海港に至り、さらに日本の新潟、韓国の束草まで輸送できる。図們−南陽(北朝鮮)−清津鉄道を通じて、清津港も利用できる。

 図們江出海物流ルートは、輸送距離において優位に立っている。琿春の長嶺子通商口からロシアのポシェット港を通じて、日本の秋田に至るルートの輸送距離は、道路54km、海上500海里と、大連から日本に至るルートより約674海里近く、輸送時間は47時間短縮でき、運賃もコンテナ一個当り100ドル節約できる。

2から分かるように、延辺地域の「借港出海」のルートは、大連港と比べて、日本海沿岸地域および太平洋沿岸地域との距離を大きく短縮した。もし延辺を経由してザルビノ港に、さらに新潟、横浜、バンクーバー、サンフランシスコまで至る航路は、大連港経由の航路より1000海里以上短縮できる。

 1990年代の前半期、延辺地域の辺境貿易は黄金の時期を迎えていた。当時中国国内における建設ブームは、大量の鋼材、セメントなど生産資料の需要を引き起こした。延辺地域は北朝鮮とロシアから大量の鋼材とセメントを輸入して、大きな貿易利益を得た。

 図1をみると、19921994年、延辺地域の輸出入額は毎年3億ドルを超え、1993年には4.7億ドルに達した。しかし1995年には、中国経済の緊縮、北朝鮮の経済危機などの国内外経済環境の悪化により、輸出入額が1.5億ドルまで落ち、1993年に比べ70%減少した。その後、緩やかな増加を続けていたが、2000年以降から、朝鮮経済の回復とロシア経済の好気により、延辺地域の貿易は急速に増え始め、2004年には1993年を超え、2005年には7.2億ドルに達した。

表3から、延辺地域の各通商口の情況をみると、南坪通商口の輸出入貨物の通過量は61.3万トンと最大で、延辺地域の輸出入貨物通過量の42.5%を占めた。第二位は図們鉄道通商口で、輸出入貨物通過量は44.2万トン、延辺地域の輸出入貨物通過量の30.6%を占めた。

 延辺地域から羅津に輸出される主な品目は、主に特産品、木材、薬材、工業製品、紡績、牛肉、農産物、原材料などがあり、延辺地域が各通商口を通じて輸入する主な品目は、外資系企業用の原材料、機会設備、家電製品、中古建築材料設備、輸送機材、電子製品、粗加工食品、生活必需品と化粧品などである。


2.東北地域の物流における諸問題

(1)大連港の問題

1)大連港の建設とサービスの一層の向上が必要

大連地域には、低いレベルで重複建設された港が多く、競争力が低い。したがって、各港が低価格競争に走ったため、営利能力と拡張能力の低下を招いており、市場によるいっそうの調整が必要である。古い港区は都市部に囲まれて発展の余地がなく、道路と鉄道の輸送能力も輸送量増加の需要を満たせない。新しい港区は道路と鉄道の輸送網が今だ完備されていないため、港の発展を制約した。

内陸部における中継輸送能力も市場の需要を満たしていない。現在瀋陽、長春、ハルビンなどの内陸港は、狭い敷地、施設の老朽化、機能不全、能力不足、低い効率などの情況が普遍的で、貨物輸送に悪い影響を与えている。

サービスにおいても、商品の集散、配送過程における高い付加価値の創出を無視した。さらに、過度に繁雑となった国家建設プロジェクトは、プロジェクトの正常な施工を妨げ、重点基礎施設の建設と補充に直接影響を及ぼしている。 

2)東北地域経済の移行と貨物種類における大きな変化

 東北地域の経済回復に伴って産業構造も変化し始め、従来の単純な資源輸出型から原材料の輸入と製品輸出の貿易構造へ、雑貨のばら積みからバルク、コンテナ積みへと変わった。しかし、産業構造の最適化と高度経済成長の実現には、一定の過程が必要となるため、他の貨物種類はしかるべき補充が実現できず、コンテナ積みに適切な貨物が実際にコンテナにより輸送される割合も比較的低く、貨物供給源の増加が緩慢である。同時に、東北地域経済総量の不足も港の発展を制約している。

(2)延辺図們江出海物流に存在する問題

1)通商口の設計能力と実際輸送量との大きなギャップ

さる『第95ヶ年計画』と『第105ヶ年計画』時期に、中国の中央政府と地方政府は、累計50億人民元を投資して、重点的に通商口及び関連の道路と鉄道などのインフラを整備した。しかし、インフラの規模に比べ、貨物通関量は比較的少ない。現在延辺地域の各通商口を合わせると、設計貨物通関能力は610万トン、設計旅客通関能力は290万人次であるが、貨物の通関実績と設計通関能力とのギャップは非常に大きい。2004年の貨物の通関実績は144.2万トンと設計通関能力の23.6%、人員の通関実績は75.5万人次と設計能力の25%しか満たしていない

2)延辺地域における完全持続的な物流鏈の未形成

輸出品生産基地建設の遅れは、延辺地域における輸出関連製品の製造業の未発達と関係している。積極的に国内外の資本を導入して、延辺地域の港の建設と経営に関わらせることが必要であるが、この目標を実現するためには、必ず良好な市場環境を基礎と前提にしなければならない。したがって、政府機能、管理体制、投融資体制、企業行為などの生産関係を調整し、漸次的に統一、規範、公平競争の市場体系を確立し、商業化経営と管理の範囲を拡大することが必要となる。

東北地域はエネルギーと鉱物資源が比較的に豊富で、建国初期から改革開放前までの特定な歴史背景の下、伝統工業分布は大分内陸地域に偏り、臨海工業の発展は相対的に遅れた。今の国内外市場の統合が進み、産業競争がますます激しくなる開放的な環境の下、グロバル的な原材料、製品市場と離脱したデーメリットはますます表面化し、企業競争力と持続的発展の動力の不足を招いた。まさに伝統的な工業分布への固執は、地域経済と工業発展を制約する大きなネックになっている。したがって、積極的に輸出工業を発展させ、産業政策を強化し、輸出産業基地と臨港産業基地の形成を加速させ、地域経済の持続的発展のエネルギーを増強し、内陸地域への波及能力を高めなければならない。

3)朝鮮とロシアの通関インフラ整備の遅れ

 延辺地域の琿春市は、すでに3億人民元を投資して通商口への道路を建設したが、北朝鮮が今だ羅津先鋒地域の道路工事を施工しなかったために、雨や雪の日には通行不能の状態が続いている。琿春−ザルビノ港鉄道は、その標準軌(レール)の敷設がカムショーパヤで終わってしまったため、ザルビノ港から50km離れたところでの荷役を余儀なくされた。日本と韓国はもともとこの鉄道を利用して、中国東北地域の石炭、穀物、稲草、特産物及び外資系企業の製品を輸入し、自国の輸出品と外資系企業の生産に必要な原材料の一部を輸出する計画であったが、鉄道軌道の差異により取り消した。

4)通商口管理の国際慣例との不一致

国際慣例によると、通商口では入国管理局が入国と出国の人員をチェクし、税関が物質の出入りをチェク(??管人,海?管物」)するが、現在中国、北朝鮮、ロシア3カ国は依然と社会主義通関方式を維持している。すなわち、通関の時に、衛生検疫、国境警備隊のチェク(「??」)、税関、動植物検疫などの繁雑な手続きが必要で、効率が低い。

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3.展望

(1)世界経済のグロバル化の進展と発展のチャンス

 中国のWTO加盟は、中国経済が全面的に世界経済秩序に入ることを意味する。世界経済のグロバル化に伴って、北東アジア地域、特に中国、日本、韓国3カ国間の経済交流はますます深まるはずである。中日韓間のFTAテンポの加速、東北地域の港湾が中国の大市場を背後に、地理的に近い日韓の区域優勢を十分に活用して、東北地域、ひいては中国の対外貿易がもたらした新しい商機をつかむ。図們江流域における物流の発展は、世界経済と地域経済の発展趨勢と合致する。東アジア地域における主な港のコンテナ輸送量は、2005年に1.8TEU2010年には4.06TEU、そのうち、北東アジア地域の中国大陸(香港を含まず)が2005年と2010年にそれぞれ8,460TEU2.1TEU、日韓両国がそれぞれ3,000TEU4,560TEUに達すると予測されている。日増しに発展する港湾物流業は、東北地域の物流業の発展に良好な発展チャンスを提供している。

(2)東北地域経済の回復に伴う物流量の増加

資源豊かな東北地域は、東北地域の通商口の発展基礎で、将来東北アジア地域が重要な国際海運センターへ浮上する戦略的な頼りである。2003年の上半期に、中国政府は「東北老工業基地振興戦略」を制定し、相次いで一連の重要な政策を公表した。東北地域振興計画の第一段階では、100個の重点プロジェクトに610億人民元を投資するが、そのうち、プロジェクト数においては遼寧省が52個、黒龍江省が37個、吉林省が11個を占め、投資額においては遼寧省が440億人民元と総投資額の72.5%を占めた。この計画の遂行は、東北地域経済に新しい活気をもたらし、経済の回復と振興に役立つ。経済の更なる発展は、巨大な物流、人流、資金流を形成して、物流センター港湾に新しい発展のチャンスをもたらす。さらに東北地域への国際製造業基地の移転と集積を加速化させ、巨大な物流需要を引き起こすだろう。

(3)朝鮮羅津港の巨大な潜在力

中国の協力の下、北朝鮮の羅津は現在物流センターへ邁進している。鉄道はハルビンから中国の図們と北朝鮮の南陽を経由して、羅津港に至る。北朝鮮の元汀里から羅津に至る道路建設は、20062007年の間に完成するだろう。延辺から羅津に向かう物流量は、2004年にコンテナ5,000TEU20,000TEU)、雑貨400,0001,000,000MTに達し、延辺から南陽を経由して羅津港に輸送された雑貨は200,000MTに達した。

 韓国の北東アジア地域物流センターの建設構想は、北朝鮮の羅津港と清津港を離れられない。中国の黒龍江省と吉林省の貨物は羅津港を経由して輸送される。京義線の建設も朝鮮半島縦断鉄道(TKR)の建設も北朝鮮の協力が不可欠である。北朝鮮はその西部鉄道と東部鉄道を軸に、羅津港と清津港、南浦港を両翼として、北東アジア地域の国際物流センターに発展できる。

 北朝鮮の地下資源は周辺国へ輸出できる。現在韓国と日本の磁鉄鉱石は全部輸入に依存しており、中国も約48%の500億トンの磁鉄鉱石の輸入が必要であるが、北朝鮮の磁鉄鉱石資源は非常に豊富である。さらに中国のコークス輸出において、もし北朝鮮の羅津港を利用すれば、ハルビン―羅津―釜山ルートが既存の輸送ルートの中で最短のルートとなる。

東北アジア地域は鉄鋼業が発達しており、日本、韓国、中国の鋼鉄生産量は世界全生産量の50%を占めている。無煙炭は鉄鉱業にとって重要であるため、中国の東北三省と韓国、日本の無煙炭に対する需要が大きいが、北朝鮮の平安南道と咸鏡南道には約160億トンの無煙炭資源がある。

総合すると、北朝鮮の羅津港は北東アジア地域の物流センターに成長できる潜在力を備えており、その発展は北朝鮮と北東アジア地域諸国間の経済協力に有利であるだけでなく、中国延辺地域の図們江出海物流業の発展の潜在力も示している。

(4)日本の役割

 日本はアジア地域における唯一の先進国として、直接投資、産業移転、資金の供与、技術協力、市場の提供などを通じて、アジアNIESASEAN、中国などの経済発展に大きな役割を果たしてきた。

 歴史的遺産と冷戦構造の影響がまだ残っている北東アジア地域において、経済協力の一層の強化、および国際分業体制の確立と更なる発展による地域全体の繁栄は、互いに利益をもたらすものである。その実現のためには、市場メカニズムだけでなく、関連諸国政府間の政治、経済、安全保障などを含めた緊密的な協力枠組の確立が必要不可欠となる。日本も諸障害を乗り越えて、その実現に向けて積極的な役割をはたすことが期待される。また地方間の交流と相互協力の活発化も、地域における経済協力に役立つ。日本の地方政府の積極的な取り組みが期待される。

環境問題は地域全体、ひいては地球全体の問題でもある。もともと重化学工業が集中し、さらに経済開発が推し進められている中国東北地域において、環境問題もひどい。環境の改善と保護において、多くのノウハウを蓄積した日本が積極的な役割を果すことができる。

国営大中企業中心の東北地域において、持続的な経済発展のためには、市場経済に適応した人的資源と民間企業の育成が必要となる。日本が積極的に協力すれば、市場の育成に役立つだけでなく、人的ネットワークも築き、相互の信頼と協力関係も確立できる。そうなれば、日本企業が東北地域に進出するとき、大きな役割を果せるだろう。


  (楊棟梁)

中国東北部振興における日本の役割

一、東北部社会経済発展の一般状況

二、東北部振興の難点

三、東北部振興の相対優勢条件

四、東北部振興の基本構想

五、東北部振興における日本の役割への期待

一、東北部社会経済発展の一般状況

1、東北部の人文地理条件

2、東北部経済発展の基礎

  東北部近代経済発展のスタート

   東北部近代経済基盤の形成

   新中国建国から開放改革までの東北部経済

3、東北部社会経済発展の現状

  改革開放以来経済発展の遅れ

   東北部の経済成長

   東北部の産業構成

   東北部の継続的発展条件

    中国地域経済現代化レベルの順位

?中国三地域GDP 成長率の比較

? 東北三省の産業構成

   中国地域継続的発展総能力の順位

二、東北部振興の難点

1、現代経済観念の遅れ

2、産業構造の不均衡

3、技術更新の遅れ

4、企業の重い負担

三、東北部振興の相対優勢条件

1、地理、生態と資源条件

2、良好の人的資源と技術的蓄積

3、良好の産業基礎、比較優勢および潜在的産業群優勢

 1)比較優勢の10大産業

 2)将来性の高い5大産業発展群

 3)4大産業発展地帯

4、インフラ施設の完備

3、良好の産業基礎、比較優勢よび潜在的産業群優勢
 1)比較優勢の10大産業

   交通運輸設備、石油加工、石油と天然ガス採掘、 黒色金属製造、発送電、化学製品、食品加工、電子通信設備、普通機械製造、非金属鉱物製品

 2)将来性の高い5大産業発展群

   運輸機械工業群石油化学工業群、工業設備製造業群

   冶金製造業群製薬生産業群

 3)4大産業発展地帯

   中心軸とする縦的発展地帯

   南部横向き発展地帯

   中部横向き発展地帯

   北部横向き発展地帯

四、東北部振興の基本構想

1、東北部振興の5条方針

  改革深化、開放拡大

  市場メカニズムを基礎とする政府機能の発揮

  自主的役割の発揮を前提とする国家の支援

  現存の基礎を活用する相対優勢の発揮

  実情に即する実効の重視

2、東北部振興の6要点

  戦略的視点から続くべき経済構造の調整

  企業の技術更新の強化

  バランス取れる継続的発展の追求

  就職と社会保障システムの健全化

  科学技術教育事業の促進

  改革開放の推進

3、中国社会経済発展の第四極

  珠江三角地域経済圏

  長江三角地域経済圏

  京津冀地域経済圏

  東北地域経済

五、東北部振興における日本の役割への期待

1、重点産業部門への技術提携

2、新型農業開発の協力と農産品加工業の投資

3、重点地域における日本工業団地の設立

4、サービス業への積極的参入