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京大上海センターニュースレター
第16号 2004年8月1日
京都大学経済学研究科上海センター

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目次
○ 中国・上海情報 7.25-7.31
○ 第4回アジア太平洋学際会計研究学会に参加して
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中国・上海情報 7.25−7.31
ヘッドライン
■ 銀行業:主要15行不良債権1.6兆元、比率13%
■ 温家宝総理:私有財産権保護と非公有制の重要性訴え
■ 中国:2004年対外貿易総額が1兆ドル超す見通し
■ 中国:状況変化しても台湾資本の合法権益を保護
■ 台湾:1−5月対中貿易で116億ドルの黒字
■ 上海:食糧市場全面開放の見通し
■ 中国の自動車保有台数、100世帯で2.04台
■ 上海:新しい観光スポット「新天地」でハワイ気分を満喫
■ ロシアのWTO加盟問題、中ロが合意の見通し
■ カザフ首相「石油パイプライン建設の準備は順調」
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            第4回アジア太平洋学際会計研究学会に参加して

 アジア太平洋学際会計研究学会(Asian Pacific Interdisciplinary Research on Accounting
Conference: 略称APIRA)の第4回大会は、2004年7月3日から5日までシンガポールのグランド
ハイアット・ホテルにおいて開催された。今回のシンガポール大会には、31カ国から250名あ
まりの参加者が集まり、日本からは9名の会計学者が参加した。筆者も理論・方法論部会での
報告のため学会に参加した。上海センターの活動と直接関係しているわけではないが、寄稿
依頼をいただいたので、簡単にAPIRAシンガポール大会の紹介をさせていただく。

 「アジア太平洋」という名称から、アジア太平洋地域の会計問題を専門的に検討している学
会と勘違いされることがあるが、「アジア太平洋」は研究領域ではなく学会の開催地域を表し
ている。APIRAは、1995年に第一回大会がオーストラリアのシドニーで開催され、1998年には
大阪で第二回大会が、2001年にオーストラリアのアデレードで第三回大会が開催されていま
す。第二回大阪大会の際には、筆者も大会準備委員の一人としてお手伝いさせていただい
た。このように3年ごとに大会が開かれているのは、APIRAが開催された翌年には、批判会
計研究学会(Critical Perspectives on Accounting Conference: 略称CPA)の大会がアメリカ
で開催され、またその翌年には学際会計研究学会(Interdisciplinary Perspectives on
Accounting Conference: 略称IPA)の大会がヨーロッパで開催されるという関係になっている
からである。つまり、アジア太平洋とヨーロッパとアメリカの間の持ち回りで開催されているの
で、APIRAだけをみると3年ごとの開催になっている。学会としての特徴は、アジア太平洋の
後に続く「学際」的であるという点で、それはこの大会がAccounting, Auditing and Accountability
Journal(略称AAAJ)という学際会計研究を積極的に支援している学術専門誌との共催となっ
ていることにもあらわれている。今年の大会では、環境問題関連テーマでの報告が多く行わ
れ注目を集めていた。

 シンガポール大会の運営は、シンガポール・マネジメント・ユニバーシティのスタッフが中心
となって行われた。お国柄を反映して非常に秩序だった大会運営だったが、同時にサービス
精神も豊かでレセプション・パーティでは学生たちの踊りのパフォーマンスなども披露され喝
采を浴びていた。そのレセプション・パーティでは、シンガポール・マネジメント・ユニバーシティ
のロナルド・フランク学長が歓迎スピーチを行い、学会を盛り上げた。今回シンガポール・マネ
ジメント・ユニバーシティがAPIRAをホストすることになった直接のきっかけは、シンガポール・
マネジメント・ユニバーシティのスタッフがAAAJのチーフエディターであるLee Parker教授のも
とで学んだことにある。国際学会に参加するたびに感じることだが、研究者のネットワークの
重要な部分は内外を問わず師弟関係を通じて築きあげられている。京都大学経済学研究科
が国際化をいっそう進めるためにも、海外の優秀な研究者の卵に京大で研究してもらう意義
はきわめて大きいといえる。宿泊施設などの環境作りや、海外からの問い合わせに対するス
ピーディーな対応能力、そして何よりも国際交流の実質的な進展を妨げる時代錯誤的な諸規
定の見直しを早急に行なう必要があると改めて感じた次第である。
                                                  (澤邉紀生)
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