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京大上海センターニュースレター
第18号 2004年8月16日
京都大学経済学研究科上海センター

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目次
○ 中国・上海情報 8.7-8.15
○ International Workshop on Behavior in NetworksおよびInternational
  Seminar on Regional Innovation, Fiscal Decentralization and the Reform of
  Local Public Financeに参加して
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中国・上海情報 8.7−8.15
ヘッドライン
■ 浙江:超大型台風13号、経済損失は153億元
■ 中国:1−7月対外貿易38%増、対日では28%増に
■ 中国軍装備購入に公開競争入札を導入へ
■ HSBC:交通銀行に資本参加
■ 初の自動車ローン会社設立へ
■ 中国の高級リアプロジェクター、日本市場へ初進出
■ JFE:中国に高炉、日系自動車メーカーへ鋼板供給
■ ダイムラー:中国1−6月乗用車販売が173%増
■ 上海先物取引所:8月25日、燃料油の取引を開始
■ 中国:7月CPI前年比5.3%増
■ 北京:市民7人に1人が自動車保有
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 International Workshop on Behavior in NetworksおよびInternational Seminar on
 Regional Innovation, Fiscal Decentralization and the Reform of Local Public
 Financeに参加して

 
 今回の韓国出張の目的は、7月22日−23日にソウル市立大学校で開催された、International
Workshop on Behavior in Networksと、7月28日にプサン国立大学校で開催された、International
Seminar on Regional Innovation, Fiscal Decentralization and the Reform of Local Public
Financeに参加することでした.。

 ソウル市立大学校での会議には、米国、英国、香港、日本、そして韓国から、交通ネットワー
クに関連する理論的および実証的研究さらには計算アルゴリズムなどの方法論を取り扱った、
24件の発表がありました。発表者の専門分野は交通工学、経済学、オペレーションズ・リサーチ、
地理学など多様ですが、もともと学際的な研究分野であり、同様な場で出会った知り合いも多
いので、分野間のギャップを感じることは少ないです。会議について特筆すべきは、英国ヨーク
大学のMike Smith教授による基調講演でした.Smith教授は、1970年代からTransportation
ResearchやTransportation Scienceなど、この分野のトップジャーナルに交通ネットワークにお
ける均衡問題に関する数々の独創的論文を発表し、この分野の理論的基礎を確立した、いわ
ば教祖的存在の学者です。基調講演では利用者の反応を考慮に入れた上で交通ネットワーク
上の信号と料金を動的に設計する問題の提示と解法について、熱のこもった報告をされ、健在
ぶりを示されました。私はAlternative Policies of Transport Network Improvements in Spatial
Economyと題する発表を行いました。

 プサン国立大学校では、日韓の経済学者による会議でした。日本側と韓国側それぞれ3名ず
つ、計6件の発表がありました。4件は日本と韓国の地方分権政策について、経済学的に分析し
たものです。私と韓国側のもう一人の発表は地域経済に分類できます。なお私は韓国人ですが、
一応数の上では日本側ということになっています。私は上と同じ論文について、地域経済への
影響に焦点をあてて話しました。その際、ちょうどこの4月に開業した韓国の新幹線(KTX)が地
域経済に及ぼす影響について、モデル分析から何がいえるかと問われたりしました。

 二つの会議の合間に、韓国の交通開発研究院を訪問し、南北朝鮮を結ぶ交通ネットワーク
の整備に関する現況について説明をいただくとともに、同研究院で行われた研究成果に関す
る資料を収集しました.特に25日は日曜日にもかかわらず交通開発研究院の安秉民博士に
案内していただいて、ソウルとピョンヤンを結ぶ京義線の韓国側最北端であるトラサン駅を訪
ね、駅長さんからも直接話を聞く機会を得ました。この駅は非武装地帯に接していて、南北を
分ける軍事境界線からは2km足らずの場所です。駅が開業して2年足らずですが、その間、北
側の代表団も数回、米国のブッシュ大統領も金大中大統領(当時)とともに訪れています。わず
か2年の間で雰囲気はかなり変わってきたようで、日本の報道から受ける印象とは異なり、南
北の緊張緩和と交流が深化しているようです。
                                                   (文 世一)
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