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京大上海センターニュースレター
第19号 2004年8月23日
京都大学経済学研究科上海センター

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目次
○ 中国・上海情報 8.16-8.22
○ 尾池総長が復旦大学を訪問
○ 上海珍道中 with my daughter
○ ウルムチ・カシュガル
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中国・上海情報 8.16−8.22
ヘッドライン
■ 上海:世界最長の「トンネル+橋」で浦東と崇明島を連結
■ 中国:グリーンカード制度導入、外国人永住権に法整備
■ 中国:汚職幹部の海外逃亡を阻止する報告制度
■ 中国:高速道路8万キロ計画
■ 日中韓の共同開発Linux、6カ月以内にリリース
■ 中国:2004年1−6月、不合格輸出品は3.2万件、総額73.04億ドルに相当
■ 上海:アテネ五輪観戦ツアー、北京独占に反発
■ 中国:1−6月外食小売額1位は広州、147億元
■ 中国:7月の自動車生産台数、前月比15.48%減
■ 北京:1−7月不動産販売面積が竣工面積上回る
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                   尾池総長が復旦大学を訪問
 
 8月2日に北京にて日中学長会議に出席した尾池総長一行は、4日上海入りし、同日午後に
復旦大学を訪問した。山本センター長は北京より同行し、上海では、北野と曽憲明が迎えた。
午後4時より、上海センター支所のある日本研究センターで燕爽副学長(共産党副書記、副研
究員)と面談した。燕副学長は1965年生まれ、現在39才、復旦大学で最年少の副学長である。
慶応大学法学部で約1年間研修した経験を有する知日派でもある。尾池総長と燕副校長との
間では、中国で若手幹部が抜擢されている背景、両大学の歴史について、大学経営の現状に
ついてなど、闊達な意見交換が行われた。陳建安氏の後任としてこのたび日本研究センター
の所長に就任した樊勇明所長より、同センターと京大上海センターとの今後の具体的協力関
係について提案があり、総長は真摯に検討することを約し、具体的には山本センター長と樊所
長との間で詰めていくことになった。樊所長は、1980年代にアジア経済研究所で研修した経験
があり、当時山本センター長と廊下を隔ててともに切磋琢磨したとのこと。面談には、日本側
より総長令夫人、辻研究・国際部長、田辺国際交流課掛員、中国側より日本研究センターの
郭定平副所長、胡令遠副所長、戴暁芙助教授、外事処国際交流弁公室兪純麟主任らが出
席した。面談終了後、一行は上海センター支所を見学した。

 同日夜、一行は杉本上海総領事公邸で行われた京仙会の集いにも参加した。京仙会の会
員の方々には上海センターを主に同協力会を通じて力強くサポートいただいている。山本セ
ンター長よりの挨拶の後、総長は、20名余りの京大同窓を前に、「かわる京大かわらぬ京大」
と題して、パワーポイントによるプレゼンテーションを行い、好評を博した。京仙会よりは、杉本
総領事、高田副会長、範協力会理事にご挨拶いただいた。
                                                (文責北野尚宏)
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                 上海珍道中 with my daughter
                           積水化学工業且賀栗東工場工場長 藤井重樹

 大学生の娘と上海に3泊4日で行くことになった。当初、5年に一度のリフレッシュ休暇を利用
して台湾の故宮博物院に行きを計画していたら、娘が連れて行けといい、家内もそれで良いと
いうので娘との台湾旅行を計画した。まあ娘と二人で行けるなんてのはそうそうないので、嬉し
くないと言えば嘘になる。娘の要望は、「ベッドはダブルはNG、ツインにして」というものだけだっ
たが、これは娘も大学生なのでまあ当然といえば当然なのでホイホイと聞き、台湾の5つ星ホテ
ルのツインを一部屋予約した。そうする内、渡航数日前にTISから電話、「娘さんのパスポートの
残存期間を見ると、台湾のビザが下りませんね」と連絡。これには慌てた。領事館にもかけあっ
たが結局ダメ。一人で台湾という手もあったが、上海なら娘のパスポートでも問題ないということ
で、上海に急遽変更した次第。ただ渡航直前であったので、航空券は手配出来るが、ホテルは
無理だとTISも言うので、上海の駐在員に無理言ってホテルを予約してもらった。娘との上海珍
道中、日、月、火、水 の3泊4日上海旅行である。

 初日は、上海市内をタクシーで廻ることにした。欧米の人なんか、バスツアーで廻っていたが、
日本人である我々は行き先を漢字で書けば行ってくれる。ただ、後ろに二人で座っていると一度
遠回りされたので、娘から「地図を持って、おとうさんが前に座るべし」というので、そうすることに
した。効果はあったと思う。家内より中国の素敵な茶器を買ってくるように言われたので、市内で
あちこち廻り買ったが、どうも偽物を掴まされたようである。伊勢丹に行ったが、同じクラスのも
のがもっと安く、包装も綺麗である。最初に伊勢丹に行っておけばよかったが「やられた!」と
思ったが時既に遅しであった。上海ではあちこちで偽物に出くわす。偽ブランド品、偽の骨董品、
書画など数えればきりがない。中国は多分世界一偽物があふれている国だろう。出来栄えは
なかなかで本物そっくり。トヨタハイエースにソックリの車もJINBEIなるブランドで走っている。ホ
ンダのCR−Vにソックリな車がSR−Vである。まるでそっくり。HONNEとかYMANEとかいうブラ
ンドのバイクもある。中国ビジネスで偽物といかに闘うかは重要な問題であろう。中国政府は偽
物や不正品の悪影響を認めており、「断固摘発する」との厳しい姿勢を打ち出している。しかし
中国で政府に政策あれば下に対策ありと言われるように、半ば公然と偽物ブランド商品や不正
なDVD、高級時計から婦人物バッグなどを売りさばく違法な業者が後を絶たない。

 聞いた話だが、上海市長諮問のある会議で、ヨーロッパ企業の方が市長に厳しく「上海市は
偽物追放、知的財産権尊重と言っているが、実状を知っているか?今後どうするのだ?」市長
は顔色を全く変える事なく「とてもよいご指摘です。中国は何千年も前から農業国家で、今も人
口の大半が農民です。農民は何とか良い作物を作ろうと、上手に良い作物を作る農家のまねを
する。又お互いにそのノウハウを教え合うし、その結果収穫が増えても、対価を知的財産権とし
て支払う概念がないんですよ。」とした上でこう続けた。 「中国人は長い間こうしたDNAを引き
継いでいる。WTO加盟を果たした今は、偽物の工業製品はなくす必要あるが時間がかかる。
実は上海企業も偽物で困っている。全中国の中で上海企業の製品は品質が高くて売れ行きが
よいので、他地域ではすぐ偽の上海ブランド品を作って上海企業に被害を与えている。われわ
れは外国企業の皆さんと手を携えて一日も早く偽物がなくなるように努力したい。」と言ってのけ
たと。説得力のある説明だが、中国で偽物が収束するのに、おそらくまだまだかかる。ヤマハが
偽物を製造販売した中国企業を告訴し、勝訴した事例も報道されているが、これは中国政府の
ポーズだと思う。弊社も弊社の偽物が出てきてブランドの価値が認められたと言えるかも知れな
い。家に帰ってから、茶器を観察したが、どう見ても粗悪品である。感激したのは、マッサージの
安いこと。娘と二人で、全身&足裏2時間コースで二人で1500円くらいだったか。まあ、娘との
楽しい上海珍道中であった。
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                 ウルムチ・カシュガル
                             京都大学大学院経済学研究科教授 森棟公夫

 8月の一週間,新彊大学訪問を兼ね,新彊への旅行に出かけました.博士課程のショホラッ
ト君が帰国するのに合わせた旅行ですが,あこがれのシルクロードでもあり,今まで訪れた沿
海州の大都市とは全く違う中国を見聞することができました.北京から4時間かけて着いたウル
ムチの町の具合は,私の見聞の範囲では90年の上海という感じで,町の多くの場所で工事が
進んでいました.人口は160万人位で,全体に,煤あるいは砂に汚れた感じがあります.ウルム
チから更に1時間半ほど飛んで着いたカシュガルは, 人口30万人だそうですが,20年前の北
京くらいの感じで,町中くすんでいました.自動車だけでなく,ロバを良く見かけ,ここまでくると
人種も80%がウイグル族になります.ウイグル族の人口は中国の人口の1%以下で,800万人
位だそうですが,その半分近くはカシュガル周辺に住んでいるそうです.この地方の人口は340
万人.バザール,日曜日の動物市など,テレビの何かのレポートで見たような光景に遭遇しま
した.着ている服も,汚い人民服とでも言えばよいのでしょうか.動物市の写真を入れます.帽
子はウイグル族の印です.

 カシュガルでは,ショホラット君の留学生友達の家を訪問することができました.カシュガルか
ら30分ほどひどい道を走って着いたアトッシュ村の中の一軒です.この道も新彊特有で,荒れ
地の中を走っていくのですが,地平線に見えた禿山を越えると,突然オアシスになり,農村が
広がります.農村では水路に沿ってポプラ並木があります.ポプラは建築材に使われます.訪
問させてもらった家は大きな農家ですが,生活は自給自足が中心,成人5人で5毛の土地を耕
しているとのことです.作物は小麦が中心のようです.成人の内3人は勤めを持っていて,収入
は併せて月2500元と教わりました.これが事実なら,かなり裕福な農家です.テレビを持ってい
ますが,冷蔵庫や洗濯機は無いようでした.家は広く,土から作った日干し煉瓦を重ねて建て
てあります.屋根はオアシス特有のポプラを材に使っているそうです.こちらの人は恐ろしく親
切ですから,訪問した我々を歓待してくれ,食事も山ほど出されました.これは,新彊どこでも
経験しました.会社訪問でさえ.印象が深いので,農村の写真を入れます.人がいるのは,我
々を見に来た村の人たちです.動物は羊です.

 ウルムチからトルファンにも行きました.ウルムチから車で3時間ほど高速道路を走ったとこ
ろにある町で,カレーズと呼ばれる地下水路を掘って天山山脈の水を導いたため大きくなった
オアシスです.地下水路が掘られ始めたのは2000年前だそうで,中国3大事業の一つに数え
られています.この2000年間,生産に貢献してきたわけですから,経済的な効果は長城を越
えます.現在は葡萄の産地で,干し葡萄を生産しています.商品としては,干し葡萄の質は高
いものの,干し葡萄に大小混じるのが問題です. 新彊から日本に帰るには1日北京に泊まり
ますが,カシュガル,ウルムチ,北京を比べると,タクシーの車の質,タクシーが走っている道
の質などに,町の順ではっきりとした差が出ます.さらに日本に到着すると,この質は最高に
なります.羊肉ばかり毎日食べて疲れましたが,何とも興味深い旅行でした.
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