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京大上海センターニュースレター
第27号 2004年10月21日
京都大学経済学研究科上海センター

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目次
○ 11/13・14自動車シンポジウムのご案内
○ 中国・上海情報 10.11-10.17
○ 自己紹介 −ユーラシアへの門口に立つ−
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以前からお知らせの京都大学上海センター主催のシンポジウムです。しばらくお知らせ
をさせていただきます。

11月13日・14日上海センター主催講演会・研究会
中国の自動車産業―その過去・現在・将来を探る―のご案内

講 演 会
日 時●11月13日(土)午後2時〜6時
場 所●京都大学法経総合研究棟大会議室
挨 拶●金田章裕 京都大学副学長・理事
司 会●本山美彦 京都大学大学院経済学研究科教授
講演1●丸川知雄 東京大学社会科学研究所助教授  中国式自動車製造法:日本との対比
講演2●嶋原信治 元トヨタ自動車中国事務所首席総代表 トヨタ自動車の進出過程
講演3●塩地 洋 京都大学大学院経済学研究科教授 中国における自動車流通
    ●懇親会

研 究 会
日 時○11月14日(日)午前9時30分〜午後5時
場 所○京都大学法経総合研究棟大会議室
報 告1○高山勇一 現代文化研究所中国研究室室長  自動車産業政策
報 告2○孫 飛舟 大阪商業大学総合経営学部助教授  3S・4S店と自動車交易市場について
報 告3○山口安彦 元本田技研工業中国業務室主幹  中国自動車企業の自主開発能力
報 告4○大原盛樹 アジア経済研究所研究員       オートバイ産業の競争環境
報 告5○上山邦雄 城西大学経済学部教授        日系メーカーの対中国戦略
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中国・上海情報 10.11−10.17
ヘッドライン
■ 中国:元切り上げ否定
■ 温家宝総理:持続可能な資源戦略の構築が最重要課題
■ 中国:貸付14%増の18.5兆元、預金25兆元
■ 中国:9月末の外貨準備、初めて5000億ドル突破
■ 上海:GM社の最新型ハイブリッドバスを導入
■ 上海:VW社と同済大が協力して燃料電池車の開発に着手
■ 松下:中国に世界最大家電工場
■ 中国:2006年までに失業者データベースを整備
■ 黄菊副総理発言:資本市場の改革と安定発展が急務
■ 上海:養老年金支給額を引き上げ
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                自己紹介 −ユーラシアへの門口に立つ−
                             中国社会科学院研究生院外国専家 井出晃憲
 
 京大経済学部95年卒業の井出と申します。このたび縁あって中国社会科学院に勤務する
ことになり、8月より北京に居住しております。今後、仕事や生活のうえで中国と深く関わるこ
とになりますので、上海センターの協力会会員にさせていただいた次第です。
 
 私はそもそも少年時代から、中国も含め広く内陸ユーラシアの歴史や文化に強い興味を
覚えてきました。それは、東西冷戦下にあって「カーテンの向こう側、とくに情報の希薄な内
陸ユーラシアはどうなっているのか」、そして「そこに生きる“海をしらない民”は、どのような
暮らしをし、何を思っているのか」という素朴な疑問からでした。大学入学後は探検部に所
属して、念願であった中国から旧ソ連にかけてのユーラシア大陸各地への放浪の旅に長期
に渡って数度出かけました。したがって、学業の面では必ずしも勤勉な学生ではありません
でした。京大探検部卒業と言ったほうがいいかもしれません。ちょうどその頃は、ソ連の崩
壊や東欧の民主化、一方において中国では民主化運動が天安門事件で潰えるなど、20世
紀の壮大な実験ともいえる「社会主義」が問い直された激動の時期でした。そうした混沌と再
生の現場を自分で歩きこの目で見たことは、今から思えば貴重な体験であったと感じます。
さらに、現地において、私と同年代で新たな国づくりに燃える若者たちと生涯の友人の契りを
交わせたことも大きな収穫でした。
 
 卒業後これまで10年ほどのあいだ、「国家・民族・宗教を超えて、理解・親睦・協力を」とい
うスローガンを掲げる、あるNGO団体に所属して、ユーラシア各地の少数民族を対象に援助
や交流などの実践的な活動に携わってきました。余談ながら、そうした活動のなかで中国籍
のモンゴル族である現在の妻と知り合うことにもなり、昨年11月には長男も誕生しました。こ
の子には、世界の将来を担うコスモポリタンになってほしいと思っています。北京の天安門に
掲げられた「世界人民大団結万歳」という標語。今世紀に入って以降の度重なる戦乱を見る
につけ、時代錯誤の政治的プロパガンダとしてではなく人類の高邁な理想を謳ったものと解
すれば、今なお色褪せていない標語だと思うのですが・・・。

 今の仕事は、社会科学院が運営する大学院大学において、学生たちに日本語と日本地域
研究を教授することです。中国教育部発表による中国国内の大学院のランク付けによると、
当大学院は経済学・哲学・歴史学の分野で第一位、法学・文学の分野で第二位とされてお
り、全国から優秀な学生が集まっています。毎回の授業では緊張感もありますが、充実した
日々を過ごしております。私自身も学生たちから学ぶことが多く、教育というよりはむしろ国
際交流に携わっているのだという感を強く持ちます。学生たちは卒業後、研究者としてあるい
は実務家として、対日関係で重要な役職に就くでしょうから、私の仕事もささやかながら日中
友好の促進の一助となればと希望しております。
私自身も今後、教育者としての仕事を続ける一方で、自分自身も研究を続けたいと思ってお
ります。ユーラシア内陸部をフィールドとして、社会経済史的観点から民族学を捉えてみたい
と考えています。

 北京は、中国だけでなく広くユーラシア大陸全域への門口です。これから当地にしっかり足
場を築いて、地に足のついた地道なことから着実に、研究・実践・交流の諸活動に邁進した
い所存です。機会をいただければ、今後も皆様方に北京からお便りを差し上げたいと思って
おります。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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