=================================================================================
京大上海センターニュースレター
第28号 2004年10月28日
京都大学経済学研究科上海センター

=================================================================================
目次
○ 11/13・14自動車シンポジウムのご案内
○ 中国・上海情報 10.18-10.24
○ 湘譚、桂林の2つの学会に参加して
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
以前からお知らせの京都大学上海センター主催のシンポジウムです。しばらくお知らせ
をさせていただきます。

11月13日・14日上海センター主催講演会・研究会
中国の自動車産業―その過去・現在・将来を探る―のご案内

講 演 会
日 時●11月13日(土)午後2時〜6時
場 所●京都大学法経総合研究棟大会議室
挨 拶●金田章裕 京都大学副学長・理事
司 会●本山美彦 京都大学大学院経済学研究科教授
講演1●丸川知雄 東京大学社会科学研究所助教授  中国式自動車製造法:日本との対比
講演2●嶋原信治 元トヨタ自動車中国事務所首席総代表 トヨタ自動車の進出過程
講演3●塩地 洋 京都大学大学院経済学研究科教授 中国における自動車流通
    ●懇親会

研 究 会
日 時○11月14日(日)午前9時30分〜午後5時
場 所○京都大学法経総合研究棟大会議室
報 告1○高山勇一 現代文化研究所中国研究室室長  自動車産業政策
報 告2○孫 飛舟 大阪商業大学総合経営学部助教授  3S・4S店と自動車交易市場について
報 告3○山口安彦 元本田技研工業中国業務室主幹  中国自動車企業の自主開発能力
報 告4○大原盛樹 アジア経済研究所研究員       オートバイ産業の競争環境
報 告5○上山邦雄 城西大学経済学部教授        日系メーカーの対中国戦略
=================================================================================
中国・上海情報 10.18−10.24
ヘッドライン
■ 中国:1−9月GDP発表、経済成長率は9.5%
■ 河南:炭鉱ガス爆発事故、死者86人。行方不明者62人
■ 甘粛:貯蔵量1300億トンの超大型炭田を発見
■ 上海:1−9月GDP14.2%成長
■ 広東:1−9月14.8%成長、投資増も減速顕著
■ 上海VW:乗用車をカザフスタンへ輸出
■ 中国:EU優遇税制撤廃で中国製繊維製品に多大な影響
■ 北京:原油高騰、市民がガソリンチケットを買いだめ
■ 中国:私立学校の在校生数1416万人に
■ 長江デルタ:冬の電力不足、供給制限に
=================================================================================
                湘譚、桂林の2つの学会に参加して
 
 10月14‐21日の間、科学研究費による共同研究の一環として中国湖南省湘譚市、広西自治
区桂林市で開催された2つの学会に参加・報告を行った。前者は中国『資本論』研究会で日本
の経済理論学会の代表として招待されたもの(但し、会議費等全て払いました)、後者は3年毎
に日中間で交互に行っている「日中統計学シンポジウム」の第8回大会(組織委員もしています)
で、共に色々と考えさせられるものがありました。
 前者についてはその規模の大きさと討論のスタイルの違いが印象的でした。まずは各省単位
での学会が下部にあり、その会長クラスを中心に各省から10〜1名の代表が理事として選ばれ
る場面にも遭遇しましたが、これで行くと各省5人としても160人程の理事がいることになります。
いくつかの省の代表が「我が省からは3名」と報告すると「3個代表」と江沢民氏のスローガンが
横から叫ばれていましたが、これには江沢民氏を茶化しているのではないかと思わせるものが
ありました。また、参加者こそ300人程度とそう大きくはないものの、その多くが自分の意見を伝
える為に参加者数分の論文を持って来ていて、それらは事務局の手によって全員に基本的に配
布されるようになっており、また空いた時間に本一冊分の原稿を入れたフロッピーを渡しながら
是非話を聞いて欲しいという参加者もいました。私もまた市場と株式会社に対する考え方を改め
る提案をした中国語論文を配布しましたが、分科会では各人が4日間の会期中に挙手で発言許
可を求めて自身の見解を述べる時間を確保せねばなりません。私はとてもそこまで出来ません
でしたが、外国代表ということで全体会で約10分の時間をもらえました。ともかく、自分の見解を
述べたくてうずうずしている参加者に満ちていることは大変印象的でした。中国人の商売におけ
る熱心さを我々はよく知っていますが、この熱心さは学界でも同じであることを垣間見たのだと
思います。

 他方、後者の「日中統計学シンポジウム」は数学と計算機科学の人々が中心となっているもの
の為、「経済統計学」の部分だけを取り出すと私の所で組織した参加者が殆どということで、悪く
言えば相手不足、良く言えば私共の貢献が大変大きかったと言えます。「統計学」のフィールド
であることを自覚しつつ中国経済や日中間の経済関係を研究しているグループがまだまだ日本
に不足している事の反映かもしれません。また、経済学のフィールドでは中国側報告者に語学
上の問題が大きいことが気になりました。次回は3年後に北海道で開催ということになりましたが、
組織委員としても考えるべき所が残った会議でした。 ところで、今回の出張では台風で帰国が
1日遅くなりましたが、そのため1日分予定外に広州で過ごすことが出来るなど、私にとっては久
しぶりの南方への旅行となりました。で、その観点から湘譚、桂林、広州と途中で通過した長沙、
衡陽といった都市を比べると広州の発展がやはり目につきます。広州市内の清潔な地下鉄と真
新しい広州新白雲空港を見て、今までの広州の印象は一度に変わってしまいました。湘譚や桂
林、長沙については以前のそれを知りませんので明確に言う事は出来ませんが、中国南方にお
ける現在の都市間格差のイメージを作れたような気がします。学会で得た多くの知識と共にそん
な印象を持った出張でした。
                                                   (大西 広)
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++