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京大上海センターニュースレター
第31号 2004年11月18日
京都大学経済学研究科上海センター

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目次
○ 中国・上海情報 11.8 -11.14
○ 北東アジア連携促進フォーラム北京会議のご報告
○ 時事通信記事転載:「12大学が中国に本格進出」
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中国・上海ニュース 11.8−11.14
ヘッドライン
■中国:1−10月期、実質FDI537.81億ドル
■ 国家統計局:10月消費者物価指数4.3%上昇
■ 中国:食糧年間生産目標を突破する見通し
■ 中国:1−10月期対外貿易総額9264.7億ドル
■ 自動車:ガソリン値段高騰で日韓の低燃費車が人気
■ 遼寧:初の原子力発電所プロジェクト始動 投資総額600億元
■ 広州ホンダ:1−10月の販売台数73%増
■ 中国:10月の工業製品価格8.4%上昇
■ 中国財政部高官:貿易均衡、人民元レート変更不必要
■ 上海:1−10月期対外貿易総額2300億ドル、41%増
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             北東アジア連携促進フォーラム北京会議のご報告
 
 この11月4-5日の二日間、中国国務院発展改革委員会対外経済研究院で「北東アジア連携
促進フォーラム北京会議」が開催され、日本側実行委員長として参加をした。これは、京都府
の外郭団体である「環日本海アカデミック・フォーラム」が中国北東アジア経済研究中心(対外
経済研究院が今年立ち上げた学会)との共催で開催したもので、我々上海センターにも京都府
を通じて協力依頼のあったものである。中国側の参加者はすべて深く政策形成に関わられてい
る方ばかりで、次のような方々であった。

  劉 福垣  中国国家発展改革委員会マクロ経済研究院副院長
  張 燕生  中国国家発展改革委員会対外経済研究所長
  張 昌鳴  中国国家発展改革委員会マクロ経済研究院副院長
  王 允貴  中国国家外貨為替管理局国際収支司副司
  金 伯生  中国商務部国際貿易経済協力研究院外資研究部主任
  胡 国友  中国国家観光局中国旅行社協会秘書長
  韓 偉    中国環境産業協会

 この中でも王外替管理局副司の報告は最新の政策動向を披露したものとして特に興味深
いものであった。王副司は、人民元の変動制への移行はほぼ既定の事実で、いまやその方
法だけを議論しているだけだとの立場を表明し、また為替市場での先物取引きが既に始ま
り、小銀行もそれに参加できるようにし、国有四大銀行の改革テンポを速め、経常項目の様
々な自由化や外国為替市場の育成などは既に開始されているとの報告を行った。帰国後、
日本の新聞にもそうした観測が流れるようになったが、一足我々は現地でその内容を聞くこ
とができた。
 また、もう一点全体的な感想を述べると、中国東北部開発への日本側の参加・協力への
期待が大きかったことである。小生の意見では西部や東北部の開発はまずは沿海部の中
国企業の投資によってなされるべきで、他国企業に採算度外視の投資を求めるのは困難
である。ただ、このフォーラムの直後に上海に渡り、そこで小島正憲小島衣料社長(上海セ
ンター協力会理事)にお会いしたところ、クォーター制の制約を課しているアメリカへの輸出
をロシアを経由でうまくできれば、東北地方にもまた別の「地の利」を発見できるかも知れな
いと言われた。これはこれで検討に値する。
 なお、この会議には小生は日本側実行委員長として参加をしたので、八月に行なった事
前打ち合わせやその後の交渉の中で、中国対外経済研究院との共催シンポにどれくらい
の費用がかかるのか、何をすれば良いのかなどについて詳しく知ることができた。また、中
国側との強い信頼関係も築くことができ、今後、上海センターとしての共催も可能となった。
いつかそれを実現させたい。

 ところで、この会議では第2日目の午後に京都府や京都商工会議所などが中関村で開催
した「第一回日中産学公連携国際フォーラム」に合流したが、このフォーラムも含めて課題
となっていたのは《京都》をどう売り込むかということである。北京大、清華大などが中関村
にとって「産学公連携」の重要な資源となっているとすれば、確かに我々の京都府にもハイ
テク企業と大学が集積し、同様の可能性がある。が、そのようなものとして《京都》を十分
世界に知ってもらっているかといえば、まだまだである。この点の改善は《京都》にとってだ
けではなく、我が《京都大学》にとっても欠かすことの出来ないポイントだと感じた。
 なお、このフォーラムでは、オムロン社の立石義雄氏が関西文化学術研究都市推進機
構理事長として冒頭の挨拶をされ、京都大学副学長の松重和美教授や上海センター協力
会理事の中野美明京都市産業観光局長も報告に立たれた。知人や関係者が数多く参加・
貢献しておられることに大変心を強くした。会議であった。
                                                   (大西 広)
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 11月13日付け「時事通信」が京大などの中国進出を報道しました。「時事通信」の了解の下に
転載します。

12大学が中国に本格進出=京大、一橋に続き東大も−産学官連携でビジネス重視
 【北京13日時事】東京大、京都大、一橋大、早稲田大など12大学が全学を挙げて中国
の北京や上海などに拠点となる事務所を既に設けたり、近く設置したりするなど本格的な中
国進出を進めていることが13日、分かった。従来の学術交流ではなく、国立大学法人化を
受け、大学を「産学官連携」の中核とし、中国に進出した日系企業と中国側との橋渡しを支
援するなど「対中ビジネス」を重視したのが特徴だ。
 東大など大部分は中国が初の海外本格進出となる。中国の急成長を背景に1970年代の
政府、90年代の企業に続く対中進出「第3の波」との見方も強い。
 日本学術振興会北京事務所の調査や、大学の中国進出を支援している国際協力銀行など
によると、このほかに本格進出を進めているのは北海道大、東京工業大、神戸大、広島大、山
口大、島根大、慶応大、立命館大。
 先月末に北京事務所を開設した一橋大は43万社が加盟する中国企業連合会と提携。日本
経団連とも協力関係にあり、日系企業へのコンサルタント業務のほか、中国向けビジネスス
クール構想も持つ。
 上海・復旦大に事務所を持つ京大は今月、北京の理系名門、清華大と産学官連携で調印。
来年に北京にも事務所を置く。松重和美副学長は「ナノテクやバイオなどで大学を核に企業
や自治体も巻き込んだ拠点をつくる」と強調する。
 東大は来年4月、北京事務所を開く。天津市とは既に科学技術支援で協力関係にあり、北
京市との連携も計画するなど政府との関係強化も図る。神戸大は経営、慶大はデジタルメデ
ィア、広島大は環境などの分野で中国との協力を進める。
 各大学に共通する目的は中国の優秀な人材確保だ。東工大は清華大、早大は北京大と提携。
お互いの大学で修士号や学士号の取得を可能にした。(了)
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