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京大上海センターニュースレター
第122号
京都大学経済学研究科上海センター
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目次
○
中国・上海ニュース 8.7-8.13
○第4回
“WTO・中国・アジア経済” 国際会議に参加して
上海ニュース 8.7−8.13
ヘッドライン
■ 中国: 1-7月貿易総額、23.1%増の9418億米ドル
■ 中国: 7月都市部CPI上昇率1.0%、上昇幅低下
■ 中国: 1-7月乗用車販売、4割増の200万台超
■ 自動車: 吉利、年内ハイブリッドカーを販売
■ 自動車:上海汽車・双龍(サンヨン)自動車、全面ストライキ突入
■ 広東:上半期省エネ目標達成、エネルギー利用効率全国最高
■ 上海:外資系銀行が急成長、上半期利益1億4千万米ドル
■ 上海: リニア運行中火災発生
■ 上海: 今年一番の暑さ、38.6度を記録
■ 四川・重慶:深刻な干ばつに見舞われ、生活と諸産業に大打撃
第4回 “WTO・中国・アジア経済” 国際会議に参加して
京都大学大学院経済学研究科講師 マスワナ ジャン・クロード
会議について
2006年6月24〜25日、計145名の参加者が北京の対外経済貿易大学(University of International Business and
Economics)に集まり、大会のテーマである「WTO・中国・アジア経済」について議論した。2日間に渡るこの国際大会は、対外経済貿易大学(中国)とワシントン大学(USA)によって共同で組織され、研究者、会社管理職、開発専門職といった様々な参加者が一同に会した。
大会への参加理由
以下の二つの理由から、本大会への参加を申請した。
1) 中国そしてアジアの開発的側面を研究している研究者や専門家との交流。
2) 中国の金融開発についての自分の研究発表、ならびに中国の経済データの収集。
大会における活動と成果
6月24日に、タイトル名“中国の金融開発と経済成長:実証的検証”(Reconciling
the Chinese Financial Development with its Economic Growth: an empirical
examination)の発表を行った。本発表は、中国の金融開発の謎を実証的に検証したものである。具体的には、ベクトル誤差修正モデル(VECM:
vector error correction model)の枠組みの中で、グレンジャー因果性(Granger Causality)を使って、矛盾し合う金融‐経済成長の仮説を1980年〜2002年の中国で検証した。実証結果は、金融開発プロキシと経済成長変数との間に一連の複雑な双方向の因果性が存在することを支持していた。さらに、双方向因果性は中国の金融システムが、投機的金融ではなく実体経済活動によって動かされていることを示すものであった。この研究結果は、中国の金融システムが効果的に経済成長を支えていることを表している。本発表に対し、多くの質問や意見があり、発表日以降まで続く活発な議論に発展した。
本大会は、中国とアジア諸外国の貿易と通貨政策、そして中国のWTO加盟が中国経済とアジア経済に与える影響についての知識を海外研究者と共有し、有益なフィードバックを得るための大変貴重な機会であった。最後に、本会議の参加に対し渡航費を補助いただいた上海センターにお礼申し上げる。