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京大上海センターニュースレター
124号 2006831
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

   中国・上海ニュース 8.21-8.27

○図們江地域物流ルートの現状と問題点()

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中国・上海ニュース 8.21−8.27

ヘッドライン

中国:企業破産法可決
中国証監会:規制一部緩和したQFII新管理法を発表

中国:17月国有重点企業利潤15.2%増の4967.5億元
自動車:ダイムラー・クライスラー、3車種を展開へ
吉林:松花江の支流で工業排水汚染事故
河南:穀物の茎などの繊維から燃料アルコール生産 
広東:ライチ輸出激減
青島:9月からタクシー約7千台更新
北京:五輪ボランティア10万人を大募集
上海:万博メイン会場着工、09年末に完成

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図們江地域物流ルートの現状と問題点()

               −中国延辺地域を中心にー

中国延辺大学経済管理学院助教授 権哲男

1.延辺地域のGDP推移

(1)GDP規模   (表1)

  2004年、約185億元(約22.6億ドル)。うち、1次産業約28億元、2次産業約83億元、サービス産業約74億元。一人当たりGDP: 8,503

(2)GDP成長率  (表2

199194年平均成長率:GDP8.6%、1次産業5.6%、2次産業6.7%(鉱工業5.7%、建設業21%)、サービス業17%と特に高い。 中国経済の過熱化の影響

199598年平均成長率:GDP5.2%に低下、1次産業2%に低下、2次産業6.1%(鉱工業7.5%、建設業−5%)、サービス業5.5%と著しい減少

19992004年平均成長率:GDP9.5%に上昇、1次産業8.1%に上昇、2次産業11.3%に上昇(鉱工業11.1%、建設業13.3%)、サービス業7.9%に上昇、再び高い成長率を維持

(3)産業構造  (表3

   産業構造:20041次産業約15%、二次産業約45%、サービス産業約40

      1次産業の割合は低下、2次産業の割合は増加、サービス産業の割合は横ばい

2.延辺地域の対外貿易   

(1)輸出入額の推移 (図1)

199293:著しい増加

輸出入額:19911.45億ドル、19934.68億ドルに急増−中国経済過熱による建設素材需要の増加、1992年からの辺境貿易規制緩和、対ロシア、朝鮮の貿易の増加

199495:減少、特に1995年著しい減少

輸出入額:19951.55億ドルに激減、中国政府の緊縮政策の影響

19962001:緩やかな増加

  輸出入額:2001年の3.07億ドル

2002から再び急速に増加:2005年の7.2億ドル−主に輸出の増加によるもの

(2)国別輸出入額と増加率  (表4)、(表5

199294:対朝鮮、ロシア貿易が中心、延辺地域の貿易額の90%前後、特に対朝鮮貿易

が半分以上を占める。

19952001年:1995年対朝鮮とロシア貿易激減、その後回復の兆しがみられない

      対韓国貿易(通貨危機の影響をのぞければ)とその他国の貿易が増加、対日本貿易の増加は非常に緩慢

200205年:対朝鮮貿易が再び急増、その他国の貿易も大きく増加、2004年から対ロシア貿易が急増、対韓国と日本の貿易増加は非常に緩慢

(3)主な貿易相手国別輸出入額   (表6

  対朝鮮は輸出入ともに増加、対露及びその他の国は輸出が大幅増、輸入は横ばい

  対韓および対日は輸入の微増

(4)輸出入商品構造  (表7)、(表8)

 輸出商品構成:木及びその製品27%、農産物15%、織物原料及びその製品14%、靴・帽子類13%、四品目合わせて約70

 輸入商品構成:鉱産物32%、海産品25%、両品目合わせて約57

        鉱産物は主に北朝鮮の鉄鉱砂の輸入、鉱産物輸入額の約75

(本稿は73日の上海センター・シンポジウムにおいて中国延辺大学経済管理学院助教授 権哲男が報告されたものの報告原稿を本人の了解をとって掲載したものです)