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京大上海センターニュースレター
128号 2006928
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

○京都大学上海センター中国自動車シンポジウムのご案内

      中国・上海ニュース 9.18-9.25

     中国省エネルギー・立法国際シンポジウム参加報告

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京都大学上海センター中国自動車シンポジウムのご案内

■日程  20061111()12時開始 17時終了

■場所  京都大学経済学部大会議室(時計台キャンパス総合研究棟2)

■主催  京都大学上海センター、■後援 京都大学上海センター協力会

■シンポジウム・テーマ

中国民族系自動車メーカーの競争力を探る――奇瑞汽車と吉利汽車に焦点を定めて――

■報告

京都大学経済学部 教授          塩地 洋   自動車産業の発展戦略と制約条件

                                             ――民族系メーカーを中心に――

元本田技研工業中国業務室 主幹     山口安彦  産業政策と五カ年計画の指向するところ

                                             ――「自主創新」への流れをたどる――

京都大学大学院経済学研究科博士課程  李 澤建   奇瑞と吉利の車種開発戦略

現代文化研究所中国研究室 主任研究員 廖 静南   外資合弁系・民族系乗用車メーカーの競争力比較分析                                ――補完関係から競合関係になるか――

J.D.パワー・アジアパシフィック    木本 卓   VOC視点から見る車両品質の現状

部長 J.D.パワーシンガポール事務所                  ――IQS(初期品質調査)からのインプリケーション――

東京大学社会科学研究所 教授        丸川知雄  サプライヤー関係から見た民族系メーカーの競争力

大阪商業大学総合経営学部 助教授     孫飛舟    奇瑞と吉利の流通ネットワーク戦略

[終了後懇親会]

■連絡先  京都大学経済学部塩地研究室 ☎075-753-3428  shioji@econ.kyoto-u.ac.jp

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中国・上海ニュース 9.18−9.24

ヘッドライン

                     中国:日本の最大の貿易相手国として定着

                     上海:共産党上海市委員会書記解任、公金流用に関与

          中国:税務管理徹底化が功を奏し、個人・法人税収が安定増加

          中国:高齢者人口、2010年に1.74億人に

          中国:ブロードバンド利用者7700万人 地域間に格差

          国際:中国系会社、ベトナム鉄道現代化工事を請け負う

          中国:次世代インターネットのBNコア技術、国の審査通過

          天津:国内最大規模の天津東疆保税港区、国務院が許可

          浙江:杭州市の日本料理店の寿司から大腸菌が検出

          上海:浦東の人口増加に専門家が警鐘を鳴らす

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中国省エネルギー・立法国際シンポジウム参加報告

経済学研究科助教授 宮ア 卓

去る612132日間にわたり、北京にて、中国全国人民代表大会(「全人代」)財政委員会の主催による標記シンポジウムに参加いたしましたので、概要以下のとおりご報告いたしたい。

 

1.本シンポジウム開催・本学からの参加の背景

中国政府は、1998年公布の省エネルギー法の内容が、公布後今日までの経済環境・エネルギー消費主体の大きな変化等により現状に合致しなくなっている点を踏まえ、来年3月の全国人民代表大会(「全人代」)での批准を目指し目下同法を改定中である。

右改定作業の一環として、中国国内における諸セクターの直面する問題、他国における省エネルギー関連法規につき分析を深めるべく、今般本シンポジウムが、北京の全人代常務委員会会議センターにて、開催されたもの。(主催:全人代財政委員会、共催:天恒持続可能発展研究所、ドイツ技術協力公社(GTZ)

同シンポジウム開催に先立ち、国家発展改革委員会(「発改委」)環境・資源綜合利用司、及び同委の委託を受け改定作業に携わる天恒持続可能発展研究所の関係者が全国日本学士会の招聘により来日した際、本学上海センターからの参加についても打診があり、参加することとなった。

 

2.参加者

中国国内からは、全人代、発改委、財政部、建設部、交通部、国家環境保護総局等の行政部門に加え清華大学からも有識者・専門家が参加、海外からはEU、アメリカ、ドイツ、デンマークからも有識者・専門家が参加。日本からは他に、学士会の他、経済産業省資源エネルギー庁、省エネルギー・新エネルギー部政策課の高見国際協力推進室長より、日本での省エネルギーの取組みに関するプレゼンテーションを行うべく参加した。

 

3.日程、議事概要および所感

本シンポジウムは、先ず中国及び参加各国双方から、自国における省エネ関連の法律、体制及び政策に関する報告からスタート(12日午前)、それを受け、工業、建設及び交通の3つの分野における省エネ関連の課題に関する討議(13日午前)がなされ、最後にこれらの討議内容を踏まえつつ、主として中国側より今後の省エネルギー法改正に向けての検討状況の報告と、それを受けての議論、という構成で進行した。

欧州勢の報告は、主として契約に基づく企業等による自発的な省エネへの取り組みに重点が置かれており、具体的な実施細則を議題としなかったのに対し、日本(資源エネルギー庁)からのプレゼンテーションは具体的な政策実施、法規の執行まで行政の立場から説明するものとなっており、中国側からの質問・コメントのかなりの部分は日本に関するものであった。これらの中国側発言からも、現行の法規が遵守されていないという現状への懸念が伺われる。

中国における省エネルギー法改訂に関しては、従来本シンポジウムの共催者でもあるドイツ技術公社(注:ドイツにおいて二国間の技術協力を実施する組織。日本では国際協力機構(JICA)に相当)が深く関与してきた経緯があるが、今回のシンポジウムを通じ、中国側としても、日本のこの分野における成果とその応用性を改めて認識したものとの印象を受けた。今後行政、学術両面にわたる、本分野における日中の協力関係構築の可能性が開けたものと考える。

なお、本シンポジウムには、中国の環境行政において大きな権限と影響力を有する全人代財政委員会、及び国家発展改革委員会環境・資源綜合利用司が深く関わっている。今般のシンポジウム参加を通じ、これらの部門との交流を深められたことで、中国の環境行政に関連する諸情報の取得が容易なった点にも、本シンポジウム参加の意義と認めうるのではないかと考える。

以上