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京大上海センターニュースレター
129号 2006105
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

      京都大学上海センター中国自動車シンポジウムのご案内

○京都府・(株)舞鶴21・舞鶴港活用企業研究会主催講演会のご案内

      中国・上海ニュース 9.25-10.1

○「中国経済の高度成長は今後20年間も続く」

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                              京都大学上海センター 中国自動車シンポジウム 

                           中国民族系自動車メーカーの競争力を探る

                               ――奇瑞汽車と吉利汽車に焦点を定めて――

2006年11月11日12時

京都大学法経総合研究棟大会議室

総合司会  京都大学大学院経済学研究科助教授椙山泰生

挨拶   京都大学理事・副学長西村周三

12:10-12:50

京都大学経済学部 教授              塩地 洋    自動車産業の発展戦略と制約条件

                                     ――民族系メーカーを中心に――

12:50-13:15

元本田技研工業中国業務室 主幹       山口安彦   産業政策と五カ年計画の指向するところ

                                     ――「自主創新」への流れをたどる――

13:15-13:30

京都大学大学院経済学研究科博士課程   李 澤建    奇瑞と吉利の車種開発戦略

[休憩]

13:40-14:05

現代文化研究所中国研究室 主任研究員   廖 静南     外資合弁系・民族系乗用車メーカーの競争力比較分析

                                          ――補完関係から競合関係になるか――

14:05-14:30

J.D.パワー・アジアパシフィック 部長       木本 卓     VOC視点から見る車両品質の現状

                                       ――IQS(初期品質調査)からのインプリケーション――

14:30-14:55

東京大学社会科学研究所 教授         丸川知雄    サプライヤー関係から見た民族系メーカーの競争力

14:55-15:10

大阪商業大学総合経営学部 助教授      孫飛舟

金沢学院大学経営情報学部 講師       西川純平奇瑞と吉利の流通ネットワーク戦略

15:10-17:00

討論

 

懇親会  総合研究棟3階311教室

御挨拶 京都大学大学院経済学研究科長・経済学部長森棟 公夫

連絡先  京都大学経済学部塩地研究室 ☎075-753-3428  shioji@econ.kyoto-u.ac.jp

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京都府・(株)舞鶴21・舞鶴港活用企業研究会主催講演会のご案内

「中国東北部のゆくえを考える」

 関西地域や日本海側の玄関港・京都舞鶴港の今後の発展に大きな影響を与える中国東北部について理解を深めていただき、今後の経済交流や対岸貿易の促進に繋げることを目的として開催いたします。みなさま、お誘い合わせの上、奮ってご参加ください。

日時 平成181026日(木)PM2:004:00

場所 リーガロイヤルホテル京都 2階「愛宕の間」

    京都市下京区東堀川通塩小路下ル松明町1  電話:(075341-1121

次第 1. 京都舞鶴港の現状報告

   2. 講  演 「我が人生と中国東北部振興に期待するもの」

               日本国際貿易促進協会  理事長 中田 慶雄 氏

   自らの体験と実践を通じて、中国東北部の過去から現在、そして未来まで見つめてきた。この体験をもとに中国東北部の人々の暮らし、政治、経済の情勢の変化、そして、中国政府のこれからの東北部振興策と日本との関係などを熱く語る。

中田慶雄氏プロフィール 

 1930年生まれ 京都府出身、1945年開拓農専学生として中国へ渡航

 1956年〜1958年上海復旦大学、1959年〜1963年日中友好協会京都府連合会理事

 1964年〜1993年日本国際貿易促進協会部長 1994年〜 現職

参加費・定員

 無料・100(先着順)

申込方法:社名、役職・氏名、連絡先(電話番号)をご記入の上、FAXにてお申込みください。メールによる申込みも可。※参加証を発行いたしませんので、予めご了承ください。

お問い合せ・申込み先

 京都府経済交流・貿易室 TEL: 075-414-4840 FAX: 075-414-4842

             E-Mail: trade@pref.kyoto.lg.jp

主催:京都府・(株)舞鶴21・舞鶴港活用企業研究会 

共催舞鶴市・舞鶴港振興会  後 援:日本国際貿易促進協会京都総局

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中国・上海ニュース 9.2510.1

ヘッドライン

                     中国:国民海外旅行文明行為指南が発表

                     中国:自動車部品の関税問題、欧米の要求を拒否 

          中国:登録企業数が877万社突破

          中国:1−8月ソフトウェア産業の売上げ25%増

          中国:電化鉄道総延長、2.4万キロ超、世界2位に

          自動車:吉利汽車、奇瑞汽車に継ぎインドネシア進出へ

          西安:初の地下鉄が着工、全長26.4キロ

          内モンゴル:包頭市で鳥インフルが発生

          北京:中古車取引に注目 8月販売数が2.3万台

          交流:北京大生と東大生が「京フォーラム」を共同開催

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「中国経済の高度成長は今後20年間も続く」

―労働力コスト、国内市場需要が高度成長を後押し。マクロ経済の安定など4課題に対応すべき―

 

以下は『人民日報』(海外版)9月6日(第5面)掲載記事を北東アジア研究交流ネットが翻訳したものです。翻訳者の了解を得て掲載します。以下、訳文。

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 1978年改革開放以来、中国経済は27年間年平均9.3%以上高度成長し、世界経済の平均成長率3%を大きく上回っている。このような高度成長はいつまで続くのか、成長の有利な条件は何なのか、阻害要因とリスク要因はどこにあるのか。本紙はこのような問題で、北京大学副学長、同大学中国経済研究センター副主任海聞教授を単独取材した.

「中国経済はまだ持続成長する原動力がある」

 記者:中国経済は今後も7〜8%の高度成長を持続するのか、これは国内外で大変注目される問題である。教授はどう見ているか。

 海聞:中国経済をどう見るか、我々は持続的な高度成長を維持できるのか。世界各国各界でいろんな異なる見方がある。経済学者として私は基本的に楽観的である。この楽観的な見方は盲目的なものではなく、中国とその他の諸国の状況を比較分析した上で得た結論である。中国経済は今後少なくとも20年間は高度成長を続けられると思う。当然この高度成長は相対的なもので、年増加率はおおよそ6〜10%幅で推移すると思う。

「労働力優位が長期間存続する」

 記者:教授の判断の根拠は何か。

 海:四つの理由がある。まずは中国の人的資源、労働力のコストが少なくとも20年間は競争力を持ちうる。経済発展の重要な要素は資源の供給が競争力を支えることができるかである。我が国の労働力資源は非常に豊富である。現在我が国の大勢の人は依然として農村で生活し、2004年まで農村人口が全人口の58.2%を占める。この農村の労働力はコストが非常に低い。一つの国が経済のテックオフを実現するためには、その国の農村人口が20%以下にならなければならない。もし我が国が今後農村人口比率を60%から20%以下まで減らすとすると少なくとも20年間はかかる。したがって、この20年間は労働力コストの競争力は維持できる。

「内需が第二のエンジンになる」

 海:第二は、中国の市場規模で今後は内需が経済成長を推進する原動力となるはずである。経済学で規模経済の定義がある。一つの企業あるいは業界が一定規模まで発展したら、平均コストが下がる。一つの国家、一つの企業がある程度の規模を持たないと、利益を生むところか生き残りも困難である。この面で、中国は独特の有利な条件がある。13億人口の購買力はどの国よりも強い。今後20年間、我が国の国内市場はますます重要な役割を果たすだろう。仮に、外国資本が中国経済成長を推進する第一のエンジンだとしたら、国内市場発展により生まれる大きな需要は我々の将来の持続的な経済高度成長を推進する第二のエンジンとも言える。

「制度改革が創造力をもたらす」

 海:第三は、中国の改革の深化により生まれた制度の変革は、さらに創造力と生産性を高めるだろう。我が国の計画経済から市場経済への移行過程は、まだ相当長い過程であり、一定期間の適応と調整が必要である。我が国の制度改革はまだ完成していない。制度改革を通じて資源の効率をさらに高めることができる。我が国の企業は市場形態からすると依然として独占分野があり、それらが効率性を損なっている。また多くの企業の所有権問題は解決しておらず、多くの潜在力を有しており、この改革が完成する明けには、資源がもっと有効に利用されるだろう。

「外部の条件が日韓の高度成長期より良い」

 海:第四は、もっと開かれた国際環境はグローバル市場と資源を活用することを可能にしている。要するに、前世紀の90年代以降、世界はさらに開放され、1995年には世界貿易機構(WTO)が成立して、従来の非規範的な貿易のルールをグローバルスタンダードに変えてしまった。これは我が国にとっては安定的な外部条件であり、当時の日本や韓国の高度成長期に比べてさらに良くなっている。当時はこの二つの国は多くの反ダンピング訴訟や貿易上の不平等な扱いをされていた。

「四つの課題に取り組む必要がある」

記者:我が国の経済が持続的に安定的に高度成長を20年間続けるためにはどのような問題やリスクに遭遇するだろうか。

海:以上に話した可能性は決して現実とは言えない。中国経済はまだ多くの問題を抱えており、それらの問題に適切に対応できなければ経済は波乱様相を含むだろうし、成長が止まることさえあり得る。そこで、次の四つの課題に取り組まなければならない。

 第一の挑戦は、如何にしてマクロ経済の大きな波動を避け、安定を図るかである。我が国のマクロ経済の波動は、多くの場合は非経済的、非理性的要因によるものである。それは企業によるものと言うよりは政府によるものである。地方政府は投資の誘惑から脱出できず、この問題を解決できなければ、経済の大幅な振動が予想される。現在中央政府は比較的に慎重で常にマクロ・コントロールで過度な成長分野を抑制している。しかし、地方政府の投資誘惑問題を根本から解決しないと、マクロ経済の波動のリスクは依然として存在する。

 第二の挑戦は、如何にして我が国の小型企業のフールセット傾向問題を解決するかである。我が国の企業は規模が小さくても実力が弱くてもいろんな分野に投資しているが、何れも特化していない。現代の経済は規模と特化が必要であり、それこそ企業の国際競争力を強化する道である。

 第三の挑戦は、如何にして社会の安定を保かである。市場は万能ではなく、欠陥が存在し、機能が失われることもあり、市場は社会の公平問題を解決できない。所得格差の拡大は社会の不安定要素を増加し、それは経済成長に影響を及ぼす。我が国は人口が多いが、これはあくまでも潜在的な巨大市場であり、現実的なものではない。13億の人口が購買力を付けてこそそれは巨大な市場に変わるのである。そのためには所得の分配を調整しなければならない。

 第四の挑戦は、如何にして国際関係を正しく処理し、複雑な国際環境に対応するかである。我々が直面しているのは新しい国際環境であり、これは単純に政治的関係だけではなく、経済的な環境も非常に重要である。例えば反ダンピング問題、貿易戦争、為替レートの争い等は何れも経済と関連している。

「市場の機能低下により生じる問題を重視すべき」

 記者:上記の問題をどのように克服し、我が国の将来の20年間の持続的な成長を保証するのか。

 海:私はやはり市場主導の改革を続け、同時に政府の機能と役割を転換し、市場機能喪失によりもたらされる問題と国際関係を上手く処理すべきだと思う。中国の改革は続けなければならない。企業改革、医療改革、教育改革、行政体制の改革など。財政税制改革も重要であり、とりわけ地方税制体制の改革をしなければならない。そのほか、我々は行動や考え方を常に変えていかなければならない。旧い意識や考え方は市場経済やグローバル化に適応しなければならない。国際関係において、重要な問題については大国としての責任とモラルが重要であり、国際世論や公共世論および民意を巧みに我々に有利に働くように努力しなければならない。

 (終わり)