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京大上海センターニュースレター
134号 2006119
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

      京都大学上海センター中国自動車シンポジウムのご案内

      中国・上海ニュース 10.30.-11.6

中国の環境改善向け円借款を評価

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京都大学上海センター中国自動車シンポジウムのご案内

■日程  20061111()12時開始 17時終了

■場所  京都大学経済学部大会議室(時計台キャンパス総合研究棟2)

■主催  京都大学上海センター、■後援 京都大学上海センター協力会

■シンポジウム・テーマ

中国民族系自動車メーカーの競争力を探る――奇瑞汽車と吉利汽車に焦点を定めて――

■報告

京都大学経済学部 教授           塩地 洋   自動車産業の発展戦略と制約条件

                                             ――民族系メーカーを中心に――

元本田技研工業中国業務室 主幹       山口安彦  産業政策と五カ年計画の指向するところ

                                             ――「自主創新」への流れをたどる――

京都大学大学院経済学研究科博士課程    李 澤建   奇瑞と吉利の車種開発戦略

現代文化研究所中国研究室 主任研究員   廖 静南   外資合弁系・民族系乗用車メーカーの競争力比較分析                                ――補完関係から競合関係になるか――

J.D.パワー・アジアパシフィック      木本 卓   VOC視点から見る車両品質の現状

部長 J.D.パワーシンガポール事務所        ――IQS(初期品質調査)からのインプリケーション――

東京大学社会科学研究所 教授 丸川知雄  サプライヤー関係から見た民族系メーカーの競争力

大阪商業大学総合経営学部 助教授       孫飛舟    奇瑞と吉利の流通ネットワーク戦略

[終了後懇親会]

        参加希望者は以下に連絡ください。

 京都大学経済学部塩地研究室 ☎075-753-3428  shioji@econ.kyoto-u.ac.jp

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中国・上海ニュース 10.3011.

ヘッドライン

                     中国:預金準備率0.5%引き上げ、過剰流動性に警戒か

                     国際:中国・アフリカ首脳会議開催

          中国:中央政府の社会保障資金が1兆元不足

          中国:55年ぶり「暖秋」で、全国的に干ばつ被害が拡大

          中国:3大都市大学生の平均月収700元、親の仕送りが中心

          自動車:フィアット、奇瑞からエンジン購入へ 年10万台超

          自動車:GMハイブリッド車を2008年から中国で生産予定

          上海・北京間高速鉄路:投資総額大幅に膨らみ2000億元に

          上海:今年のGDP1兆元突破の見込み

      住宅:79月の住宅販売価格、北京上昇、上海下落

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中国の環境改善向け円借款を評価
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国際協力銀行(JBIC)との共同調査結果を北京でフィードバック

上海センター運営委員 助教授 宮ア 卓

 中国は、急速な経済発展に伴い環境問題が深刻化しており、隣国たる日本に及ぼす影響についても、様々な懸念が生じています。こうした状況の下、日本(国際協力銀行:JBIC)は、中国の大気汚染・水質汚濁対策など多数の環境改善事業向けの環境円借款を供与してきました。その額は中国向け円借款総額31,763億円の約30%を占めています。

京都大学上海センターは、こうした中国の環境円借款の効果を包括的に把握するため、2005年にJBICと共同で「中国環境円借款貢献度評価にかかる調査」を実施しました。その結果、これらの事業の直接的効果として二酸化硫黄などの汚染物質の削減量を定量的に把握できただけでなく、間接的効果としての環境政策・制度改善への寄与についても確認することができました。

この調査の結果を中国側にもフィードバックするため、200682日 「中国環境円借款評価セミナー」が、北京にて開催されました(JBICと中国国家環境保護総局との共催)。

セミナーでは、まず京都大学上海センター学内研究員(環境学堂)森晶寿助教授より、環境円借款の効果についての上記調査の結果が報告され、酸性雨の原因となる環境汚染物質、二酸化硫黄が1年間で19万トン削減できたこと、省庁間の協調と地方政府や企業の環境保全責任意識が向上したことなど、中国の環境問題への貢献が発表されました。

続いて、JBICからは円借款事業の評価システム、中国国家環境保護局からは中国の都市環境評価制度の概況が紹介されました。

その後のパネルディスカッションでは、環境事業の評価のあり方や方法、さらには環境統計制度の整備についての両国間での枠組構築の可能性など、今後の日中環境協力に向けた課題について活発かつ有意義な討論が行われました。

なお、本セミナーに対してはマスコミからの関心も高く、日中双方の政府、大学、研究機関、プレス等関係者約140名が参加し、その模様はNHK、新華社等で報じられています。

京都大学としても、このように、日中両国間の関係において重要度を増している環境問題に関して、日本の貢献度を学術的な立場から明らかにし、世に問うことが出来た意義は大きいものと思われます。