=======================================================================================
京大上海センターニュースレター

136号 20061123
京都大学経済学研究科上海センター

 

 

=======================================================================================
目次

      「国際シンポジウム 近代上海像の再検討」のご案内

      中国・上海ニュース 11.13-11.19

青島 田吾作 駐在記

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

京都大学経済学研究科上海センタ−主催

「国際シンポジウム 近代上海像の再検討」のご案内

■主催 京都大学上海センター

日時 2007121日(日)午前9〜午後6時

■会場 京大会館(京都市左京区吉田河原町15-9 電話075-751-8311

■プログラム

午前9時〜12時

◇張忠民(上海社会科学院) 「近代上海の都市総合競争力」

◇陳計堯(東海大学)  「近代上海食糧市場の変遷――米穀と小麦粉の比較研究 1900-1936──

堀和生(京都大学)  「上海の経済発展と日本帝国」

午後1時30分~6時

◇李培徳(香港大学)1920年代から1930年代まで上海銀行家の横領上海商業儲蓄銀行を事例として─」

◇蕭文嫻(大阪経済大学) 「中国幣制改革と外国銀行」

小瀬一(龍谷大学) 「開港場間貿易と中国の市場統合」

◇木越義則(京都大学) 「両大戦間期上海における貿易物価構造」

午後6時〜7時半 記念レセプション

■事務連絡先 606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院経済学研究科  堀 和生    

       電話 075−753−3438 ファックス 075−753−3499

       e-mail      hori@econ.kyoto-u.ac.jp

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

中国・上海ニュース 11.1311.19

ヘッドライン

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

                     中国:外資系銀行の新管理条例が公布 

                     中国:10月実質外資導入額は16%増

          中韓自由貿易区:産学官連携で実現可能性を検討

          中国:10月の都市部固定投資資産伸び率 過去4年で最低

          中国:10月工業増加値14.7%

          中国:生保会社の保険料収入は3204億元、外資系25社が175億元

          中国:白酒製品の2割が品質不合格 

          自動車:北京モーターショー開幕、約1500社が参加

          産業:宝山鋼鉄、自動車用鋼板の生産量が通年では260万トンに達する

          上海:上海証券取引所、時価総額が5兆元に、総合指数2000ポイントを突破

=============================================================================

 

青島 田吾作 駐在記

  積水(青島)塑膠有限公司  藤井 重樹

20067月に青島に赴任後4ヶ月余りが経過した。私にとって初めての海外勤務であり、聞いてはいたが仕事上でも生活上でも色々と想定外のことが起こる。軸を失わず臨機応変に対応、青島生活を楽しみながら業務に邁進したいと思う。4ヶ月余りの中での田吾作駐在記の幾つかを紹介したい。

まず衣食住!

【衣】赴任した7月、中国の人はほとんどの人がオフィスでも半そで開襟シャツでネクタイはしていない。手荷物に長袖シャツしか持ってこなかったので、青島のジャスコで半袖シャツを購入したが、この格好は楽。その写真を家内に送ったところ、「中国のおっちゃんになっている」とのコメント。

【食】中華料理のレストランに行くと何をオーダーしても一皿3空人前位あるので、基本的に3名以上いないと行けない。よって一人で食事するときは日本食になる。これだと1人前出てくる。只、夏、ナマモノには注意が必要。同僚が鉄火丼を食べて食中毒になり大変だった。

【住】最初、事務所近くに仮住まいしていたが、日本のTVが全く映らず、最上階なのでお湯が出にくく風呂を一杯にするのに20分位かかる。それからは面倒くさいのでシャワーのみにしている。夏の青島は日本より涼しいので過ごしやすく多くの観光客が中国各地から来るのが判る。只、冬はマイナス15度になり風も強く、事務所の暖房はあまり入らなく大変寒いらしい。

買ったばかりの掃除機が火を噴いたが、保証書が無いに関わらずハイアールの人が来てくれて無償でモーター交換。さすがハイアール、アフターメンテはしっかりしている。

◆中国の臭い

 どこの国でもその国独特の臭いを感じるが、中国にも町を歩いてもホテルでもレストランでも独特の臭いがある。これはどうも残飯の処理が原因の一つではないかと思う。アパートで必要な家庭用品を購入したが、日本で通常使っているキッチンの三角コーナーと網袋が何処に行っても売っていない。中国では残飯を水をきらずに放置したり捨てたりするので、それが臭いの原因の一つになっているのでは・・・。

◆モノの価格

中国に来てまず感じるのは価格の安さである。タクシーなんかは15分位走っても200円まで、マッサージなんかは1時間で500円から700円の間で10分間1000円の東京の約1/10だ。林檎、梨、桃は各3個全部で9個買っても品種にもよるが普通のものなら200円〜300円で買える。只、日本から輸入の食材は日本の約3倍する。シーチキンの缶詰が日本なら100円が青島では300円。電気製品も安く掃除機なら安いものなら3000円からある。以外と高いのはウオシュレット。食事は大衆食堂へ行けば3名行っても1000円までで済むところが多いが、日本料理店に一人で行って、つまみ、ビール、そばくらい食べて2000円位になる。(利益率高そう。)今年、山東省で日本人駐在の方が殺されたが、これが依頼殺人で、7500円位で請け負うそうである。うらみを買うと大変である。4ヶ月経ち生活に慣れてきたが改めて外国にいるということを感じる。

AGR(積水青島で製造販売している樹脂管)のブランコ

 大型高級マンション物件へのAGR納入が決まった。モデルルームを見学させてもらったが約100棟あるマンションは全て、TOTO、リンナイ、シーメンス、三菱等の製品、床は大理石と非常に高級。販売価格は1平方メートルあたり12万円程度。先方曰く「AGRは目に見えないので、配管にこんな高級パイプを使用しているということを、工場でお客さんに見せているAGRのブランコを使ってお客様にアピールしたい。」ということでAGRのブランコを製作し納入した。これをモデルルーム入口のレセプションセンターに置いたところ多くのお客様が何の気兼ねもなくAGRのブランコに乗り感心している。「強いパイプだね!これは凄い!」ユーザーに訴えるには単純明快なことが必要だ。Intel inside ならぬ SEKISUI inside でユーザーもインテルの入っているパソコンを買うように、SEKUSUI AGR の入っているマンションを選んでくれてブランド価値が更に上がれば良いのだが・・・そうすれば商売が楽になる。

◆飲めない水

青島には水道水を2010年には飲めるようにしようという計画がある。青島の水源は黄河で、水道の蛇口を捻ると出てくる水は無色透明、無臭だが、これが曲者で飲むことは出来ない。日本人はうがいをしても腹をこわす事があるらしく、小職は料理はもちろん歯磨きもミネラルウォーターを使っている。飲めない理由は硬水である事、黄河の最下が取水ポイントで生活排水や工場廃液が多く流入しているからである。都合の悪い事は「水に流す」という言葉が日本にはあるが、これは綺麗で豊富な水がある日本ならではではないかと思う。水が文化に及ぼす影響の大きさに今更ながら感じる。

★中国語と日本語

1回、青島大学の日本語学科の学生を家庭教師に中国語を勉強しているが、正直この歳になると新しい外国語の習得は大変である。特に日本語にない発音があるので、間違いなく話すのは非常に難しい。日本語を学ぶ中国人にとって日本語の発音は簡単で間違いは少ないらしく、難しいのは敬語、丁寧語とのこと。よく誰それは敬語もきっちりしゃべれるので日本語が上手いと聞く。

ある中国人曰く

・丁寧語には「お」を付けると良いと勉強した。しかし例外がいっぱいある。

・「おねぎ」「おいも」はあるが、「おほうれん草」「おかぼちゃ」はない。 

・「お醤油」「お味噌」とは言うが「お胡椒」とは言わない。

・「お二階」と言うのに「お三階」「お四階」と言わないのは何故か?

以上を聞かれたが、うーんと唸ってしまった。小職にも判らないから、一から日本語を学ぶ人には全く不思議で且つ難しいと思う。これらを自由に喋れる人は上級者に違いないとあらためて感じた。

★資金繰り

親しくなった販売先の購買部長から「お金はすぐ払いますので安心下さい。」との話を何回もしてくれ、少しやきもきしたが入金があった。これなんか例外である。中国において代金回収はとても頭の痛い問題だ。中国では、支払を遅らせることこそ経営手腕と見做される場合も多いので構造的な問題になっている。また、中国では日本のように手形不渡りによる取引停止処分がないため、不渡りを出した企業も淘汰されない。大変である。こんな状況で毎日一番気を遣うのは資金繰り。出金に印鑑を押すのは一番ストレスが溜まる。

★初めての病院

前日の乾杯のし過ぎと油濃い食べ物で胃の調子が悪く熱が36.8度(平熱が35度少し)も出たので、ウエルビー(海外医療サポート会社)に連絡して病院に行くことにした。ウエルビーに電話すると女性が出て、青島市民病院の前で待っているという。病院の前で待っていてくれた彼女に案内され医師の前に座ると、彼女が通訳してくれる。触診の結果大したことがないということで飲み薬をもらって帰った。その飲み薬はアンプルに入っている。食後その薬を飲んでから何気なく箱をよく見てみると「注射液」と書いてある。大変だ!・・渡された薬が間違っていたのかとびっくりしてウエルビーの女性に電話してみると、中国ではよく注射液を飲むとのこと。翌日全快したが、「注射液」はなんとも変な味である。健康には注意したい。

★「みしみし」

 中国人が一緒にご飯を食べようとするとき、時々「みしみし」と言う。これは「みしみし」でなく「飯々(めしめし)」だとのこと。何処でこの変な日本語を覚えたかと言うと、TVで2つくらいは常時やっている反日映画、ドラマからである。ここに出てくる日本兵が農家に押し入り「みしみし」と言いご飯を要求する訳。これ以外にも反日番組に出てくる日本兵は変な日本語をいっぱい使っているので、あの番組は「美しい日本語」を覚えるにはマイナスである。

 中国の方と会食するときは政治的な話題は避けるが、今まで「小泉首相をどう思いますか」という質問を2回受けた。2回目が先月で代理店社長の部下で女性、おじいさんが日本兵に殺されたとのことで段々興奮してくる。代理店社長は気を遣い通訳に訳すなと指示していた。「母は小泉首相が嫌いで・・」というと爆笑、その後は中国人と結婚してアメリカに住んでいる親戚の話や漢詩の話。そして最後はビジネスが上手くいくよう握手して再会を誓った。この代理店は30階建の自社ビル、200以上のショップを持っていて、この日が新規契約の日だった。