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京大上海センターニュースレター
140号 20061221
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

      「国際シンポジウム 近代上海史像の再検討」のご案内

      中国・上海ニュース 12.11-12.17

中国西安交通大学との協力に向けて

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京都大学経済学研究科上海センタ−主催

「国際シンポジウム 近代上海史像の再検討」のご案内

■主催 京都大学上海センター   ■共催 上海センター協力会

日時 2007121日(日)午前9〜午後6時

■会場 京大会館(京都市左京区吉田河原町15-9 電話075-751-8311

■プログラム

午前9時〜12時

◇発表者 張忠民(上海社会科学院)近代上海における都市の発展と都市総合競争力

コメンテーター 金丸祐一(立命館大学)

◇発表者 陳計堯(東海大学)「近代上海食糧市場の変遷―米穀と小麦粉の比較研究1900-1936

コメンテーター 城山智子(一橋大学)

◇発表者 堀和生(京都大学)「上海の経済発展と日本帝国」

コメンテーター 久保亨(信州大学)

午後1時30分~6時

◇発表者 李培徳(香港大学)1920年代から1930年代まで上海銀行家の横領

                         上海商業儲蓄銀行を事例として─」

コメンテーター 金丸祐一(立命館大学)

◇発表者 蕭文嫻(大阪経済大学)「中国幣制改革と外国銀行」

コメンテーター 城山智子(一橋大学)

◇発表者 小瀬一(龍谷大学)「開港場間貿易と中国の市場統合」

コメンテーター 古田和子(慶応大学)

◇発表者 木越義則(京都大学)「両大戦間期上海における貿易物価構造」

コメンテーター 久保亨(信州大学)

午後記念レセプション

■事務連絡先 606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院経済学研究科  堀 和生    

       電話 075−753−3438 ファックス 075−753−3499

       e-mail      hori@econ.kyoto-u.ac.jp

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中国・上海ニュース 12.1112.17

ヘッドライン

                     国際:北京で中印米日韓のエネルギー閣僚会議が開催 

                     中国:軍産、石油、電信など7業界は絶対国有化

          中国:2006年の財政収入3兆9000億元に

          中国:「中国基準金利」来年11日に発表へ

          中国:次世代原発、米WH技術導入へ

          中国:洗濯機の輸出急増、06年は1150万台の見通し

          内モンゴル:満州里から露へ自動車輸出急増

          武漢:都市部の中年夫婦、「新・空き巣症候群」に悩む 

          都市調査:北京市民より上海市民が若干「健康」 

          上海:上海万博への参加国・団体は100を超える

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中国西安交通大学との協力に向けて

経済学研究科助教授 宮崎 卓

去る1110日、山本センター長、大森協力会副会長ほかが、中国先生省西安市にある西安交通大学を訪問、当センターが来年開催予定のシンポジウム「中国西部大開発及び内陸部経済発展の現状と展望(仮題)」への参加を含めた、京都大学、西安交通大学間の今後における協力の方向性につき議論しました。(先方:潘季教授 (全国人民代表大会常務委員、校務委員会主任、西部発展研究センター長)、李国平 経済与金融学院教授、蔡艶之 西部発展研究センター副教授、国際合作与交流処 豊鎮平処長)

西安はかつての隋・唐代の都長安であり、人材往来の歴史は、遥か阿倍仲麻呂や空海の時代にまで遡ることができますが、ここに位置する西安交通大学は、中国で最も早く創られた大学の一つで、100年の歴史を誇る名門校です。1896年当時は南洋大学という名称で上海にあったものが、その後1921年交通部の管理になった時に交通大学と改名、1956年にこの交通大学の主要な部分を西安に移すことが決定され、現在の西安交通大学に至っています。なお、大学名には上記の歴史的経緯から「交通」の語が残されていますが、交通関係の専門を指しているわけではなく、現在は約32,000名の学生が学ぶ工科綜合大学となっています。

西安交通大学の特長として、中国西部の大学の中でも西部発展研究センター(http://www.bestwest.com.cn/index.asp)を設置、西部大開発に関連した研究に積極的に取り組んできている点も挙げられます。同センターは中国西部地域における経済・社会発展に関し、理論・政策にかかる研究と提言を包括的に行うべく19989月に設立されたものです。西部大開発の拠点となる都市としては西安のほかにも、成都、重慶が挙げられますが、西安交通大学のセンターは、前陝西省党書記の張勃興氏が同センターの理事長を務めるなど、省政府の政策としても非常に重視しているものであると言えます。

同センターは西部地域の発展にかかる研究に関連して、電子ジャーナル「西部発展論壇」 を発行(http://www.bestwest.com.cn/dzqk.asp?board=8)、20059月循環経済シンポジウムを開催した他、過剰農村人口の吸収、農村の活性化を主な目的とした小城鎮(農村における商工業中心の小都市)建設政策についても、西安市を中心とし、咸陽、宝鶏などの中規模都市を骨格とする都市群の形成を提言する等、一連の研究成果を発表、活発な活動を見せてきています。

また、日本の大学との連携を進めてきており、潘季教授、蔡艶之副教授と早稲田大学西川潤教授との編著になる「中国の西部開発と持続可能な発展―開発と環境保全の両立をめざして」(同友館、2006年)において、その成果の一部が現れています。同書においては、日本にも深刻な影響を持ちうる、中国内陸部の人口流出、貧困、さらにこれらと深い関連を持つ内陸部の環境劣化の現状、および持続可能な発展の可能性を模索するという内容になっています。

今回の会議の席上、西安交通大学、特に西部発展研究中心から、中国の国内における経済格差問題、及び内陸部における環境問題といった分野において、京大とも協力関係を深めていきたいとの積極的な発言がなされました。これらの分野は、京都大学としても、上海センターと地球環境学堂が主体となり、国際協力銀行と協力して昨年度「中国環境円借款貢献度評価に係る調査中国環境改善への支援(大気、水)」を実施、その結果を中国側関係部門にもフィードバックするなど、研究の成果を挙げてきている分野です。したがいまして、今後中国の西部大開発・内陸部経済発展の研究や政策提言において中心的な役割を果たすことが期待される西安交通大学とのこれらの分野における協力は、更なる学術的な成果を生み出しうるものと期待されます。

来年の上海センターシンポジウムへの協力、更にはより一般的に西部大開発・内陸部経済発展の研究に関し、今後より具体的な計画の策定に向け協力を深めていくことになるものと思われます。