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京大上海センターニュースレター
173号 200788
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

○国際コンファレンス「東アジア経済のガバナンス問題」のご案内

      中国・上海ニュース 7.30-8.5

○積水化学の中国事業と内陸部開発

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国際コンファレンス「東アジア経済のガバナンス問題」のご案内

前号でもお知らせしましたように、京都大学21世紀COE経済学プログラムは、上海センターと共催で、「東アジア経済のガバナンス問題」をテーマとした国際コンファレンスを9月18−19日に開催します。会場は、京都大学百周年時計台記念館の2階国際交流ホールです。

 コンファレンスの目的は、従来以上に緊密な相互依存関係をもつようになった東アジア諸国民のかかえる経済問題を「ガバナンス」の視角から検討することです。この目的で、地域空間経済学、国際通貨・金融、コーポレート・ガバナンス、地域・公共政策、環境保全などのさまざまな領域での研究の発展を統合するとともに、制度と組織の経済分析の成果を生かす必要があります。

コンファレンスにはこの地域の指導的研究者を招くとともに、提携関係にある大学に積極的な参加をよびかけています。また、経済学研究科と提携関係にある東アジア4大学からは、若手研究者も参加して、京都大学の若手研究者とともに、引き続く9月20−21日に開催されるヤング・スカラーズ・ワークショップで研究報告するとともに交流を拡大します。なお、使用言語はコンファレンス、ワークショップともに英語です。詳細は前号「ニュースレター」ないし、経済学研究科COE支援室(tel. 075-753-3452: coe-jimu@econ.kyoto-u.ac.jp)にお願いします。

(組織委員:八木紀一郎)

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中国・上海ニュース 7.30−8.5

 

ヘッドライン

 

■ 中国:07の経済成長率は11.3%と予測

■ 中国:中国農業銀行に400億米ドルの資本注入へ

■ 自動車:07年1−6月自動車輸出台数7割増、金額が倍増

■ 中国:07年4−6月食中毒死亡者70人

■ 中国:三峡ダムへの流入水量が増え、一日発電量は2億キロワット時超

■ 遼寧:大連、定年退職後の日本人専門家を大量導入

■ 河南:集中豪雨で死亡、行方不明者60人

■ 北京:世界最大級のプラスチック・リサイクル工場が操業開始

■ 北京・上海:日本米の販売開始、富裕層をターゲットに売れ行き好調

■ 甘粛:蘭州市、大規模汚水処理場が完成、総投資額に円借款約25%

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積水化学の中国事業と内陸部開発

積水化学工業株式会社/

積水(青島)塑膠有限公司 

総経理 藤井重樹

72日のシンポジウムで小職が報告した概要は以下のとおりです。

積水化学は1947年に設立、今年で60周年を迎えた。プラスチックで豊かな生活づくりを目指しスタート、20073月末で従業員約18,000名、世界15カ国に147の子会社を擁するに到っている。

事業分野は主として住宅事業(高度工業化住宅)、高機能プラスチック事業及び環境・ライフライン事業である。高機能プラスチック事業においては世界トップシェア製品が多数あるほか、環境・ライフインフラ事業においても日本のトップシェアを誇っている商品が多い。

高機能プラスチック事業及び環境・ライフライン事業については、今後更なるグローバル化に成長チャンスがあるものと見ており、中国事業についても、その市場規模の大きさ及び高い成長率見込を踏まえ、2010年までに売上高500億円規模の事業確立を目指している。中国の事業ビジョンは、輸出を含めてすでに基盤の確立している中間膜、IT、機能材料の事業拡充に加え、潜在成長力の大きなRCP管、AGR/PEX、メディカルの3戦略事業の本格立ち上げに注力し中国社会のニーズに応えることにある。「科技之水 潤沢生活(積水化学の技術の水で、中国の皆様の生活を潤す)」が積水化学の中国での事業スローガンである。

中国では北部では干害、南部では水害と、水に関する災害が懸念される状況下で、水資源の有効活用を図っていくことが課題で、そのような状況下、積水化学の総合的な技術が中国の「水」問題の解決に貢献出来ると考えた。中国という大きな市場でのビジネスチャンスでもあるが、企業としての社会的役割でもある。

都市部では生活様式が変わり、水の需要が増大、建築管材に対する要求も高まってきている。積水青島塑膠有限公司を生産販売拠点とし、日本国内でNo.1実績のある高性能水道管材AGRを中国市場に展開し「安全と信頼」の快適な水環境創造事業を目指している。

又、慢性的な水不足から、農業用水、南水北調を含む大規模な導水管、更に急ピッチですすむ下水管など水インフラの整備が喫緊の課題であるが、従来の管材では耐腐食性、水密性に問題があり、強化プラスチック管の需要が増大している。

こうした状況下、新疆ウイグル自治区に新疆永昌積水複合材料有限公司をスタートさせた。同公司は西部大開発のほか、中近東や中央アジアなどへの輸出も視野に入れたものである。

この強化プラスチック複合管は耐久性、水密性で高品質であり総合コストも安く、都市の引水供水・汚水、農業灌漑・排水、工業用水・排水などに幅広く使われている。積水は製品のみならず配管設計技術、施工技術も提供することで、ユーザーの課題解決に貢献、中国国内のみならず中央アジア諸国にも広く事業を拡大している。

(今号以降4度にかけて、7/2の上海センター・シンポジウムの4報告を掲載します。・・・編集部)