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京大上海センターニュースレター
183号 20071018
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

      京都大学上海センター 中国自動車シンポジウムのご案内

○ジョージ・クー氏講演会のご案内

      中国・上海ニュース 10.8-10.14

○日本の米:中国での売れ行き好調の示すもの

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京都大学上海センター 中国自動車シンポジウムのご案内

「中国におけるユーザーの購買行動―クルマの選び方・乗り方・売られ方―」

2007113() 12時  於  京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホール

挨拶 京都大学理事・副学長  西村周三

テーマと報告構成の説明 京都大学大学院経済学研究科教授  塩地 洋

報告 フォーイン 第一調査部部長 周 政毅   中国乗用車市場における製品競争力

 

大阪商業大学准教授    孫 飛舟    自動車購買者の店舗選択

                                            ――20078月北京ユーザー調査から――

 

京都大学大学院学生    李 澤建   インターネット情報の影響分析

金沢学院大学講師          西川純平  ユーザーの買い方とディーラーの売り方

J.D.パワー・アジアパシフィック部長木本 卓   ユーザーのクルマの選び方

                                   ――IQS(初期品質調査)からのインプリケーション――

入場無料、終了後懇親会を予定(これも無料です)

参加希望者は塩地(shioji@econ.kyoto-u.ac.jp)まで御連絡ください。

また、本シンポジウムは上海センター協力会の後援で開催されます。

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デロイト・グループ中国サービス部長ジョージ・クー氏講演会のご案内

「日米中三国関係の将来」

(The Future of China, Japan and the US on Three Troubling Trajectories)

ジョージ・クー(顧屏山)氏は、中国におけるアメリカ企業ヘのコンサルタントとして30年近い経歴を有し、またその間日米間の国境を越えた業務に も携わって来られました。氏はまた、著名な中国系アメリカ人で組織された百人会(the Com mittee of 100のメンバーであり、つい先日まではその副会長 もされていた方で、米中間の関係について公に 意見を述べて来られました。この度の講演会では、中国の経済発展が日米中三国関係に及ぼす影響(インパクト)についてお話して頂きます。
 尚、この講演は都合により英語で行って頂きますが、日本語資料を準備させて頂く予定です。中国経済や日中経済関係の講演会が多い中で、日米、米中の経済関係にまで踏み込んだ講演会は少ないと思います。参加無料ですので、是非多くの方々のご参加をお願いします。

日時 20071110()  10:00-12:00

会場 京都大学経済学研究科2F大会議室

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中国・上海ニュース 10.8−10.14

ヘッドライン

■ 中国:共産党第17回党大会開幕

■ 中国人民銀行:預金準備率を再度引き上げへ

■ 中国:北京・上海間高速鉄道、建設を認可

■ 中国:1−9月の貿易黒字、1856.5億米ドルで昨年通年超え

■ 中国:1−9月乗用車販売数が24%増

■ 中国:1−8月液晶テレビ生産台数、77%増

■ 南京: 「ソフトウエア都市」に 

■ 北京:地下鉄新たな6路線の計画を認可

■ 上海:11月から地上波デジタル放送

■ 上海:15日上海総合指数が6000ポイント突破

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日本の米:中国での売れ行き好調の示すもの

北京在住 協力会個人会員 小林治平

北京に日本産のコメ、新潟のコシヒカリ(中国名‘越光’)、宮城産ひとめぼれ(同‘一見鐘情’)が計24トン輸入され、7月末から北京と上海で試験販売されたところ、好調で約1ヶ月で完売した事はこの上海センターニュースや一般紙でも報道されたので皆さんもご存知の事と思う。

私は、目下北京に在住しており、その試験販売の場の一つとなったイトーヨーカドー(中国名‘華堂商場’)のある支店の店長を知っており、その販売の状況を訊いてみた(今回は政府主導の試験販売であり、ヨーカ堂は場所のみ提供)。

 まず、この店長は、2kgの袋がコシヒカリ198元、ひとめぼれ188元と事前に聞いて、とても売れないだろう、従業員が少しでも買って「応援」しないとだめだね、と内輪で話していたという。ところが開けてみてまず買いに来たのはインターネットで情報を見たという中国人顧客であり、その後買いに来たのも中国人消費者がほとんどで、それも個人客であった、まとめて買うというようは人はあまりなかったという。

 販売にあたり、試食用に炊き上げたごばんや、「おまけ」としておにぎりをつくるセットやエプロンのような販促品も用意されてはいたが、数は多くなかった。売れ行きは好調で、期間中この店一点だけで1800袋を売り上げたとの事である。

 私の考えでは、日本のコメに対する評価として「おいしい」という事と共にやはり「安全」指向があるのではないかと思う。それが日本の相場で言っても

かなり高いコメを買う動機になっているのではないか。

この動きは牛乳などにも見られ、従来品は200mlで1元程度が通常の価格であり、ビニールの袋に入れられて売られているが、1000mlで紙パックに入り10元から14元程度になる「高級品」が急激に販売数量を伸ばしているそうである。この動きは他のスーパーでも同じであるという。ここでも「おいしい」という事と「安全、安心」がキーワードであるように思う。

 今回のコメ販売取扱商社のうちの一社が、新光天地という百貨店(台湾三越系の資本と現地資本との合弁、目下組織内部で紛糾があり注目の的となっている)内に常設の日本食品販売店舗を、この923日(日)よりオープンしたので、そこでの売れ行きが今後、この動向が本物かどうか判断するための参考になるだろう。

 私が今回のこの「コメ騒動」で一番驚いたのは、上記の店長のように当地で流通業の第一線に立ち、日々「何が売れるか」を始終考えている人でも中国の消費者の嗜好・消費動向を予測するのが難しいという事である。まして、日本に座っていてそれを予測するのは更に難しいであろう。

 それほどに中国の消費者の嗜好の変化は動きが大きく、流れをつかむのは至難の業と言える。そして、程度の差はあっても他の業態や分野でも同じ様な状況があるのではないかと思う。

 私は研究者ではない。しかし当地に住み、中国から日本をながめていて、お互いの意思の疎通・情報の伝達がうまくいっていないなと思う事は多い。

戦前は東亜同文書院(大学)とか、ハルピン学院とか、その意図の議論はさておき、日本から大陸に「進出してきた」教育機関があった。現代の日本には米国から「乗り込んで」来ている大学がある。東京にはドイツ・日本研究所のようにドイツ政府の出資で日本に設置している日本研究のための研究機関がある。これからは研究の「対象国」に本格的に腰を落ち着けるくらいでないと「今」の動きをキャッチアップするのは、とりわけ現代の中国については、難しいのではないか、という気がする。

とはいえ当地に居ると当地の状況が全て解るわけではない。離れて俯瞰するような場に立つ方が状況がよく「見える」事も少なくないのも事実だが。  

冒頭のコメの二銘柄の中国名名称はNHKの中国語放送で使っていたものをそのまま書いたが、この名称はいずれも既に当地で商標登録がなされており、これをコメの商品名としては使えないそうである。今回は「宮城米」「新潟米」というノボリを立ててやっていた。この商品登録の「すばやさ」も現代中国の現実を示していると思った。              以上(07.9.)

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お知らせ  来る1020日(土)の午後350分から515分まで、TV大阪(19ch)の「開局25周年記念特別番組」にて、協力会企業辰野株式会社様の新疆・ウルムチでの取組が取り上げられます。『甦るシルクロード〜なにわ商人中国辺境に挑む』というテーマで、ウルムチ地下商店街の開発から今日に至るまでの苦労話などが紹介されるということですので、お知らせいたしました。