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京大上海センターニュースレター
第231号 2008年9月15日
京都大学経済学研究科上海センター
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目次
○ 上海センター・シンポジウムのご案内
○ 中国・上海ニュース 9.8-9.14
○ 北京の近況: ペットと築く“和諧社会”
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上海センター・シンポジウムのご案内
中国自動車産業発展に関するシンポジウムは下記の要領で開催されることになりました。ご多忙のことと存じますが、万障を繰り合わせの上ご参加くださるようよろしくお願いいたします。
なお、シンポジウム終了後、懇親会を予定されていますので、合わせご参加いただければ幸いです。
記
持続的成長は可能か
――サステイナビリティと製品開発力,輸出競争力――
主催:京都大学上海センター
共催:京都大学上海センター協力会
2008年11月1日(土) 13時
京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホール
総合司会 京都大学大学院経済学研究科教授 大西 広
13:00-13:10
挨拶 京都大学総長 松本 紘
13:10-13:30
京都大学大学院経済学研究科 教授 塩地 洋 持続的成長のための課題
―全体テーマと報告構成―
[第1部 サステイナビリティから見た中国自動車産業]
13:30-13:50
関西学院大学産業研究所 准教授 ブングシェ.ボルガー 環境.燃費.事故.渋滞
13:50-14:10
フォーイン第一調査部 部長 周 政毅 次世代低公害車の技術開発動向を探る
14:10-14:30
桜美林大学リベラルアーツ学群 講師 平岩 幸弘 廃車リサイクルの現状と課題
14:30-14:50
野村総合研究所グローバル戦略コンサルティング部 部長 北川 史和 地域所得格差と需要の偏在性
14:50-15:10
東京海上日動火災保険上海支店 総経理助理 八木 健一 自動車保険の現状と課題
[第2部 製品開発力と輸出競争力]
15:30-15:50
元本田技研工業 山口 安彦 海関統計から輸出の実相を解明する
15:50-16:10
京都大学大学院経済学研究科 李
澤建 奇瑞における製品開発組織の進化
16:10-16:30
事業創造大学大学院 准教授 富山 栄子 なぜロシアで中国車が売れるのか
16:30-16:50
豊田汽車(中国)上海分公司 主査 東 和男 中国自動車産業の持続的成長の道
16:50-17:00
総括
17:10-18:30
懇親会 法経総合研究棟大会議室 司会 京都大学大学院経済学研究科 教授八木紀一郎
御挨拶 京都大学大学院経済学研究科長森棟公夫
京都大学上海センター協力会副会長 大森經徳
入場無料
参加希望者は塩地(shioji@econ.kyoto-u.ac.jp)まで御連絡ください
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中国・上海ニュース 9.8−9.14
ヘッドライン
■ 中国:8月の消費者物価指数上昇率4.9%
■ 山西:臨汾市選鉱工場廃棄庫ダム崩壊、数百人死亡か
■ 中国:8月の工業増加値12.8%増、前月より1.9ポイント減
■ 中国:1−8月外国直接投資41.6%増
■ 中国:8月の社会消費財小売総額23.2%増、伸び下がる
■ 自動車:上海汽車、自主ブランド車販売伸びず利益減少
■ 上海:不動産、8月の成約面積68%減、半年以来最低
■ 四川:攀枝花市地震損失額は約8億8200万元
■ 甘粛:乳児腎臓結石多発、粉ミルクのせいか
■ 上海:62歳男性が焼身自殺、バンドでガソリンかぶる
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北京の近況:ペットと築く“和諧社会”
協力会会員 北京在住 小林治平
上海の小島様のレポートに続きますが当地北京でのペットとしての犬を巡る状況を以下報告申し上げます。
私の現在住むアパートは外国人が固まって住む、所謂「渉外公寓」ではなく、また最近増えている販売目的の「商業房」でもないので、隣人はほとんど普通の中国人であり、一般的庶民としての中国人の生活状況を容易に垣間見る事ができる。そこで見ていると、ペットとして犬を飼う人は確実にが増えている。しかし人口が稠密な大都市・北京の事であり、飼育には数々の制限が設けられている。その一部、私の知るところでは、
1)大型犬は飼育禁止
2)各家庭一匹のみ許可される。違反すると罰金「罰款」2000元、犬は没収
3)狂犬病の予防注射摂取が必須、 などである。
1)の「大型犬 da4xing2quan3」とは何か。実はきちんと定義があり、私が毎回「臨時宿泊登記」のために出向く近所の公安局の出先、「派出所」(交番のイメージではなく、分署という感じ)には、外に『飼ってはいけない大型犬』としてパネルで計4枚、一枚につき9種類の大型犬のカラー写真が出ており総計36種に及ぶ。シェパードや「秋田犬」もこの中に入っている。秋田犬は戦後米国人が日本から米国に連れ帰り、改良をして大型にしたものが欧州等にもAkita として広がっているのだそうだ。
なお、中国語で犬を「狗gou3」と言う事をご存知の方は多いと思う。しかしここでは犬はやはり「犬quan3」と表記される。こちらが正式表記になるらしい。
2)が守られていない家庭は多いようで、散歩で2匹、3匹を一緒に歩かせている風景は珍しくない。私のアパートでも大型犬2匹を飼っている人を見かける。さすがに目立たないようにするためか、いつも夕方から夜にかけて散歩につれて出ていると、懇意にしているエレベータの操作係兼管理人の婦人がそっと教えてくれた。また、犬がエレベータに入ってくるとかなりの臭いのする「手入れ不十分」の犬もいると、この婦人は嘆いていた。
3)は上海からのご指摘もあったように一番の問題点である。
当地ではリード(ひも、または鎖)をつけないで犬を散歩させる人が少なくない。狂犬病の予防接種を施していない犬が多いと聞いている中で、突然植え込み等から飛び出してくる犬には本当に驚かされる。狂犬病はちょっとした引っかき傷程度でも感染する事があり、その発病までの潜伏期間が数ヶ月から長いと数年間にも及ぶ事がある、かつ発症時点では既に手遅れであり、ほぼ100%死に至る(当局作成の注意喚起の掲示物の内容)のであるから、実に怖い存在である。最近も海外で犬に咬まれた旅行客が、帰国後に発病し死亡した事例が日本であったと記憶する。旅行先は中国ではなかったようだが。
この様に犬の飼育を巡り問題が多い事から、当局は犬についての専用密告・訴え電話、「投訴tou2su4電話」を設置しており、ルール違反の家庭の摘発を奨励しているが、上記のように一般には問題の深刻さに対する理解不足からか、わりあいと寛大に見逃す雰囲気があるように感じる。実際には咬まれたり引っかかれた事から被害に遭う人はかなりの数にのぼるのではないかと思うが。
また、リードを付けていない犬は当然勝手に走り回り、植栽物や植え込み、或いは路上できままに用を足しており、その始末をしない飼主が多いのも実情である。これは飼主が手に袋も何も持たずに散歩にでている事からすぐに判断がつく(もちろん道具を使って始末している人も見かける事はある)。公園や樹木・植栽のあるところでは『犬の落しもの』に気をつけて歩く事が必要になる。
文革時代には犬を飼う事がブルジョア的とみなされ、犬を殺して回ったという元「紅衛兵」の話を聞いた事がある。また貧しくて妻を娶る事ができないので犬を飼っていた農民の、愛犬を殺された悲しみをモチーフにした文学作品もあった(文革終了後の作品)。
この犬を飼う事を禁じられた時代の反動や、皆が豊かになった事が反映しているのだろうが、大都市で多くの人が犬を飼う事が社会的にどのような意味と影響(問題)を生むのかを、中国の一般大衆が理解・認識し、ルールが定着する迄にはもう少し時間が必要なようだ。
北京ではオリンピック前から街頭に多くの「首都治安志願者」が出て立ち番・見張りをしているが、テロの危険より目先の狂犬病の方がずっと怖い、何とかしてほしい、というのが生活上の実感である。
(9月9日記)