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京大上海センターニュースレター
234号 2008106
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

     上海センター・シンポジウムのご案内

     中国・上海ニュース 9.29-10.5

     湖南省暴動・浙江省暴動・上海市浦東地区抗議行動:現地調査報告

     香港:東亜銀行で取り付け騒ぎ

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上海センター・シンポジウムのご案内

 

 中国自動車産業発展に関するシンポジウムは下記の要領で開催されることになりました。ご多忙のことと存じますが、万障を繰り合わせの上ご参加くださるようよろしくお願いいたします。

 なお、シンポジウム終了後、懇親会を予定されていますので、合わせご参加いただければ幸いです。

 

 

 

持続的成長は可能か

――サステイナビリティと製品開発力,輸出競争力――

 

主催:京都大学上海センター

共催:京都大学上海センター協力会

 

2008111() 13

京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホール

 

総合司会 京都大学大学院経済学研究科教授 大西 広

 

13:00-13:10

挨拶 京都大学総長 松本 紘

 

 

13:10-13:30

京都大学大学院経済学研究科 教授        塩地 洋       持続的成長のための課題

                                                       ―全体テーマと報告構成―

 

 

 

 [第1部 サステイナビリティから見た中国自動車産業]

 

13:30-13:50

関西学院大学産業研究所 准教授         ブングシェ・ボルガー  環境・燃費・事故・渋滞

 

 

13:50-14:10

フォーイン第一調査部 部長                周 政毅       次世代低公害車の技術開発動向を探る

 

 

14:10-14:30

桜美林大学リベラルアーツ学群 講師           平岩 幸弘           廃車リサイクルの現状と課題

 

 

14:30-14:50

野村総合研究所グローバル戦略コンサルティング部 部長  北川 史和           地域所得格差と需要の偏在性

 

 

14:50-15:10

東京海上日動火災保険上海支店 総経理助理     八木 健一      自動車保険の現状と課題

 

 

 [第2部 製品開発力と輸出競争力]

 

15:30-15:50

元本田技研工業                       山口 安彦            海関統計から輸出の実相を解明する

 

 

15:50-16:10

京都大学大学院経済学研究科                   李 澤建            奇瑞における製品開発組織の進化

 

 

16:10-16:30

事業創造大学大学院 准教授                        富山 栄子            なぜロシアで中国車が売れるのか

 

 

16:30-16:50

豊田汽車(中国)上海分公司 主査                 東 和男            中国自動車産業の持続的成長の道

 

 

16:50-17:00

総括

 

17:10-18:30

懇親会 法経総合研究棟大会議室  司会 京都大学大学院経済学研究科 教授 八木紀一郎

御挨拶 京都大学大学院経済学研究科長 森棟公夫

  京都大学上海センター協力会副会長 大森經徳

 

入場無料

参加希望者は塩地(shioji@econ.kyoto-u.ac.jp)まで御連絡ください

 

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中国・上海ニュース 9.2910.

ヘッドライン

■ 中国人民銀行:金融機関に乳業企業の資金調達支援を要請

■ 中国:大型連休初日、5500万人が陸路でお出かけ

■ 中国:1−8月工業企業の利益伸び率19.4%、伸び幅減

■ 中国:在華外資系銀行、資産状況は良好

■ 中国:2020年前後に有人宇宙ステーションを建設へ

■ 上海:1−8月の貿易総額24.6%増 対米輸出鈍化

■ 南京:不動産価格に暴落の恐れ、業界支援策を発表

■ 黒龍江:国内最大の森林・興安嶺で3年内に伐採禁止

■ 天津:エアバス旅客機、組立工場で生産開始

■ 福建:福州、大陸観光客が初の海路・空路運航で台湾へ

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湖南省暴動・浙江省暴動・上海市浦東地区抗議行動:現地調査報告

             25.SEP.08

                                       香港:美朋有限公司 董事長 小島正憲

 

9月上旬、湖南省吉首市と浙江省寧波市で暴動発生との報道があり、上海市浦東地区と浙江省杭州市、広東省深圳市で同一抗議行動が同時多発的に起きたとの報が伝えられた。私は早速現地に駆けつけ、取材を行なった。その結果、今回の3件も、実態はすべて暴動レベル1以下であった。マスコミの針小棒大ぶりにあきれている次第である。

しかしながら、この3か月間ほど、中国の「暴動」を連続取材している中で、それらにいくつか共通する特徴点があることに気がついた。それを下記に列挙しておく。なお、新疆ウイグル地区などで起きているテロ行為は、暴動とは区別して論じることが必要であると考えているので、除外している。

@暴動レベル3以上のものは少ない。暴動レベル5以上のものは、チベット暴動だけである。

A原因は多岐にわたり、民衆の不満が些細な理由で、どこでも、いつでも爆発する状態である。

※現状の中国では、一般人民の順法意識が低く、すぐに暴力行為に訴えることが多い。

これを中国人の国民性として考え、今後も暴動が続発すると理解するか、

あるいは経済の発展と共に、中国人に順法意識が根付き、暴力行為が漸減していくと理解するか、

そのどちらかは今のところ結論が出せない。

B当事者に暴力組織関係者が含まれることが多い。

C当事者は公安や政府の建物を標的にして襲撃している。

※一般商店などへの破壊・略奪行為は、チベット暴動以外にはない。

D野次馬が当事者の約10〜30倍集まる。

E野次馬が便乗暴徒化する可能性がある。

※過去の中国の歴史上では、このような野次馬の便乗暴徒化が、大動乱につながった例も少なくない。

 

1.湖南省吉首市暴動の報道と実態

≪マスコミの報道内容≫

・時事速報は9/08付けで、中国人権民主化運動情報センター発として、「湖南省吉首市で1万人の群衆 が駅や地元政府庁舎に押しかける暴動が発生した。1000人以上が数百人の武装警察官らと衝突する事態に発展し、群衆側の負傷者は50人を超えた」と報じた。また同センターは「北京五輪が閉幕し、抑えていた社会への不満が噴出し始めた」としている。同市では多くの市民が不動産業に融資し、高い利息収入を得ていた。しかし地元政府がリスクがあるとしてこれを制止したため、市民はパニックに陥ったという。

・新華社電によると、吉首市で3、4日の両日に起きた出資金をめぐる住民らの騒乱で、同市政府は7日、違法な資金集めをしていた会社の活動を停止し、資産整理を始めた。市政府は会社の資産や経営状況を調べて、元本返済を優先し、支払不能な会社については出資額に応じて一部返済するなど、出資者のリスクを緩和する措置を取るとしている。同市では2004年から05年にかけ、高利で資金を集め、不動産や鉱業、観光業に投資する会社が次々に現れ、多くの住民が出資していた。今年8月、一部の会社で利息が払えなくなったことから、今月3、4日の両日には多数の出資者が市政府に陳情し、幹線道路や駅を封鎖する騒ぎに発展。香港の人権団体によると、出動した警察や軍と衝突し、少なくとも50人が負傷したとされる。

・香港「星島日報」:9/05付けによれば、吉首市において3、4日の両日、群衆数千人が地元官員の違法資金勧誘会社の処理への不満により、駅や政府庁舎周辺に集まり、一時交通が麻痺状態に陥った。当局は1万名の武装警察を出動させたが、完全には制圧できなかった。これらの群衆はほとんど地元の違法資金勧誘会社への出資者で老人や主婦も多かった。彼らの出資総額は推計数10億元といわれている。

吉首市のある湘西自治州は、この数年間、民間での違法資金勧誘が盛んであり、企業の一部は高い利息で一般人から出資を誘っていた。吉首市には違法資金勧誘会社が約40社あり、72億元を集めていた。昨年まで吉首市の違法資金勧誘会社は、一般出資者にも高利を支払ってきたが、今年6月ごろから支払いが滞り始め、出資者の間では不安が募っていたという。

≪実態≫

@湖南省吉首市で起きた騒動は、暴動レベル1である。

A原因と経過

・事件は9/03、福大房地産公司への出資者の抗議行動から始まった。この会社の社長は地元でも知名人で政協委員でもあり、過去数年間に36%〜125%の高利で大勢の出資者を集めていた。当公司が約束通り利息を払えなくなったため、出資者が公司の前に集まって抗議をした。このとき出資者のうちの2名が正体不明の男に殴られた。その後、一部の出資者が自治州政府を訪れ陳情した。これには他の違法資金勧誘会社への出資者も同行し、かなりの数に上った。政府がこの陳情に迅速に取り合わなかったため、抗議行動参加者たちは駅を占拠しようとしたが、政府関係者の勧告に従い解散した。

・9/04午前、出資者は再び、福大房地産公司前に集合し、駅と政府庁舎に向った。午後になると、多くの出資者や野次馬が駅周辺に集まり、その数は1万人を超えた。午後5時ごろ、政府は常徳市と張家界市の

武装警察数百名を出動させ、強制的に事態を沈静化させた。

・この地域では1か月ほど前に、福大房地産公司を含む他の違法資金勧誘:不動産開発会社から、自治州や政府の幹部たちが一夜で、自分たちの名義の出資金3億元を払い戻させたという。その情報が民間に流され、一般出資者も次々と払い戻しを請求した。その結果、半月間の払い戻し額は約7億元におよび、まず福大房地産公司が資金繰りに行き詰まり、利払いが不能になったものと見られる。他の違法資金勧誘:不動産開発会社も大同小異の経営状態であったと思われる。

B規模と被害

・抗議行動への参加者は、出資者を中心にして100人ほど。多く見積もっても500人。それに野次馬が数千人集まった。死亡者はなく、怪我人が50人ほど。

・武装警察は数百人程度出動。軍隊の出動はなし。

・当該公司および駅、政府庁舎に大きな被害はなし。一般商店への被害は皆無。

C事後

・湘西州と吉首市政府は9/04、ただちに工作組を結成し、違法資金勧誘会社を厳しく管理監督し、会社に解決方案を提出するように指示した。政府の迅速な対応によって、ひとまず事態は収束し、その後大きな騒動は起きていない。

Dその他

・湘西地域では、1990年代末から違法資金勧誘会社ができ始め、そのころの利息は月利1.5〜3%であった。2004年以後、経済発展や都市化を背景にして、数多くの違法資金勧誘:不動産開発会社が乱立するようになった。利息も最初の月利3%から5〜6%にまで上昇し、最終的には8〜12%までになった。この高利に出資者が激増し、近隣の快華市や重慶市、湖北省まで広がった。

・湘西地域は内陸部の少数民族(土家族苗族自治州)地域で、外資の進出も少なく、経済発展に取り残された地域であった。そこに思わぬ儲け話が広がり、一般民衆を巻き込んだ狂乱になったものと思われる。

E結論

・吉首市の暴動は、「虐げられた人民大衆と悪徳政府との戦い」ではなく、「欲に目がくらんだ一般市民の起こした騒動」という表現の方が適切である。ただし、沿岸部の急速な発展に取り残された内陸部人民の赤裸々な心境を現したものであり、これら多種多様な不満が集結すれば大暴動に発展する可能性がある。

 

2.浙江省暴動の報道と実態

≪報道内容≫

・時事速報は9/08付けは、浙江省寧波市で4日に1万人規模の民衆による抗議行動が起き、警官隊と衝突する騒ぎが発生したと伝えた。騒ぎは衣料製造工場で14歳の少年が重傷を負ったのが発端。家族は同工場がある町の治安要員に殴られたはずみで少年が建物から落ちたと疑い、同郷者と共に工場側に抗議した。この抗議に出稼ぎ労働者が加わり、一部が工場に石やビール瓶を投げつける騒動に拡大。500人以上の特殊警察が出動し、群衆を排除しようとしたところ、激しい衝突が発生した。警察側にも負傷者が出ており、公安当局は騒動に参加した出稼ぎ労働者に自首するよう呼びかけている。

≪実態≫

@浙江省寧波市象山県の騒動は、暴動レベル1である。

A原因と経過

・9/02の夜、象山県に住む出稼ぎ労働者の14歳の息子が、その日学校をさぼったことを父親に叱られて家出した。その息子は母親が近所の金旭制衣場で働いていた関係で、その工場の内部をよく知っていたので、夜中にこっそり忍び込んで倉庫の一角で寝た。

・9/03の朝早く、金旭制衣場のオーナーが出勤したとき、工場内で黒く動く人影を発見し、泥棒だと思い大声で人影を威嚇し、ただちに警察に通報した。一方、子供はその大声にびっくりし逃げ場を探して工場の4階に駆け上がり、そこの窓から飛び降りた。子供は骨折し、ただちに病院へ運ばれた。

・9/04の午前9時ごろ、子供の両親は金旭制衣場を訪れ「金旭制衣場のオーナーが警察といっしょになって、息子を追い回したので、息子は恐くて4階から飛び降りた」とその責任を追及し、医療費全額の支払いを求めた。工場のオーナーがそれを拒否したので、双方の間で激しい口論が起こった。1時間ほど経過して、オーナーは再び地元の警察を呼び、暴力組織の人間も頼んで子供の両親を工場から追い出した。

・9/04午後、オーナーと警察の態度に不満を持った子供の両親が、親戚や出身地の江西省の出稼ぎ仲間など100人を連れて、再び工場にやってきた。同行した江西省人は道路上の石やレンガや隣の店のビールの空き瓶をつかんで、工場や警察の建物に投げつけた。

・午後5時ごろ、騒ぎを聞きつけ野次馬3000〜4000人が工場周辺に集まった。地元警察が道路を封鎖して騒ぎを収めようとしたができなかった。杭州市の武装警察200人が出動して取り締まりに当たり、周辺にいた江西省人と安徽省人の身元証明ができない者をすべて拘束した。その後、調査をして問題がない者は釈放された。結局、騒動の中心人物30人ほどが拘束・留置された。夜10時ごろには野次馬を含めて、すべての人間が解散し、現地は平静に戻った。

B規模と被害

・騒動の直接参加者は100人前後。野次馬が3000〜4000人。

・地元警察100人前後と杭州市の武装警察200人が出動。

・金旭制衣場と警察の建物の窓ガラスが割れた程度。商店の被害はなく、隣の店のビールの空き瓶ぐらい。

・騒動での死者はなし。怪我人も少ない。地元警察官が10人ほど軽傷。

Cその他

・象山県の周辺には、繊維工場が密集しており、出稼ぎ労働者が多い。金旭制衣場の周辺にも400社以上のメリヤス工場があり、5万人ほどの人口のうち3万人強が外地からの出稼ぎ労働者であるという。出稼ぎ労働者の出身地は、江西、安徽両省が多い。

・象山県は長江デルタ地域の南端に位置し、三方を海に囲まれたリゾート地でもある。外地からの観光客も多く、奇麗なホテルも多い。出稼ぎ労働者がその格差に不満を持ち、騒動を起こしても不思議ではない地域である。

 

3.上海市浦東地区と浙江省杭州市、広東省深圳市の同一抗議行動の同時多発報道とその実態

これらは暴動ではなく、マンションの短期間での急激な値下げ販売に対する既購入者の抗議行動である。

※今回はこれらの抗議行動が3か所で同時多発的に生起したため、現地取材は上海浦東のみである。

≪報道内容≫

・上海;新聞晨報 9/05 マンション値下げに家主が抗議。 中国最大手マンション販売会社の万科集団が、“中秋特別販売”企画として、浦東三林地区のマンション“金色雅築”の10万元大幅値引き販売を打ち出したところ、前期に購入した多くの家主が不満を訴え、中秋特別販売当日に販売所へ集まった。約50人の家主が、ただちに“雅築退房団”を結成し、万科集団にマンションの解約を要求した。この抗議行動に大勢の野次馬が集まり、周辺の道路が麻痺状態に陥った。家主の中には数か月前、1週間前、3日前などに購入した人があり、それぞれ40万元から10万元に及ぶ損をしていた。「まだ住んでもいないのに」と、大幅に値下がりしたマンションの前で、大憤慨している人もいた。家主らは解約を認めなければ、法律に訴える覚悟であると主張していた。

・上海証券報 9/12 杭州市でもマンション値下げに家主が抗議。 9/05朝7時ごろ、浙江省杭州市余杭区の良渚文化村万科集団営業所にも、80数人の家主が押しかけ、近在の万科所有の4か所のマンションの大幅値下げ販売に抗議した。この地域のマンションの場合は、2か月間で10万から20万元の損になっていたという。ここでも家主たちが解約か損失補てんを強く求めた。

NNA 9/19 万科集団の用心棒? 住宅購入者に暴行。 住宅開発・分譲最大手、万科集団から深圳の住宅を購入した家主6人が、購入後に値引き販売されて市場価値が減じ、損失を被ったため代金の返還を求めて営業所に抗議に押しかけたところ、突然現れた何者かに暴行され、うち1人があばら骨数本を折る重傷を負った。家主らは「万科が黒社会の人間を雇って暴行させた」と怒りをぶちまけている。

17日付け香港紙明報によると、家主らは今年3月に万科集団が深圳で開発した住宅「万科城」を購入。しかし万科集団は8月、売れ残った部分を割安で販売した。家主らは抗議の横断幕を掲げて、13日午後4時ごろ営業所を訪れた。その際、所属不明の男が4〜5人が現場に乱入し暴行を働いた上、即座に逃走した。営業所の入り口の警備員は暴行犯の侵入を防げず、暴行を止めようとも、警察に通報しようともしなかったという。

黒社会の用心棒を雇ったと主張する家主らに対し、万科集団は「黒社会に頼んだなどデッチ上げ。他の客の邪魔になり、客同士で衝突が起きた」と声明を出して反論している。一部の報道によれば、万科集団では先月来、上海や杭州でも返金をめぐって衝突事件が起きている。

≪抗議行動の背景≫

・これらの報道は、各地でマンションバブルが崩壊しつつあることを証明している。

・時事速報 9/18 中国各地で住宅の値引き合戦=広東省から拡大。 香港紙サウス・チャイナ・モーニングポストは17日、中国本土各地で住宅の値引き合戦が拡大していると伝えた。住宅販売件数が落ち込んでいるためだが、値引きだけで市況の回復を図るのは難しい状態にあるという。値引きの先陣を切ったのは、大手不動産開発会社の万科集団。同社は昨年末、広東省の珠江デルタ地域で販売価格を大幅に引き下げたたが、こうした傾向がその後、北京・上海の両市など各地に広がったという。同紙によると、上海ではこのところ、万科集団を含む多くの不動産会社が10〜27%の値引きを断行。北京のある業界関係者は「北京でもほとんどの(不動産開発)プロジェクトが価格を下げている。全土の大都市で価格競争が起きたのは初めてだ」と話している。

≪実態≫

@この抗議行動は、暴動レベル1以下である。

A原因と経過 マンションの既購入者の値下げ販売への不満。万科集団が取り合わなかったため、終結。

B規模と被害 50人ほどの家主が抗議行動。野次馬が200人ほど。被害は双方になし。地元警察で対応。

Cその他 9/15現在、万科集団の浦東三林地区営業所は平常に営業をしており、抗議行動に屈せず値引き販売も続行している。万科集団のこの販売手法はいささか常識外れであくどいとも思うが、抗議行動を受け入れて損失補てんなどをした場合、瞬く間に全国津々浦々まで、この手の抗議行動が広がる恐れがあり、社会が収拾がつかない混乱に陥る可能性がある。したがって暴力行為は慎むべきだが、商行為として毅然とした態度を貫くことはやむを得ない措置であると考える。

                                                        以上

 

 

香港:東亜銀行で取り付け騒ぎ→1日で収束

                             28.SEP.08

                                         香港:美朋有限公司 董事長 小島正憲

 

NNA9/25付けによれば、香港地場最大手の東亜銀行(BEA)で9月24日、市民の取り付け騒ぎが起きた。翌日にはすっかり収まったが、米国の金融危機の心理的な影響が、香港人を取り付けに走らせたのである。今回は両日の様子をお知らせする。24日分はメール情報、25日分は直接取材。

 

≪9/24の様子≫

香港では、東亜銀行が米国発の金融危機で財務危機に陥っているとのうわさが飛び交ったため、同行の域内支店で同日午後、預金者が引き出しに訪れ長蛇の列ができた。すぐに同行、香港金融管理局が共にうわさを全面否定、冷静な対応をとるように呼びかけた。北角のキングスロード沿いの支店では午後5時時点で、支店内に人があふれ、店舗前の歩道には長蛇の列ができた。騒動に発展しないよう警官2人が店舗前に立ち、事態を見守った。セントラルの支店でも預金者が詰めかけ、報道陣などが駆けつける事態となっていた。取り付け騒ぎの発端は、23日午後、携帯電話のショートメッセージで、「米証券大手リーマンブラザーズが突然死し、東亜銀行も危機に陥っている」との情報が広がった。東亜銀行は同日夜には香港金融管理局に通報した。金融管理局の任志剛総裁は24日夕、東亜銀行の自己資本比率は14%以上あり、キャッシュフローも十分として、「うわさはまったく根拠がない」と全面否定。「仮に東亜銀行が必要とすれば、当局として全力で支援する」と踏み込み、火消しに努めた。市民に対しても、「米国の金融危機に取り乱してはいけない。冷静さを保ってほしい」と語った。東亜銀行も声明を発表し、「うわさは事実無根」と強調。リーマン向けの融資額は4億2280万HKドル、米保険大手会社AIGグループ向けは4990万HKドルであることを明らかにした。同行の6月末時点の総資産は3996億HKドル。なお同行は市民の動揺を抑えるため、同日は支店の営業時間を30分延長した。

(以上 NNA 9/25付けより)

                       

 

 

・時事速報 9/25 東亜銀行支援で株式大量取得か−李嘉誠氏。 東亜銀行で取り付け騒ぎが起き、株価が急落したことを受け、有力実業家の李嘉誠氏は24日、同行支援のため同行の株式を大量に取得したもようだ。また同行の李国宝会長も株式を買い増す方針を明らかにした。東亜銀の株価は同日、6.85%下落した。

・時事速報 9/25 シンガポール金融当局、顧客に冷静な対応呼び掛け−東亜銀の経営不安説で。 

シンガポール金融管理局は25日午前、同行が経営不安に陥ったとするうわさを否定する声明を発表した。声明で同行は「東亜銀行経営陣は、23日午後にこのうわさが電子端末で流布され始めたが、うわさは一切事実に基づいていない」と指摘するとともに、自己資本比率は国際基準を十分に上回る14.6%にあると経営の健全性を強調した。

・時事通信 9/25 銀行間金利が上昇−「東亜銀が資金難」のうわさ受け。 香港:東亜銀行が資金難に陥ったといううわさが流れたことなどを受け、銀行間取引は24日、一時、1か月物で4.4%まで上昇した。その後、3.8〜4.1%に低下した。

 

≪25日の様子≫

・東亜銀行本店前では、取材陣が2〜3組いたがひまそうな様子であった。

・他の支店には報道陣もなく、昨日のような騒ぎがまったくなし。ときどき銀行入り口の張り紙を立ち止まって見る人がいる程度。周囲の路上も平穏で通行人はいっさい気に留めていない状況。

・どの支店の店内もとても静かであった。少し緊張感が漂っているようだった。客が店内に入ると、どの支店でもただちに案内係りが声をかけて近寄り、用件を伺っていた。個人受付窓口は空いている状態だった。

どこの店内にも銀行の宣伝用パンフレットが置いてあったが、手にとって見ている人はほとんどいなかった。

                                                              以上