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京大上海センターニュースレター
239号 20081110
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

     京都大学・ソウル大学共同国際シンポジウムのご案内

     中国・上海ニュース 11.3-11.9

     暴動検証:08年10月

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京都大学・ソウル大学共同国際シンポジウム

テーマ「東アジア経済の競争力と持続可能性」

'Competitiveness & sustainability of East Asian economies.'

 

主催 京都大学上海センター

日時 1218日(木曜)・19日(金)午前

会場 経済学部2階大会議室

 

■第1セッション(1218日(木)9:00

Prof. Lee Jisoon - Some remarks on the long run prospects of Japanese, Chinese and S. Korean economies

植田和弘  東アジアの持続可能な発展――:環境ガバナンスと環境
経済の視点から

司会                   コメンテーター

 

■第2セッション (13:00

Prof. Pho Hak-kil - A comparative estimation of total factor productivity in Japan & Korea

遊喜一洋  地域経済統合動学のシミュレーション分析

司会                    コメンテーター 大西広

 

■第3セッション(15:15

Prof. Cho Dong-Sung - Designing a sustainable enterprise, and developing a guideline for sustainability report

塩地洋 東アジア優位産業の競争力――その要因と競争・分業構造――

司会 渡辺純子              コメンテーター

 

■レセプション  1218日(木曜)夜   会場 未定

 

■第4セッション1219日(金) 9:30

Prof. Lee Chonpyo - Global Financial Crises and Competitiveness of East Asian Economies

白須洋子(寄付講座准教授)  社債流通市場における社債スプレット変動要因の分析

―日本金融危機からの教訓―        

司会 岩本武和 コメンテーター 山本信一(立命館大学経済学部教授)J.C.マスワナ

 

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中国・上海ニュース 11.3−11.

ヘッドライン

■ 中国:内需拡大措置を制定、住宅、インフラ等に4兆元投入

■ 台湾:大陸高官が初訪問、「三通」が実現

■ 中国:07年の食糧生産量5.01億トン、30年間65%増

■ 中国:9月社会消費財小売総額23.2%増

■ 中国:9月末の電話加入件数、9.77億件

■ チベット:豪雪で死者10人、被災者10万人超

■ 上海:メラミン事件で卵の販売量が30%減る

■ 上海:高い人口流動率、半数近くが非上海戸籍

■ 広西:洪水被害が深刻、90年ぶり記録更新

■ 重慶:タクシー運転手がストライキ

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暴動検証:08年10月

                                       04.NOV.08

                                        香港:美朋有限公司 董事長  小島正憲

 

≪T.江西省宜春:森林騒動  U.武漢:サッカーデモ  V.東莞:労働者デモ   W.上海:日中学生の喧嘩騒動 ≫                                                

≪私の暴動評価基準 修正版≫

暴動レベル0 : 抗議行動のみ 破壊なし

暴動レベル1 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以下(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ

暴動レベル2 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以上(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ 

暴動レベル3 : 破壊活動を含む抗議行動 一般商店への略奪、一般人への暴行を含む  

暴動レベル4 : 計画的殺人(10人以下)を伴った破壊活動

暴動レベル5 : テロなど計画的大量殺人および大量破壊活動

 

图片点击可在新窗口打开查看T.江西省宜春市銅鼓県の森林騒動  暴動レベル2。

图片点击可在新窗口打开查看 時事速報:10/28付けは、江西省宜春市銅鼓県で森林賃料をめぐる大規模騒乱が起きたと報じた。23日夜から24日にかけ、森林の賃料と伐採をめぐり、農民約200人が木材加工会社に投石するなどの暴動を起こし、警官を含む15人が負傷、8人が逮捕された。中国人権民主化運動情報センター(本部香港)は数千人による流血の衝突で、2人が死亡、100人が負傷したと伝えた。中国共産党は今月開いた中央委員会で、農地の流通を認めるなどの農村改革を打ち出したばかり。集団で林業を進める制度も始まっており、江西省党委員会と政府は農民の権益を守らなければならないとして事態を重視。宜春市政府が農民と企業との調停に乗り出した。

≪私が調査した宜春市銅鼓県の暴動の実態≫

1.日時:2008年10月23、24の両日に発生。                  

2.場所:江西省宜春市銅鼓県および同県内の双紅村。             

3.暴動参加者:双紅村の村民(林業関係者)約150人。

  私営林業公司就業員(暴力組織関係者を含む)約100人。

4.24日の警察動員数:地元警察100名。

  南昌から武装警察100名弱。

5.怪我人:11名。死者なし。

6.被害状況:私営林業公司ビル内部の破壊強奪。         <上の写真は24日の様子 ネットから>

7.野次馬1万人。一部が暴徒化。

8.具体的経過。

@2004年に双紅村の村民は、村の活性化のために私営林業   

公司の緑海公司を原木加工工場として誘致し、当時の市場

価格で、村の人工林7.8畝を売却した。ところがその後、木

材の価格が高騰し、しかも林業税の大幅減税などの措置も

あって緑海公司は高収益を上げ続けた。村民の間で当初の

契約額について不満の声が上がり、村民は盗木などの行為

をするようになった。そこで緑海公司は従業員として暴力組織関係者を採用し自衛をするようになった。

それから村民と緑海公司従業員とのいざこざや暴力沙汰が頻繁に起こるようになっていたという。

A10/23の夜、緑海公司の従業員が車で、双紅村への出入検察口を通過しようとしたとき、村の係員が昇降バーを上げるのが遅れ、車が衝突したため、施設と車の双方が損傷して口論になった。数十人の村民が駆けつけて騒いだので、緑海公司の暴力関係者が30人ほど刀や鉄棒を持って集まり、村民を殴打した。村民11人が負傷し、鎮長も頭部に怪我を負った。

B10/24の朝、村民約150人が銅鼓県人民政府や林業局に昨日の事件の抗議に向ったところ、途中で地元警察がそれを阻止する行動に出た。ちょうどそれが緑海公司の近くであったため、村民は緑海公司の建物になだれ込んで、1〜5階までの事務所を破壊し一部の物品を強奪した。さらに駆けつけた緑海公司の従業員との騒動に発展したので、地元警察100名が中に割って入った。しかしその騒動を鎮圧できなかったので、南昌から武装警察100人弱が出動してきた。

C午後になって、野次馬が続々と集まり、その数は1万人ほどになった。その野次馬を整理するために、武装警察が野次馬の中の1人の老人を殴打したため、野次馬の中からも武装警察に投石するものが現れた。しかし武装警察の断固とした対応により、夕刻には野次馬も解散し騒動が収まった。銅鼓県の住民は日ごろから地元警察の横暴と腐敗に不満を持っていたという。

D地元警察は、24日に緑海公司へなだれ込んで破壊強奪をした首謀者6名を特定して、市内一円に張り紙をして自首をすすめているが、現在までのところ自首してきたのは1名のみである。

9.銅鼓県近辺の特徴。

銅鼓県は人口13万人ほどの農業や林業が主体の小さな町であるが、毛沢東や劉少奇、彭徳懐などの生まれ故郷の湖南省長沙市からバスで4時間ほどの場所である。この地は若き日の毛沢東が秋収蜂起運動を展開した場所でもあり、銅鼓県の中心に立派な記念館が建てられている。さらに銅鼓県の西端には、「毛沢東化険福地」という記念碑が建てられていた。ここに足を運んでみると、立派な碑とともに質素な家が保存されていた。そこの資料を読んでみると、毛沢東が秋収蜂起運動を指導しているときに、国民党組織に捕縛されたが、銭をつかませてうまく逃れてここにたどりついたので、それを記念して建てたものであるという。さらに宜春市の隣の萍郷市(銅鼓県からバスがあり4時間)には、劉少奇がストライキを指導して大成功させた有名な安源炭鉱がある。この一帯は、中国の中でも革命精神つまり反権力意識が横溢した地域でもある。

 

U.武漢サッカーデモ。  暴動レベル0.

 

時事速報:10/06付けによれば、武漢市で2日、地元プロサッカーチームが選手の処分をめぐるサッカー協会との対立でリーグを脱退したことから、1万人以上のサポーターが協会に対するデモを行なった。このデモで大通りの交通がマヒし、1000人以上の警官隊が出動した。副市長が現場で説得し、デモは数時間で解散した。「湖北武漢クラブ」が北京と対戦した9/28のゲームで、選手同士が蹴りあうトラブルがあり、協会は双方の選手に対して8試合の出場停止と罰金8000元の処分を決定。武漢クラブはこれを不服として脱退を宣言した。

当社の合弁工場は湖北省黄石市にある。私は工場に定期視察に行くとき、いつもは武漢市を素通りしているが、今回は寄り道をして市内中心部のこの現場をのぞいてみた。確かに大通りは道幅が100mほどあり、1万人がデモを行なうことができる広さであった。当時現場にいたという物売り屋台のおじさんに聞いてみると、過激なデモを行なったのは、「九頭鳥」というサッカーサポーターグループの約1000名であったが、警官隊が体育館の入り口で迅速な包囲をしたので、大きな混乱は発生しなかったし、野次馬やその他のサッカーファンが集まって約1万人になったのだという。

 

V.東莞:労働者デモ 暴動レベル0。

時事速報:10/21によれば東莞市で企業倒産にともなう労働者のデモが頻発しているという。NNAや日本のTVなどにもほぼ同様の報道がされている。この情報の現場検証はさらに倒産などが多発し、抗議行動が激化するであろう12月から1月ごろに行いたいと考えている。ひとまず時事速報の情報を列記しておく。

世界的な金融危機が、中国で輸出がもっとも盛んな広東省の工場地区を直撃している。香港で上場していた大手玩具メーカーの工場が突然閉鎖され、約7000人が失業するなど大型の倒産が相次いでおり、社会の安定に影響を与えかねない状況だ。

◎給与未払いでデモ続発。 大手玩具メーカー「合俊集団」は15日、東莞市郊外の樟木頭にある工場を閉鎖して会社清算の手続きに入った。8月以降の給与が未払いだったため、従業員の一部が町役場で抗議デモを行い、役場が立替払いを約束して収拾。19日から工場で支給のための身分確認作業を開始したが、工場の前では数十人の警官隊が警備に当たっている。

18日には香港の家電メーカー「百霊達国際」が深圳市の工場閉鎖を発表。従業員1700人のうち、1000人が同様のデモを行なった。

また、湛江市では15日、従業員2600人を擁する砂糖メーカー「中谷糖業集団」の創業者である会長が飛び降り自殺した。地元では「砂糖王」と呼ばれた人物だったが、経営の行き詰まりを苦にして死を選んだとみられている。

◎250万人が失業か。 東莞市などの輸出企業はもともと、人民元高や賃金・原材料費の上昇、国内の金融引き締めで苦しんでいた。樟木頭には、大通り沿いの工場がことごとく閉鎖されて、半ばゴーストタウン化している地区もある。地元民の話では、出稼ぎ労働者の急激な流出が続いているという。

共産党政府指導部はこの夏から金融引き締め政策の転換を始めたが、転換の途中で米国発の金融危機が来た。これが合俊集団の致命傷になった。香港工業総会の陳鎮仁主席は、広東省の珠江デルタ地域に約7万社ある香港系企業の4分の1が来年初めまでに倒産に追い込まれ、最大で250万人が失業すると予測している。

こうした現象は広東省以外の沿海部でも起きている模様で、輸出への依存度が高い中国経済にとっては深刻な事態だ。香港メディアでは、「連鎖的な企業倒産と失業者急増は単なる経済問題ではなく、社会の安定に対する脅威となる可能性もある」との見方が出ている。

玩具などの製品はクリスマス商戦が終わる12月下旬以降、受注が減少。さらに、中国で事実上の年末に当たる来年1月下旬の春節前は、各種の費用清算で支出がかさむ時期で、多くの輸出企業にとっては今後3か月が生き残りを賭けた正念場となる。

 

W.上海:日中学生の喧嘩騒動  暴動レベル0以下。

時事速報:10/24付けによれば、20日夜、上海市虹口区の上海外国語大学で酒を飲んでいた日本人留学生10数人と、中国人学生の間で喧嘩が発生、パトカーも出動する騒ぎとなった。同大はこれを受け、21日に「安全穏定工作会議」を開催するとともに、ホームページで経緯を公表。それによると、宿舎前で飲んで騒いでいた日本人留学生に対し、中国人学生が宿舎のベランダからペットボトルを投げつけ、小競り合いに発展。酒の飲みすぎで日本人留学生1人が病院に運ばれたが、怪我人はなかったという。学生たちは21日、学校の調停で互いに謝罪。同大関係者によると、学生への処分は課されない見通し。

私の知人の姪がちょうど上海外国語大学に通学していたので、すぐに情報を確認してみた。彼女がデジカメ写真といっしょに詳しい内容を送信してくれたので、以下に紹介する。

20日夜8時ごろ、上海外国語大学の宿舎で事件は起きた。宿舎C棟の一階にパブ(写真の「音楽餐庁」)があり、その日は日本人留学生10数人が集まり大声で歌をうたっていた。すぐ上が女子寮だったため、あまりのやかましさに耐えかねた女子学生が、英語で「やかましい、静かにせよ」と叫んだ。酒に酔った日本人学生がその声に怒り、女子寮に侵入しようとしたところ、隣の中国人男子学生寮A棟の9階のベランダからペットボトルが投げつけられた。日本人学生が男子寮の9階まで押しかけたので、そこで殴り合いが始まり、日本人学生1名、中国人学生2名が怪我をした。日本人学生が引き上げた後、今度は中国人学生が集まり、外国人留学生が住んでいる上海外国語大学迎賓館に押しかけ、日本人学生に強く謝罪を要求した。警察や学校関係者が現場で説得したが、彼らはなかなか解散しなかったので、パトカー9台が出動するはめとなり、深夜1時近くになって中国人学生たちは「これから日本人学生とわかったら殴り返す」という捨てゼリフを残して解散した。

中国人学生の怪我人2名は治療中であり、また日本人学生を殴った中国人学生2名は公安局で拘留中である。厳しい処罰がくだされるという。日本人留学生の首謀者:入江某についての処分は未確認である。なお翌日、上海外国語大学の韓国人学生はカバンなどに「私は韓国人です」というワッペンをつけていたという。

 

 

                                                      

 

 

 

 

 

 <黒看板の店が問題のパブ。すぐ上が女子寮>

以上