=======================================================================================
京大上海センターニュースレター
247号 200915
京都大学経済学研究科上海センター

=======================================================================================
目次

     新年のご挨拶

     上海センター学術セミナー「中国農業:持続的発展への諸課題」のご案内

     中国・上海ニュース 2008.12.29-2009.1.4

     中国は暴動では崩壊しない!−暴動情報実地検証:08年12月−

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

新年の御挨拶

上海センター長 山本裕美

 

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しく御協力のほどお願い申し上げます。

上海センターの昨年の活動状況は以下の通りです。その活動状況で特筆すべきは西安交通大学との学術交流協定の締結です。京大経済学研究科は西安交通大学公共政策・管理学院と、上海センターは西部発展研究中心とそれぞれ学術交流協定を締結しました。山本センター長、大西広副センター長及び大森経徳協力会副会長は519-23日に西安交通大学を訪問し、山本センター長は「日中農業政策比較」について、大西副センター長は「省別成長格差」について、大森副会長は「中国の格差解消のための税制改革提言」について講演しました。そして2つの交流協定調印後、山本センター長と大西センター長は客員教授に任ぜられ、大森副会長は西部発展研究中心の高級顧問に任命されました。 

また現在人民大学経済学院と本経済学研究科・上海センターの合作事務所を人民大学に設置する交渉も進んでいます。

国際会議主催に関しては、424日国際セミナー「経済統合と経済政策:欧州と東アジア」を開催しました。ロベール・ボワイエ・パリ社会科学高等研究院研究部長が「欧州の不完全な政策ミックス:東アジアへの示唆」を、八木紀一郎教授が「経済統合と地域政策:欧州と東アジア」をそれぞれ報告しました。

630日に恒例の国際シンポジウム「アジア共同体を京都から構想する」を開催しました。中国の張燕生国務院発展改革委員会対外経済貿易研究所長が「東アジア共同体―中国の視点―」を、韓国の安乗直ソール大学名誉教授が「東アジア共同体―韓国の視点―」を、板東慧国際経済労働研究所会長が「東アジア共同体かアジア共同体か」を、本山美彦京都大学名誉教授が「日本は米国の軛から逃れることができるか」をそれぞれ報告しました。

121819日には定例の京大―ソウル大共同国際シンポジウムを「東アジア経済の競争力と持続可能性」を開催しました。第1セッションでは李根教授が「産業間の技術革新と生産性のキャッチアップー韓国と日本企業の比較」を、植田和弘教授が「東アジアの持続可能な発展―クズネッツカーブの視点から」を報告しました。第2セッションでは表鶴吉教授が「日本と韓国における全要素生産性の比較推計」を、遊喜一洋准教授が「地域経済統合動学のシミュレーション分析」を報告しました。第3セッションでは趙東成教授が「デザイン理論の再設計―持続可能な経営への活用」を、塩地洋教授が「東アジア優位産業の競争力―その要因と競争・分業構造」を報告しました。第4セッションでは李天杓教授が「世界金融危機と東アジア企業の競争力」を、白須洋子准教授(経営管理大学院寄附講座)が「流動性への逃避及び質への逃避―日本金融危機からの教訓」を報告しました。

なお今後の予定としては20092月には第2回目の中国農業に関する国際セミナーを開催し、人民大学から2人の教授を招待する予定です。更に3月には中国の企業問題に関する国際セミナーを開催する予定です。

国内会議主催に関しては111日に塩地洋教授主宰の中国自動車シンポジウム「持続的成長は可能かーサステイナビリティと製品開発力、輸出競争力―」が開催されました。冒頭、松本紘新総長の挨拶を賜った。第1部「サステイナビィティから見た中国自動車産業」では、ブングシュ・ボルガー関西学院大学産業研究所准教授が「環境・燃費・事故・渋滞」を、「製品開発能力と輸出競争力」では周政毅フォーイン第一調査部長が「次世代低公害車の技術開発の最新動向を探る」を、平岩幸弘桜美林大学リベラルアーツ学群講師が「廃車サイクルの現状と課題」を、北川史和野村総合研究所グローバル戦略コンサルティング部長が「地域所得格差と需要の偏在」を、八木健一東京海上日動火災保険上海支店総経理助理が「自動車保険の現状と課題」をそれぞれ報告しました。

2部「製品開発力と輸出競争力」では、山口安彦氏(元本田技研工業)が「海関統計から輸出の実相を解明する」を、李澤健京都大学経済学研究科博士課程院生が「奇瑞における製品開発組織の進化」を、木山卓JDパワー・アジアパシフィック部長が「中古車が売れる国と売れない国」を、富山栄子事業創造大学大学院准教授が「なぜロシアで中国車はうれるのか」を、東和男豊田汽車(中国)上海分公司主査が「中国自動車産業の持続的成長の道」をそれぞれ報告しました。

人事面に関しては、劉徳強教授が昨年4月に東京学芸大学から国際経営・経済分析大講座担当教授として本経済学研究科に赴任され、上海センター運営委員となり、上海センター協力会事務局長を大西広教授に代わって担当することになりました。宮崎卓副センター長は国際協力銀行から2年の任期で赴任されたが、更に1年の任期延長が承認されました。

刊行物に関しては、研究年報『東アジア経済研究』第2号を20083月に刊行しました。第3号を20093月に刊行する予定です。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

上海センター学術セミナー

「中国農業:持続的発展への諸課題」のご案内

 

 京都大学上海センターでは昨年度に続き、中国の農業問題についての以下のような学術セミナーを計画しました。「三農問題」といわれる現代の農業問題とともに、中国農業史の長い歴史を振り返る部分も含んだものとなっています。我々と学術協定を結ぶ中国人民大学と西安交通大学から2名ずつの専門家をお呼びして開催するものです。参加費は無料ですので、多くの参加を期待します。また、上海センター協力会の後援もいただきます。記して感謝いたします。

 

■第1セッション 2009216() 午前 10:00-12:00

山本裕美(京都大学教授) 日中農業政策の比較

高徳歩(中国人民大学教授) 農村自治:古代と現代の比較

 

■第2セッション 2009216() 午後 1:30-6:00

張思鋒(西安交通大学教授) 農村人口都市移住の問題について

(西安交通大学准教授) 農民生産技術を革新する新しい農村金融メカニズムの構想

(中国人民大学准教授) 中国農業成長段階の変化と発展方向

沈金虎(京都大学講師)    家族経営体制、経済発展と草原地域の砂漠化

−中国草原地域の砂漠化の原因と今後の対策について−

 

レセプション 2009216() 午後 6:00 於 カンフォーラ(京大正門横)

 

■第3セッション 2009217() 午前 10:00-12:30

大西広(京都大学教授) 中国農業史研究におけるチベット農奴制研究の意義について

安部治平(青海民族学院講師) アムド=チベットの土地家畜所有について

宮崎卓(京都大学准講師)  中国農業に対する日本の支援問題について

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

中国・上海ニュース 12.29−1.4

ヘッドライン

■ 中国:胡錦濤主席、台湾に6項目提案

■ 中国:中央農村会議が開催、農民の増収に政策重点

■ 中国:統計局専門家、08年「中国経済は9%成長維持」

■ 中国:08年の輸出入総額は18%増の2兆5千億米ドル

■ 中国:農村部貧困人口が4320万人に、農村の低所得者に全面的な扶助を実施へ

■ エネルギー:三峡ダムの年間発電量、800億kwh強に

■ 広西:南寧・ハノイ間の国際列車が運行開始

■ 湖北:武漢、長江を貫く初めてのトンネルが開通

■ 上海:08年の財政収入は13.3%増の2382.3億元

■ 北京:韓国資本の大型スーパーが突然閉店

=============================================================================

中国は暴動では崩壊しない!

−暴動情報実地検証:08年12月−

05.JAN.08

小島正憲

今のところ、「中国は暴動では崩壊しない」。これが私の半年間の実地検証の結論である。

多くのチャイナウオッチャーたちは、「中国は暴動で崩壊する」と騒ぎ立てている。しかも彼らの中には「中国では、06年度には6万件以上の暴動が起きている」と報じている者が多い。もしその情報が正しいとしたら、中国では毎日150件以上の暴動が起きていることになる。6月以降、私はネットや情報誌紙上の暴動情報をくまなく検索したが、半年で60件ほどであった。私が見落としていたものがあったとしても、年間にして200件を上回ることはないであろう。年間6万件以上の暴動とは真っ赤なうそである。冗談だが、中国では夫婦喧嘩が街頭で結構派手に行われ、多くの野次馬が集まることもしばしばなので、そのようなものまで加えれば6万件に近づくかもしれない。

しかもこの1年間で起きた暴動は、チベット暴動を除けばたいしたものではなかった。私は「1000人を超える暴動と報じられた現場」のほとんどに駆けつけてみたが、情報と現実とが著しく乖離しており、暴動という表現がきわめてあいまいで非科学的であり、情報の受け手に誤解を与えることが多いということがわかった。そこで私は実態を正確に報道することの必要性を感じ、独自の暴動レベル基準(下記赤字)を作成して、それで暴動を評価することにした。この基準で半年間の暴動を分析してみると、暴動レベル3以上のものは、チベット暴動以外はほとんどなかった。

≪私の暴動評価基準≫

暴動レベル0 : 抗議行動のみ 破壊なし

暴動レベル1 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以下(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ

暴動レベル2 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以上(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ 

暴動レベル3 : 破壊活動を含む抗議行動 一般商店への略奪暴行を含む  

暴動レベル4 : 偶発的殺人を伴った破壊活動

暴動レベル5 : テロなど計画的殺人および大量破壊活動

さらに半年間の実地検証の結果、暴動と報じられているものに、一定の傾向があることがわかった。

@暴動レベル3以上のものは少ない。暴動レベル5以上のものは、チベット暴動だけである。

A原因は多岐にわたり、民衆の不満が些細な理由で、どこでも、いつでも爆発する状態である。

※現状の中国では、一般人民の順法意識が低く、すぐに暴力行為に訴えることが多い。これを中国人の国民性として考え、今後も暴動が続発すると理解するか、あるいは経済の発展と共に中国人に順法意識が根付き暴力行為が漸減していくと理解するか、そのどちらかは今のところ結論が出せない。

B当事者に暴力組織関係者が含まれることが多い。

C当事者は公安や政府の建物を標的にして襲撃している。

※一般商店などへの破壊・略奪行為は、チベット暴動以外には少ない。

D野次馬が当事者の約10〜30倍集まる。

E野次馬が便乗暴徒化する可能性がある。

※過去の中国の歴史上では、このような野次馬の便乗暴徒化が大動乱につながった例も少なくない。

私はあと半年間、暴動実地検証を続けてみることにする。そうすれば1年間の実地検証を踏まえた暴動の質量両面での統計数値が出る。そして「中国は暴動では崩壊しない」が完全に立証されることになるだろう。そうなれば多くのチャイナウオッチャーたちの「中国は暴動で崩壊する」という発言を封じることができる。

 

≪暴動情報実地検証 08年12月≫ ※ただし、1〜6までは検証済み。7〜17までは未検証。

1.上海市。 労働者約1000人が警官隊と衝突。      

暴動レベル2。

 

 @日時と場所 : 12/08から3日間。 上海市閔行開発区内、奐鑫集団正門前。

 A参加人数  : 従業員約1000人。

 B被害規模  : 従業員10人が負傷。警察車両1台が破壊された。

 C原因と経過 : 当該公司は受注の激減で数か月前から、従業員に「無期限休息」の通知をし、事実上の解雇をした。また残っている従業員にも  労働時間の短縮を告げた。従業員はこの措置に対して、未払い分の給与の支払いと労働時間短縮の撤回を求めて、8日、工場の入り口で抗議を開始した。午後8時ごろには約1000人となり、工場周辺の道路が遮断された。警察300人が出動  し従業員を排除しようとしたため衝突となり、従業員10人が負傷、警察車両1台が破壊された。その後、会社側が解雇者に補償金を支払い、事態が収拾された。23日に工場近辺で取材したが、すでに平静を取り戻していた。

 <12/08 正門前>                                    <12/23 正門前>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         

2.湖南省株州市。 労働者600人が抗議デモ。

  暴動レベル2。

 @日時と場所:12/03。湖南省株州市庁舎前。

 A参加人数:南太子奶集団の従業員約600人。

 B被害規模:従業員5人が負傷。

 C原因と経過:乳酸菌飲料大手の湖南太子奶集団が給与を5〜6か月分遅配。従業員約600人が市政府前に集合し抗議。従業員は市長に面会を要求したが断られたため、実力で市庁舎内に入ろうとしたが、警察と市警備員に阻止された。その際、従業員5名が負傷。従業員は会社から市政府までの株州一橋付近で、抗議行動を実施したので、交通が麻痺。数日後、市政府が2〜3か月分の給与を立替払いしたため、ひとまず収拾。

8.jpg<12/25 公司前の様子>

                          

 

3.湖南省婁底市。スーパーで略奪事件発生。  

  暴動レベル2。

 @日時と場所:12/10。湖南省婁底市。

 A参加人数:納入業者+近辺住民120人前後。

 B被害規模:商品100万元(1400万円相当)。

 C原因と経過:婁底市のスーパー「嘉家楽」経営者が博打にのめりこみ、高利貸からも金銭を借りるようになり、とうとう納入業者への支払いが数か月分滞った。前日、同経営者の別のスーパーが突然店を閉めたため、納入業者がこのスーパーへ押しかけた。しかし経営者が不在であったため、納入した自社商品を店から持ち出した。そのうちさらに多くの納入業者が殺到し、他社商品まで差し押さえて持ち出すようになり、現場は大混乱になった。その機に乗じて、近辺の住民もスーパーへ押し込み商品を略奪した。数人の警察が現場に駆けつけたが、混乱を鎮めることはできなかった。略奪者どうしの喧嘩も起きた。被害総額は約100万元(1400万円)。このスーパーは他の経営者に買い取られ、近日中に再開する模様。    

               <12/10 店内の様子>                   <12/25 店の外の様子>

 

4.湖南省漣源市。教員千人のスト。暴動レベル0。

 @日時と場所:12/09・10・13。湖南省漣源市庁舎前。

 A参加人数 :教員約1000人。湖南省他都市も含めると6千人。

 B被害規模 :被害なし。

 C原因と経過:漣源市の教員約1000人が国家公務員と同じ水準の賃金アップを要求して、市庁舎前に座り込んだ。教員たちの間には「上級政府機関が教員専用手当てとして当地政府に8千万元を割り当てたが、実際に教員への給付はなかった」ことに対する不満の声が充満していた。市政府が書面で賃上げを回答したので、教員たちは解散した。しかし実際に支払われるかどうかは定かではないという。

 Dその他 : 全国的にも教員のストは多く、10月には重慶で1万人規模、今月に入って河南省・遼寧省などで起きている。

 

5.山西省長治県。村の選挙現場に警察出動。

暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/05。山西省長政県西火鎮。 

 A参加人数:村民多数。警察1500人以上出動。

 B被害規模 : 被害なし。

 C原因と経過: 村長選挙の当日、村の秩序維持のため、警察が出動。村民たちは緊張の中で、投票を行った。西火鎮には30以上の村があり、それぞれに50人以上の警察が配置されたので、出動総数は1500人以上となる。西火鎮には小規模炭鉱が多く、このところ金融危機に伴い石炭価格が下がり閉鎖する炭鉱が多くなった。村は不景気となり、そのようなときに村長選挙が行われるので、村長のいすをめぐって汚職が発生し村が混乱するのを事前に防ぐために、警察が出動しているのだという。

 D山西省では村長などの選挙にからんだ騒動がたくさん起きており、他省とは選挙形式や人民の意識に差があるのかもしれない。今後の検討課題であろう。                                             

<選挙当日の様子 ネットから>                         <西火鎮人民政府>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.山西省平遥県。 村選挙がらみで騒動。 暴動レベル2。

 @日時と場所 : 12/12。山西省平遥県南政郷王家村。

 A参加人数  : 暴力関係者・村民120人と野次馬千人。

B被害規模:村民30人が軽傷。70人以上が拘束された模様。                <騒動のあった龍海公司前>

 C原因と経過 : 村長選挙をめぐる騒動。今回の村長選挙に地元の龍  海実業公司のオーナーが立候補しており、対立候補がその当選を阻むために暴力組織関係者120人を雇って、選挙前日に龍海公司を襲撃。理由は「先日、龍海公司の守衛室で不明の死を遂げた老人の賠償金が安すぎるための抗議」だという。つるはしや大鉈を持った多くの人が龍海公司前に集まり、龍海公司側の警備員と乱闘がはじまった。野次馬が千人ほど集まり、道路が遮断された。平遥県の武装警察200人だけでは足らず、隣の晋中市から100人の武装警察が駆けつけた。騒動の中で、村民30人が軽傷、暴力関係者など70人が拘束。翌日の選挙では、龍海公司のオーナーが当選。村長ポストは、上級政府からの村への援助金を自由に裁量できるため、それを狙っての立候補者が多いという。

 Dその他。 私が平遥県を訪ねたその日に、近隣の梁家堡村で村長選挙が行われるということだった。警察も来て警戒

していると聞いたので、さっそく現地に行ってみた。この村の選挙がその郷の最後だという。村の小学校内で行われてい

たが、警察は2名来ているだけでいたって平静であった。村民は1873人ということで、大勢の人が続々と投票にやってき

た。そして村長・村委員の名前を3人の立候補者の中から選んで用紙に記入し投票していた。午後5時に開票が始まった

が、なんの騒動もなく終了した。

<平遥県南政郷梁家堡村の選挙風景 12/21>

 

 

7.広東省韶関市。 工場従業員の抗議行動。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/01。 工場前の道路(国道106号線)で抗議行動。

 A参加人数  : 国有非鉄金属メーカー「韶関冶煉廠」の工員数百人。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : 会社側の契約条件の変更に不満を持った工員数百人が抗議行動。会社側が譲歩することで決着した模様。この間、道路は2時間半ほど不通。

8.湖南省耒陽市。 警備員の賃上げデモ。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/02。 市共産党委員会前。

 A参加人数  : 公安機関に協力する警備員約100人。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : 警備員たちは賃上げを要求。取り締まる側の公安関係者のデモは異例。

9.北京市。 マルチ商法まがい被害者の陳情抗議行動。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/03 午前。 北京市政府前。

 A参加人数  : 被害者約1000人。

 B被害規模  : 被害なし。

 C原因と経過 : 11/19に起きた北京市政府前の抗議行動の結果、事態の改善の方向が見えないため、陳情者たちが再度抗議行動を起こした。抗議者たちは住居を強制的に移転させられ、十分な補償が得られなかったものが多く、またマルチ商法まがいで違法な資金集めをした「億霖・木業有限公司」への投資被害者も多かった。警察は一部の抗議者を強制連行した。警察100人以上が駆けつけ、抗議者たちを追い払った。

10.広東省東莞市。 業者陳情抗議行動。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/05。 広州市省政府庁舎前。

 A参加人数  : 中小企業事業主約200人。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : 東莞市の香港系企業「東方雷豹電子」が、取引先への代金支払いを不正に拒否しているとされ、納入業者などが省政府に陳情。

11.広東省東莞市。 工場従業員の抗議行動。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/09。 東莞市鳳崗水南山工業城内工場。

 A参加人数  : 従業員約1000人。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : 工場経営者が夜逃げ。残された従業員や納入業者などが工場を包囲し抗議行動。

12.北京市。 直訴者が抗議行動。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/10。 北京市外交部前。

 A参加人数  : 全国各地から直訴者約100人。

 B被害規模  : 被害なし。

 C原因と経過 : 「世界人権宣言」の60周年記念日に、北京外交部前に全国各地から約100人の直訴者が集まり、外交部に対して請願書を提出したが、受領されなかった。

13.広東省広州市。 一般市民の抗議。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/12。 広州黄埔病院内。

 A参加人数  : 患者家族数十人と野次馬。

 B被害規模  : 被害なし。

 C原因と経過 : 12/12、劉という名前の救急患者が病院で死去した。劉さんの家族は病院の誤診のせいだと思い込み、家族ら数十人で病院に押しかけ賠償を求め騒いだ。病院内が混乱したため、警察が出動し、家族8人を拘束して事態を収拾した。

14.北京市。 物流労働者スト。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/13 午後8時半ごろ。 会社内。

 A参加人数  : 会社従業員50人。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : 双日グループと北京三元集団による食品物流の合弁会社=北京三元双日食品物流有限公司で配送従業員のスト。今月から仕事量が増えたのに残業代などが支払われないことに抗議した模様。

15.浙江省湖州市。 住民と不動産開発業者との衝突。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/15 午前8時ごろ。 湖州市太陽路光小区付近。

 A参加人数  : 周辺住民100人以上。

 B被害規模  : 建物などの被害なし。住民にけが人あり。

 C原因と経過 : 村の開発問題で、住民と不動産開発業者が対立。業者側の身元不明な者たちが住民をつるはしなどで殴打。住民5人が負傷、そのうち2人が重傷。警察が道路を封鎖。

16.広東省広州市。 退役軍人の抗議行動。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/18。 広州市省政府ビル前。

 A参加人数  : 退役軍人100人前後。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : かつて核兵器製造に携わりその後遺症に悩む退役軍人が、増額退職金などの支払いをのぞみ抗議活動を行った。

17.遼寧省鉄嶺市昌都県。 教員スト。 暴動レベル0。

 @日時と場所 : 12/22・23。 県役所前。

 A参加人数  : 役所前に1000人集合。県内各地の学校で、6000人余の教師がストに参加。

 B被害規模  : 抗議行動のみ。被害なし。

 C原因と経過 : 県内の教師が、未払い手当ての支給や、賃上げ、養老保険と失業保険の当局負担を求め抗議行動を行った。

 Dその他   : 全国各地で教員の待遇改善を求めたストが頻発しているという。10月には重慶市で参加者1万人を超える抗議行動が起きたと伝えられている。

                                                                   以上