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京大上海センターニュースレター

263号 2009427
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

   「中国経済研究会」のお知らせ

   中国・上海ニュース 2009.4.13-2009.4.19

     清華大学日本研究センターの設立

   上海のお花見名所

   【中国経済最新統計】(試行版)

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「中国経済研究会」のお知らせ

 

2009 年度第二回目の研究会は下記の要領で開催されますので、ご自由に参加してください。

 

 

  時 間: 51916451815 

  場 所: 京都大学吉田キャンパス・法経済学部東館108演習室

  報告者: 沈金虎(京都大学    )

テーマ: 中国の格差拡大と環境悪化問題

―これまでの経済改革の「陰」と成熟する近代国家を目指すための課題―

 

講師略歴:

1961年 中国無錫市生まれ。1982年 南京農業大学農業経済管理学部卒1989年 京大農学研究科農林経済学専攻博士課程修了、農学博士。南九州大学講師、助教授を経て、1998年〜現在、京大農学研究科生物資源経済学専攻講師。

専門領域: 農業経済学、中国の農業・農村・農民問題

   著書:『日本の大豆生産・消費に関する経済分析』中国農業出版社、2003

       『現代中国農業経済論−近代化への歩みと挑戦』農林統計協会、2007

 

注:本研究会は原則として授業期間中の毎月第3火曜日に行います。2009年度における開催(予定)日は以下の通りです。

 前期: 421日(火)、 519日(火)、 616日(火)、721日(火)

  後期:1020日(火)、1117日(火)、1215日(火)、119日(火)

 

(この件に関するお問い合わせは劉徳強(liu@econ.kyoto-u.ac.jp)までお願いします。なお、研究会終了後、有志による懇親会が予定されています。

 

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中国・上海ニュース 4.20−4.26

ヘッドライン

■ 中国:温総理、「内需主導、外需積極利用の成長モデル確立へ」

■ 中国:1−3月期社会消費財小売総額伸び率15%に減速

■ 中国人民銀行副総裁:融資増は害より利大きい、総量規制せず

■ 中国:1−3月期国有企業の利益36.8%減 減少幅縮小

■ 中国:3月原油生産量10%増、3カ月ぶりプラスに

■ 上海:新規失業登録者数1万人超、外資系企業就業者数大幅減

■ 浙江:世界初のAP1000型原発が三門で着工

■ 台湾:クレーンが観光バスに落下、広東からの観光客2人死亡

■ 香港:3月破産申請件数、前月より25%増、前年同期比約2倍に

■ 青島:中国海軍60周年の閲艦式、数万人の観客が詰めかけた

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清華大学日本研究センターの設立

                       協力会会員・北京在住 小林治平

 

 410日、清華大学日本研究中心(センター)が正式に設立され記念式典が催された。

  顧秉林清華大学学長、胡和平清華大学党書記、李肇星前外交部長、井頓泉中日友好協会副会長兼中国対外友好協会副会長、日本側来賓として御手洗日経連会長、宮本在中国大使、井出公使等多くの関係者が参加した。

 このたび同センターを訪問し、活動の現状と将来にむけての目標等の話を伺ったのでこの場で紹介をします。対応頂いたのは王宗瑜・庄英甫の両氏でお二人とも日本語が流暢。

 本研究センターは特定の研究分野を決めることなく、清華大学の全学部を横断し、かつ全方位での研究を目指し、清華大学の日本研究の力を結集する存在として設立された。主任には曲徳林教授が就任。現状では研究・活動の実績はまだないのでこれからの実績を見て評価を頂きたいという他はない。主たる事業として@学術研究 A講演・シンポジウムの開催 B人材の交流と育成 C図書の収集、出版(News Letterの発行を含む)を挙げている。

 現在日本企業のキャノン・セコム・野村総研・三井住友海上火災保険の四社から資金的援助を受けている。全日空には人材育成プロジェクトの支援を受けており、目下三年生の学生12名が日本に渡航中である、半年はインターン生として同社で経験を積み、後の半年を早稲田大学で学ぶという形である。本来四年生が別に6名派遣されていたが就職活動のために半年で帰国した。大学間の単位の相互交換制はまだ決まっていない。初の試みで扱い未定の部分もある。セコムにはやはりインターン生の形で4名を受け入れてもらっており、こちらは三年目の活動となっている。

 以上の聴取情報以外に、09411日付日本経済新聞の記事『日本研究センター 中国・清華大が設立 キャノンなどと協力』があり、これによると日本企業の資金提供は総額1−2億円で、これ以外に中国人学生らの日本での研修費用も負担する。また、清華大学は御手洗富士夫氏に名誉博士の称号を授与した、日本人としては初であるという。

 清華大学は本来理工系の分野を中心とする大学であったが、2000年頃より元の中央工藝美術学院を吸収「合併」して美術学院(学部)を設立したのに始まり、内部の学院(学部)の改組と医科大学の吸収合併などで次々と新しい学院(学部)を設立、現在は14学院(学部)、56学科、総学生数三万五千人(うち学部生14000、修士過程14000、博士課程7000、いずれも概数)を擁する規模となっている(同大学HPより)。

 もとより伝統ある各学部とその権威者の多い本大学で、日本に関連する研究の取組みという「共通項」のみで新規の横断的業務をやり遂げるのにはかなりの手腕を必要とするであろう。それ相当の人的資源の集約力・リーダーシップを発揮しないと「垣根」を越えるのはやさしくないと想像される。また、先発の研究を進めている他大学に伍して社会的評価を受ける事のできる実績・結果を示すには、幸い日本企業数社の協力が決まっているようだから、これをうまく活用できるかどうかがひとつのポイントであろうと思われる。企業の活用となれば方面は当代の日本経済、日本企業の経営管理関連が活動対象としては始めやすいのではないか。初期的活動の成果を見て『さすが清華大学』という評価が高まれば、国内外の企業と学内外の識者の協力が更に得やすくなる。その意味で「立ち上がり」をお手並み拝見と見ている関係者は多いのではないかと思う。

 なお、京大上海センター協力会の一会員としての立場で、京大上海センターの紹介を簡単に行なった。これに対して活動の内容や協力会参加企業名、寄付金の規模などについての質問を受けた。協力と支援のための別立て組織「協力会」の存在がユニークであり、企業+個人による会員制である事がうまく機能している事、ニュースレターやシンポジウムのレベルが高く、これらによって提供される最新情報に価値を見い出す参加者が多い事を一会員の私の認識として申し上げた。

 当京大上海センター・同協力会の組織立てや活動実績、経験が参考になる事を願い、この設立まもない清華大学日本研究センターの発展を期待して見守りたいと思う。

094.24記)

 

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【中国経済最新統計】(試行版)

 

上海センターは、協力会会員を始めとする読者の皆様方へのサービスを充実する一環として、激動する中国経済に関する最新の統計情報を毎週お届けすることにしましたが、今後必要に応じて項目や表示方法などを見直す可能性がありますので、当面、試行版として提供し、引用を差し控えるようよろしくお願いいたします。    編集者より

 

@

実質GDP増加率

(%)

A

工業付加価値増加率(%)

B

消費財

小売総

額増加率(%)

C

消費者

物価指

上昇率(%)

D

都市固定資産投資増加率(%)

E

貿易収支

(億j)

F

輸 出

増加率(%)

G

輸 入

増加率(%)

H

外国直

接投資

件数の増加率

(%)

I

外国直接投資金額増加率

(%)

J

貨幣供給量増加率M2(%)

K

人民元貸出残高増加率(%)

2005

10.4

 

12.9

1.8

27.2

1020

28.4

17.6

0.8

0.5

17.6

9.3

2006

11.6

 

13.7

1.5

24.3

1775

27.2

19.9

5.7

4.5

15.7

15.7

2007

13.0

18.5

16.8

4.8

25.8

2618

25.7

20.8

8.7

18.7

16.7

16.1

2008

9.0

12.9

21.6

5.9

26.1

2955

17.2

18.5

27.4

23.6

17.8

15.9

  1

 

 

21.2

7.1

 

194

26.5

27.6

13.4

109.8

18.9

16.7

 2

 

(15.4)

19.1

8.7

(24.3)

82

6.3

35.6

38.0

38.3

17.4

15.7

 3

10.6

17.8

21.5

8.3

27.3

131

30.3

24.9

28.1

39.6

16.2

14.8

 4

 

15.7

22.0

8.5

25.4

164

21.8

26.8

16.7

52.7

16.9

14.7

 5

 

16.0

21.6

7.7

25.4

198

28.2

40.7

11.0

38.0

18.0

14.9

 6

10.4

16.0

23.0

7.1

29.5

207

17.2

31.4

27.2

14.6

17.3

14.1

 7

 

14.7

23.3

6.3

29.2

252

26.7

33.7

22.2

38.5

16.3

14.6

 8

 

12.8

23.2

4.9

28.1

289

21.0

23.0

39.5

39.7

15.9

14.3

 9

9.9

11.4

23.2

4.6

29.0

294

21.4

21.2

40.3

26.0

15.2

14.5

10

 

8.2

22.0

4.0

24.4

353

19.0

15.4

26.1

0.8

15.0

14.6

11

 

5.4

20.8

2.4

23.8

402

2.2

18.0

38.3

36.5

14.7

13.2

12

9.0

5.7

19.0

1.2

22.3

390

2.8

21.3

25.8

5.7

17.8

15.9

2009

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

 

 

1.0

 

391

17.5

43.1

48.7

32.7

18.7

18.6

2

 

3.8

(15.2)

1.6

(26.5)

48

25.7

24.1

13.0

15.8

20.5

24.2

3

6.1

8.3

14.7

1.2

30.3

186

17.1

25.1

▲30.4

▲9.5

25.5

29.8

 

注:1.@「実質GDP増加率」は前年同期(四半期)比、その他の増加率はいずれも前年同月比である。

2.中国では、旧正月休みは年によって月が変わるため、1月と2月の前年同月比は比較できない場合があるので注意

されたい。また、(  )内の数字は1月と2月を合計した増加率を示している。

  3. B「消費財小売総額」は中国における「社会消費財小売総額」、C「消費者物価指数」は「住民消費価格指数」に対応している。D「都市固定資産投資」は全国総投資額の86%2007年)を占めている。E―Gはいずれもモノの貿易である。HとIは実施ベースである。

出所:@―Dは国家統計局統計、EFGは海関統計、HIは商務部統計、JKは中国人民銀行統計による。