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京大上海センターニュースレター

265号 2009511
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

   「中国経済研究会」のお知らせ

   外部研究会のお知らせ:現代中国学会2009年度関西部会大会

   中国・上海ニュース 2009.5.4-2009.5.10

   上海モーターショーあれこれ

   上海万博最新情報

   【中国経済最新統計】(試行版)

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フォームの始まり

 

「中国経済研究会」のお知らせ

 

2009 年度第二回目の研究会は下記の要領で開催されますので、ご自由に参加してください。

 

 

  時 間: 51916451815 

  場 所: 京都大学吉田キャンパス・法経済学部東館108演習室

  報告者: 沈金虎(京都大学農学研究科講師)

テーマ: 中国の格差拡大と環境悪化問題

―これまでの経済改革の「陰」と成熟する近代国家を目指すための課題―

 

講師略歴:

1961年 中国無錫市生まれ。1982年 南京農業大学農業経済管理学部卒1989年 京大農学研究科農林経済学専攻博士課程修了、農学博士。南九州大学講師、助教授を経て、1998年〜現在、京大農学研究科生物資源経済学専攻講師。

専門領域: 農業経済学、中国の農業・農村・農民問題

  著  書:『日本の大豆生産・消費に関する経済分析』中国農業出版社、2003

        『現代中国農業経済論−近代化への歩みと挑戦』農林統計協会、2007

 

注:本研究会は原則として授業期間中の毎月第3火曜日に行います。2009年度における開催(予定)日は以下の通りです。

 前期: 421日(火)、 519日(火)、 616日(火)、721日(火)

  後期:1020日(火)、1117日(火)、1215日(火)、119日(火)

 

(この件に関するお問い合わせは劉徳強(liu@econ.kyoto-u.ac.jp)までお願いします。なお、研究会終了後、有志による懇親会が予定されています。

 

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外部研究会のお知らせ

 

日本現代中国学会2009年度関西部会大会のご案内

 

 4回目の開催となります2009度関西部会大会のプログラムをお届けいたします。周囲の方々にもお声をかけていただき、多数ご参加いただきますようお願いいたします。

出欠につきましては、添付しました「参加申込書」にご記入の上、63()までに、電子メールもしくはファックスにて事務局総務宛ご回答ください。会場の都合上、事前に参加人数を把握する必要がございますので、お手数ですがご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。

   参加申込書 送信先 関西部会事務局(総務)日野みどり

電子メール:hino@kinjo-u.ac.jp

ファックス:052-799-2196(金城学院大学現代文化学部:「日野宛」と明記願います)

 

詳しい内容については以下のホームページからご覧いただけます。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jamcs/chiiki.html

 

日本現代中国学会2009年度関西部会大会

〈プログラム〉

 

  時 2009613日(土)10:0017:30(受付は6Fにて午前930分より開始)

  場 大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第二ビル6F)・生涯学習センター(同5F

参加費 無料(懇親会費用は別途)

 

[自由論題報告]

【政治・社会分科会】(6F大セミナー室)

  穎「合同(共同)軍事演習の新展開―中国の「新安全保障観」との関連」

畢麗傑「中国における高齢者介護の社会化と在宅介護」

聶海松「中国海南省における高齢者生活に関する研究―2008年の調査から」

 

【文学・思想分科会】(5F生涯学習センター)

南真理「現代中国の抗日戦争テレビドラマについて」

大野陽介「建国初期の現代戯にみる女性像について―「劉巧児」を中心に」

吉田世志子「「百花斉放」から「反右派闘争」の中の老舎―『茶館』を中心に」

 

【経済分科会】(6Fホール)

登り山和希(大阪市立大学大学院経済学研究科)「企業改革下における上海港湾企業の変化と課題」

堀喜丈「中国における小口融資会社の発展と諸問題」

韓光燦「鞍鋼における余剰人員の整理と削減―ソフト予算制約の解消の視点から」

 

【歴史分科会】(6F小セミナー室)

新地比呂志「改組派の結成と中国共産党との相克」

王雪萍「中国の歴史教育課程における階級闘争史観の変容―「教学大綱」と歴史書の記述の変化を中心に」

大西広「チベット農奴制の歴史的な位置づけについて」

 

[共通論題]13:4017:30   「現代中国」――問われる正統性とその再構築過程

13:4014:00 問題提起:西村成雄(放送大学)

パネリスト/討論者:

14:0014:40【政治・法律領域】 高見沢麿(東京大学)/宇田川幸則(名古屋大学)

14:4015:20経済領域】    加藤弘之(神戸大学)/劉徳強(京都大学)

15:3016:10【歴史領域】    三品英憲(和歌山大学)/田中仁(大阪大学)

16:1016:50【文学・思想領域】 瀬戸宏(摂南大学)/宇野木洋(立命館大学)

16:5017:30 全体討論

 

[懇親会](18:0020:00

会場 検討中

会費 一般5,000円 学生(院生)3,000

*参加希望者は必ず事前に出席のご連絡をお願いします。

 

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中国・上海ニュース 5.4−5.10

ヘッドライン

■ 中国:レアアースなど鉱物探査の申請受理を一時停止

■ 日中情報通信分野での協力を合意

■ 中国:4月の港湾貨物取扱量、今年初めて増加に

■ 中国:閉鎖・倒産国有企業関係者の医療保険を解決へ

■ 中国:4月の電力消費量3.5%減減少幅縮小の傾向

■ 自動車:4月新車販売台数25%増の115万台、過去最高

■ 福建:「海峡西岸経済区」を建設、台湾との経済一体化を図る

■ 山東:手足口病死者、今年27人に

■ 四川:大地震遭難生徒数5335人

■ 上海:南匯区と浦東新区が合併し「大浦東区」に

 

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上海モーターショーあれこれ

                            07.MAY.09

                                                              小島正憲

4/22〜28まで、モーターショーが上海浦東新区の上海新国際博覧中心で開催された。

初日の来場者は6万8千人、25日の土曜日は13万6千人、26日の日曜日は12万1千人を超え、通算では60万人に達し、過去最高を記録した。私は中国での車の売れ行きが今後の世界経済を左右することになると思い、それを見定めるためにこの会場に足を運んだ。とは言うものの、車にはまったくの素人なので、京大の塩地洋教授の後ろにくっついて歩きいろいろと教えていただいたというのが本当のところである。とにかく会場は大変な人混みで先生にはぐれないように付いていくのがやっとだった。いずれにせよモーターショーは運にも恵まれて大盛況で終わった。もし開催が2週間遅れていたら、豚インフルエンザの影響で開催は中止になっていたかもしれないし、もし開催されていても人出はかなり減っただろうと思うからである。きっと中国の経済発展を神様も応援しているのだろう。

今回の上海モーターショー(正式名:第13回上海国際汽車工業博覧会)では、展示面積が一昨年より20%増の約17万平米となり、世界各国から約1400社の参加があり、計918台が展示された。展示の内訳は、輸入車が316台、国産車が602台であり、中でもトヨタは4500平米を確保し約50台を並べ、中国の同様の展示会と比較して過去最大規模となったという。ダイハツを除くその他の日本メーカーもそれぞれ力の入った展示をしていた。破産もうわさされている米のビッグ3も、ここでは積極的な展開を見せていた。なお欧米メーカーでは仏のルノー、伊のフィアットが経営不振で出展を断念していた。中国の3月の自動車販売は過去最高の111万台にせまっており、このままの調子でいくと通年では米国を抜き、世界トップになる可能性が出てきた。欧米や日本の自動車需要が冷え込む中、中国が世界最大の自動車市場として存在感を急速に高めている。そのような中での上海モーターショーだけに、各自動車メーカーもこれに全力で取り組んでいた。

まず私たちは奇端公司のQQの新車を見に行った。なぜなら中国政府の新政策の結果、この小型車が大量に売れ始めているというので、ぜひ見てみたかったからである。この車は3〜5万元で販売されており、セカンドカーとしても買いやすい値段となっている。この中国政府の新政策とは以下のようなものである。まず消費刺激策の一環として、1600cc以下の自動車の取得税を5%に半減させたことである。その減税効果で3月はこのクラスの販売が激増した。次に3月からは農村でのオート三輪などから小型車への買い替えに補助金を出す「汽車下郷(農村に自動車を)」制度を開始したことである。したがって今後も低価格の小型車の販売が増加するとみられている。

余談ながら、翌日私がマンションのベランダから、なにげなく駐車場を見ているとそこに薄緑色のQQが入ってきた。中からは4階の住人の奥さんが出てきた。たしかご主人はGMの黒のビュイックに乗っていたから、あれは奥さん専用のセカンドカーに違いないと思った。しかし奥さんもご主人とは違う会社の総経理で、かなり高収入であると聞いていたので、きっとそのうち別の高級車に乗り換えるのだろうと思い直した。同時に中国では共稼ぎが一般的で男女の給与差がないので、日本や欧米よりも車が売れるようになるのではないかと考えた。

次にBYDのコーナーに行った。中国自主ブランドメーカーの比亜迪(BYD)汽車の車は、現在、中国でもっとも売れており、3月の販売台数は3万3千台に及び、昨年同月対比231%となり、中国自主ブランドメーカーの中でトップとなった。BYDの王伝福総裁は、今年の販売台数目標を40万台とし、民族系大手の奇端を抜きトップを狙うと豪語している。たしかにコーナーには人が多かった。そのBYDも昨年末に家庭用電源で充電可能なプラグイン型ハイブリッド車を発売したが、まだ1台も売れていないという。たしかにBYDHV車コーナーには人が少なく、人気がないようだった。

トヨタのコーナーに行ってみた。広い場所を確保しゆったりと展示しているように見えたが、それまで民族系の派手な展示を見慣れてきたので、かなりおとなしく感じた。数日前に、トヨタの合弁会社=広州豊田汽車生産のカムリのブレーキが不具合で、26万台のリコールが発表されており、その影響かとも思った。またトヨタのコーナーにはモデルがいなかったので、カメラを構えシャッターを切る中国人が少なかった。

それでもHV車には多くの人が関心を寄せており、説明係の女性が一生懸命応対していた。またレクサスの展示場は対面にあり、一段と立派だった。その後、ホンダ、マツダ、ニッサン、スズキなどのコーナーを回ったが、概して日本車の展示はおとなしい感じがした。ついでフェラーリの展示場に行こうと思ったが、人混みで近づけず断念した。

民族系の自動車メーカーはモデルをたくさん登用して派手な演出をしていた。それらは車に魅力がない分をモデルでカバーしようというような感じを受けるほどだった。それでも中国人の観客はカメラを持って、一生懸命にモデルを映すので、

きれいなモデルの前には人の山ができており、肝心の車はまったく見ることができなかった。なお中国政府は国内の自動車メーカーを現在の15社から10社以内に絞り込む計画を年内に発表するという。次のモーターショーでは、これらの民族系メーカーがかなり減っているだろう。

最後に日系や台湾、韓国の部品メーカーのところへ行った。中国の国産部品メーカーのところは人がちらほらいるだけだった。なお、事前の情報では中国の自動車部品サプライヤーの4割が資金難にあえいでいるということだった。


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【中国経済最新統計】(試行版)

 

上海センターは、協力会会員を始めとする読者の皆様方へのサービスを充実する一環として、激動する中国経済に関する最新の統計情報を毎週お届けすることにしましたが、今後必要に応じて項目や表示方法などを見直す可能性がありますので、当面、試行版として提供し、引用を差し控えるようよろしくお願いいたします。    編集者より

 

@

実質GDP増加率

(%)

A

工業付加価値増加率(%)

B

消費財

小売総

額増加率(%)

C

消費者

物価指

上昇率(%)

D

都市固定資産投資増加率(%)

E

貿易収支

(億j)

F

輸 出

増加率(%)

G

輸 入

増加率(%)

H

外国直

接投資

件数の増加率

(%)

I

外国直接投資金額増加率

(%)

J

貨幣供給量増加率M2(%)

K

人民元貸出残高増加率(%)

2005

10.4

 

12.9

1.8

27.2

1020

28.4

17.6

0.8

0.5

17.6

9.3

2006

11.6

 

13.7

1.5

24.3

1775

27.2

19.9

5.7

4.5

15.7

15.7

2007

13.0

18.5

16.8

4.8

25.8

2618

25.7

20.8

8.7

18.7

16.7

16.1

2008

9.0

12.9

21.6

5.9

26.1

2955

17.2

18.5

27.4

23.6

17.8

15.9

  1

 

 

21.2

7.1

 

194

26.5

27.6

13.4

109.8

18.9

16.7

 2

 

(15.4)

19.1

8.7

(24.3)

82

6.3

35.6

38.0

38.3

17.4

15.7

 3

10.6

17.8

21.5

8.3

27.3

131

30.3

24.9

28.1

39.6

16.2

14.8

 4

 

15.7

22.0

8.5

25.4

164

21.8

26.8

16.7

52.7

16.9

14.7

 5

 

16.0

21.6

7.7

25.4

198

28.2

40.7

11.0

38.0

18.0

14.9

 6

10.4

16.0

23.0

7.1

29.5

207

17.2

31.4

27.2

14.6

17.3

14.1

 7

 

14.7

23.3

6.3

29.2

252

26.7

33.7

22.2

38.5

16.3

14.6

 8

 

12.8

23.2

4.9

28.1

289

21.0

23.0

39.5

39.7

15.9

14.3

 9

9.9

11.4

23.2

4.6

29.0

294

21.4

21.2

40.3

26.0

15.2

14.5

10

 

8.2

22.0

4.0

24.4

353

19.0

15.4

26.1

0.8

15.0

14.6

11

 

5.4

20.8

2.4

23.8

402

2.2

18.0

38.3

36.5

14.7

13.2

12

9.0

5.7

19.0

1.2

22.3

390

2.8

21.3

25.8

5.7

17.8

15.9

2009

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

 

 

1.0

 

391

17.5

43.1

48.7

32.7

18.7

18.6

2

 

3.8

(15.2)

1.6

(26.5)

48

25.7

24.1

13.0

15.8

20.5

24.2

3

6.1

8.3

14.7

1.2

30.3

186

17.1

25.1

▲30.4

▲9.5

25.5

29.8

 

注:1.@「実質GDP増加率」は前年同期(四半期)比、その他の増加率はいずれも前年同月比である。

2.中国では、旧正月休みは年によって月が変わるため、1月と2月の前年同月比は比較できない場合があるので注意

されたい。また、(  )内の数字は1月と2月を合計した増加率を示している。

  3. B「消費財小売総額」は中国における「社会消費財小売総額」、C「消費者物価指数」は「住民消費価格指数」に対応している。D「都市固定資産投資」は全国総投資額の86%2007年)を占めている。E―Gはいずれもモノの貿易である。HとIは実施ベースである。

出所:@―Dは国家統計局統計、EFGは海関統計、HIは商務部統計、JKは中国人民銀行統計による。