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京大上海センターニュースレター

290号 2009112
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

○ 中国自動車シンポジウム:中国農村におけるモータリゼーション

○ 「中国経済研究会」のお知らせ

○ 合同講演会:今後のアジア情勢を読む―日本の政権交代と日中協力の行方―

○ 国際研究セミナ:中国経済の構造転換―日本の経験との比較―

○ 中国・上海ニュース 2009.10.26-2009.11.1

○ 「中国経済がダメになる理由」 vs 「あと5年で中国が世界を制する」

○ 【中国経済最新統計】(試行版)

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京都大学上海センター・東京大学ものづくり経営研究センター 共催

 

中国自動車シンポジウム

中国農村におけるモータリゼーション

――多元的発展プロセスの下での参入戦略――

 

後援:京都大学上海センター協力会

 

2009117() 13

京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホール

 

総合司会 京都大学大学院経済学研究科教授 徳賀 芳弘

 

13:00-13:10

挨拶 京都大学大学院経済学研究科長 八木紀一郎

東京大学ものづくり経営研究センター 新宅純二郎

 

 

13:10-13:30

京都大学大学院経済学研究科 教授 塩地 洋         汽車下郷と参入戦略

                                                 ―テーマと報告構成―

 

 

[第1部 中国農村における多元的発展プロセス]

 

13:30-14:00

桃山学院大学経済学部 教授              厳 善平         中国農村の経済社会構造

 

 

14:00-14:30

東京大学社会科学研究所 教授      田島 俊雄       軽型車から農用車へ―中国的モータリゼーションの展開過程―

同現代中国研究拠点・北京研究基地代表

 

 

14:20-14:40

小島衣料 元社長                  小島 正憲       農村の交通事情

 

 

15:00-15:20

同志社大学商学部 准教授         西川 純平       農村における販売店・修理工場・中古車

 

 

[第2部 いかに農村に参入するか]

 

15:40-16:00

大阪商業大学経営学部 教授              孫 飛舟         石家庄市近郊農村でのアンケート調査

 

 

16:00-16:20

東京大学ものづくりセンター 助教  李 澤建         民族系メーカーの農村戦略

 

 

16:20-16:40

熊本学園大学経済学部 准教授       三嶋 恒平       タイにおける日系自動車メーカーの農村戦略

 

 

16:40-17:10

伊藤忠商事 シニアフェロー           石岡 徹         日系メーカーによる中国農村戦略

 

 

17:10-17:15

閉会挨拶

 

17:30-18:30

懇親会 カンフォーラ

司会 京都大学大学院経済学研究科 教授 劉 徳強

挨拶 京都大学上海センター協力会 副会長 大森經徳

 

*御参加希望の方は,塩地(shioji@econ.kyoto-u.ac.jp) まで連絡ください。

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「中国経済研究会」のお知らせ

 

11月の中国経済研究会は中国経済学会学術研究会(関西部会)と共同で下記の内容で開催することになりました。ご関心のある方はぜひご参加ください。なお、今回の研究会の時間と場所は従来と異なるので、十分ご注意ください。

 

2009年中国経済学会学術研究会(西日本部会)

京都大学経済学研究科上海センター中国経済研究会

共同研究会プログラム

 

日時: 20091114日(土) 1330~171

           場所: 京都大学 吉田キャンパス 法経東館3階311演習室

 

1報告: 13:3014:20

報告者:  大西 広(京都大学経済学研究科)

タイトル:「甘南チベット族自治州夏河県指導層の統計分析-他地区との比較も交えて-

討論者:  佐々木 彰 (大阪市立大学経済学研究科

 

2報告:  14:2015:10

報告者: 苗建青(中国・西南大学経済管理学院)
タイトル:「中国南西部のカルスト地域における石漠化(水土流失)の経済要因に関する分析」
討論者: 竹歳
一紀(桃山学院大学経済学部)

コーヒー・ブレーク 15101530

 

3報告15:3016:20


報告者: 朱 沢山(中国・西南大学経済管理学院)
タイトル:「中国における地域間の貿易構造による経済成長の影響効果に関する分析」

討論者: 梶谷 懐(神戸学院大学経済学部)

 

4報告: 16:2017:10

報告者:  呉青姫立命館アジア太平洋大学

タイトル: 「中国の都市と農村における健康格差 ―人的資本によるアプローチ―」

討論者:  岑智偉(京都産業大学経済学部)   

 

(*研究会終了後、有志による懇親会がありますので、ご自由に参加下さい)

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合同講演会:

今後のアジア情勢を読む

――日本の政権交代と日中協力の行方――

 

日本と中国との関係は、1972年の日中国交正常化(日中国交回復)以降、特に経済、文化、教育交流活動を軸にして活発に進行し、まさにグローバル化の先端を走ってきました。

 かくて時恰も中国建国60周年を迎えた年に、日本では総選挙の結果政権が交代しました。こうした背景のもとで、今後の日中関係はどのように展開していくのかを展望いたします。

 

主 催 京都大学経済学研究科上海センター・立命館孔子学院/後援:上海センター協力会

日 時 20091115日(日)午後300615

場 所  京都大学時計台記念館国際交流ホールⅡ、Ⅲ

 

総合司会

劉 徳強(京都大学経済学研究科上海センター長、教授)

 

開会挨拶

西村周三(京都大学副学長・理事) 

 

第1部          講演

鄭 祥林(中華人民共和国駐大阪総領事館大使級総領事)

野中広務(立命館大学客員教授、元内閣官房長官)

小原雅博(外務省アジア大洋州局審議官)

 

第2部          パネルディスカッション

コーディネータ 

周 瑋生(立命館孔子学院長、立命館大学政策科学部教授

パネリスト 

鄭 祥林(中華人民共和国駐大阪総領事館大使級総領事)

野中広務(立命館大学客員教授、元内閣官房長官)

小原雅博(外務省アジア大洋州局審議官)

 

閉会挨拶 

交渉中(立命館大学副学長)

 

第3部          懇親会(午後6:308:00) 国際交流ホールⅠ

 

 参加者、講師、関係者の交流懇親

 

参加ご希望の方はメール、電話、またはFAXにて立命館孔子学院事務局(下記)へお申込み下さい。

603-8577 京都市北区等持院北町56-1 アカデメイア立命21

TEL075-465-8426  FAX075-465-8429  E-MAILconfuciu@st.ritsumei.ac.jp

 

◆参 加 費:講演、パネルディスカッションは無料

レセプションは3,000円を当日会場にて申し受けます

◆定    員:150名(申込み先着順)

◆申込締切:20091113

 

会場の地図等、詳細につきましては下記HPでご確認下さい。お車でのご来場はご遠慮ください。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map5r.htm

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京都大学経済学研究科上海センター主催・国際研究セミナプログラム()

 

中国経済の構造転換

―日本の経験との比較―

 

           時 間: 20091128

           場 所: 京都大学芝蘭会館別館会議室

              言 語:  日本語・中国語(通訳あり)

 

9:00 開始

開会の御挨拶:八木紀一郎((京都大学経済学研究教授、研究科長)

 

司会:劉徳強(京都大学経済学研究科教授、上海センター長))

9:1510:15 渡辺純子(京都大学経済学研究科准教授)

「産業構造の変化に対する政策・企業の対応日本の繊維産業の事例を中心に」

10:1511:15 楊瑞竜(中国・中国人民大学経済学院教授、院長)

「金融危機後の中国経済成長の源泉と可能な経路」

11:1512:15  植田和弘(京都大学経済学研究科教授)

「日本における環境問題と持続的発展()

 

昼食:芝蘭会館レストラン

 

司会:渡辺純子(京都大学経済学研究科准教授)

13:1514:15 胡春力(中国国家発展改革委員会産業発展研究所研究員、前所長)

「中国産業構造調整の課題」

14:1515:15 久本憲夫(京都大学経済学研究科教授)

「高度成長期から安定成長期における日本労使関係の変化」

15:1516:15 袁志剛(中国・復旦大学経済学院教授、院長)、孫立堅(同教授、副院長)

「就業構造の変化と中国経済の均衡成長」

 

16:15 

閉会の御挨拶:岩本武和副研究科長

16:30 終了

 

5:00 レセプション

 

*学外の方もご自由に参加できます。参加のお問い合わせは劉liu@econ.kyoto-u.ac.jpまでお願いします。)

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中国・上海ニュース 10.26-11.1

ヘッドライン

■ 中国:石油・石化産業の1-8月利益は23%減、改善傾向は強まる

■ 交通:北京-上海高速鉄道、最長のトンネルが予定より早く完成

      通信:中国のネットユーザー3.6億人

■ エネルギー:中国・瀋陽動力集団、米テキサス風力発電所計画で15億米ドルの契約

■ 自動車:米フォード、中国メーカーにボルボ買収の優先交渉権を授与

■ 経済:1-9月の工業利益9%減、減少幅は縮小

      北京:障害児出生率が12年で2倍に!経済成長がもたらした環境破壊と比例

■ 重慶:埋蔵量1000億トン!中国最大級のガス田を発見

      遼寧:中国への進出で生き残りを図る日本の地方企業、4000社近くが大連へ

       甘粛:中国人イスラム教徒1万3000人がメッカ巡礼に=新型インフルワクチン接種など政府も

     支援

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「中国経済がダメになる理由」 vs 「あと5年で中国が世界を制する」

(石平・三橋貴明共著 PHP 09年5/01刊)   (副島隆彦著 ビジネス社 09年9/05刊)

                      29OCT.09

美朋有限公司董事長

   中小企業家同友会上海倶楽部代表

上海センター外部研究員  小島正憲

 

 巷では、昨今、民主党のアジア重視外交の表明のせいか、こんな題名の本が売れているという。どちらも中国経済の今後を論じているのだが、結論は正反対である。一体、どちらの本がより実態に近いのであろうか。今回はそれを検討する。各項冒頭の○×△は、その主張の正誤を示す。

 

1.「中国経済がダメになる理由」の正誤。

×「中国の失業者は1億人に近づいている」

三橋氏は本著の冒頭で、「現実には民工を含めた中国の失業者が1億人に近づいている」と、大ウソをついている。彼はその論拠として、「中国当局は2008年の失業率について4.2%、失業者総数が886万人になったと発表した。失業率が4.2%で、失業者総数が886万人ということは、中国の労働人口は2億1千万人と計算される。人口が12億人を超える中国は、わずか2億人が働くだけで成り立っているわけだ。(中略) 民工を含む中国の失業率は、中国社会科学院の社会青書によると、なんと9.4%という高水準に達しているという。人口が10億人を超える国で、失業率が2桁に近いのだ。つまり失業者は1億人に近づいている」と書いている。まさにわけのわからない統計数値を引っ張り出してきて、結論を「失業者1億人」と当てずっぽうに言っているのである。

中国では5年前ほどから、人手不足状況が進行している。中国には「失業者はいない」と言い切っても言い過ぎではない。三橋氏が論拠として引き合いに出している社会科学院もこれを認め、農民工が枯渇することに強い危機感を表す声明を発表している。私はこれまでに多くの現場検証を行い、中国全土で人手が不足していることを証明してきた。中国のどんな田舎に行っても、街の多くの飲食店や小売店などの店頭には、求人広告が貼られている。つまり人手不足なのである。三橋氏が言うように、1億人も失業者がいるのならば、どんな職種にも失業者が殺到するはずであり、求人広告など出そうものならば応募者が将棋倒しになるぐらい集まるはずである。だが実際には、100人を募集してみても数人しか集まらない。中国は深刻な人手不足状態なのである。

深圳市人力資源・社会保障部門の報告によれば、8月の深圳の労働力不足は12万人に及ぶという。広東省全体でも事態は同様に人手不足であり、それぞれの市の労働局が中国の各地方に求人活動に走っているのが実状である。他の各省でも事態は同じである。浙江省義烏市の労働市場では、労働者を募集する企業のブースが建物の外まではみ出し、交通渋滞が起きるほどであるという。江蘇省の蘇州工業園区では3月から「労働力不足」の兆しが見え始め、今では約5000人もの労働力が不足している。これらの人手不足現象の理由については、2003年度に私がすでに分析し発表しているので、それを参照していただきたい。その後、人手不足状況は金融危機を経た現在でも、本質は変わっていない。

大卒の就職難を取り上げて、失業者が多いことを傍証としようという学者や中国ウォッチャーがいるが、それは間違いである。大卒の就職難現象は彼らのぜいたく病の結果である。彼らは手を汚さず汗をかかないで済み、給料が高い職場を望んでいる。また一人っ子なので親も、大学まで出したのにということで、高望みをして安易に就職させない。肉体労働や安月給のところに行くぐらいなら、遊んでいてもかまわないという風潮なのである。したがって大卒の就職率などまったく参考にならない。それが証拠に、就職できない学生が、飢えて暴動を起こしたなどという話は聞いたことがない。

私は三橋氏に頼みたい。「中国のどこでもよいので店頭に求人広告が貼ってない街をみつけて教えて欲しい」と。私はすぐにその地に調査に飛んで行く。

×「中国全土において暴動が年間9万件以上起きている」

日本には「講釈師見てきたような嘘をつき」という川柳があるが、まさに石平氏は文中で見てきたような真っ赤なウソをついている。私も一昨年、「中国で年間9万件の暴動発生」という情報を聞いた。しかし私はそのときすぐに頭の中で計算をしてみた。1年間で9万件ということは、35で割り(中国全土で35省)、さらにそれを365日で割ると、約7件となる。つまり私が住んでいる上海市だけでも毎日7件の暴動が起きている勘定になる。そのように計算してみると、どう考えてみてもこの数字を、私は信じることができなかった。もし上海市内で暴動が毎日7件も起きているとするならば、私の周辺でも頻発しているはずだし、当然のことながら私はそれらを目にしているはずだからである。暴動という字句に該当しないような、夫婦喧嘩や交通事故の喧嘩も含めれば、9万件になるかもしれないが、上海市内で1000人を超すような暴動を、私はこの数年見たことがない。ところがその後、石平氏だけでなく多くの中国ウォッチャーたちがこの中国当局発表の統計数字を引用して、あたかも中国が暴動で崩壊するようなデマを流すようになった。

そこで私は、中国各地で起きているという暴動を、できるだけ現地に足を運びくまなく調べ、9万件の中身を検証することにした。ところがしばらくして、情報の中には、暴動、騒乱、騒動、騒擾、抗議行動、デモ、ストなどの言葉が入り交っており、その定義がきわめてあいまいであることがわかった。仕方がないので、私が独断で下記-Aのような判断基準を作り、できるだけレベル3以上のところに調査に行くことにした。そしてその結果を、毎月各位に送信し、半年後には下記-Bのような中間結論を出した。暴動調査を始めてから、これで約1年半になるが、基本的にはこの中間結論を修正する必要はないと考えている。

私の調査では、レベル2以上の暴動は1年間に多く見積もっても1000件ほどである。08年3月ラサでチベット族、09年7月ウルムチでウィグル族の暴動が起きたが、この2件だけがレベル5以上で、真の意味での暴動という表現に該当するものである。その他の「暴動」についてはその都度、情報発信をしておいたので、真相は解明できていると考えている。この1年半で暴動レベル3以上のものは、わずか数件であった。これらの「暴動」で中国が崩壊すると大騒ぎする方が異常である。

石平氏は、各種の発行物で暴動の典型例として、いつも2008年6月に起きた貴州省瓮安県の事件を上げている。この事件は地元のやくざが複雑にからんだ事件であり、石平氏の言うような「虐げられた民衆の共産党政府への怒りの声」などと単純に割り切れる暴動ではない。石平氏は現地に行って調査をしているわけではなく、伝聞だけで作文をしており、結果としてデマを流しているのである。この事件の詳細については、拙論「長征と貴州省暴動」を参照していただきたい。貴州省瓮安県の事件に続いて、石平氏は08年7月に起きた上海での警官殺し事件、また同月に湖南省で起きたガスボンベ自爆事件などを上げて、これらの「暴動」で中国が崩壊すると主張しているが、これらの事件は日本を含む資本主義国でも相当数起きており、ことさらに中国を名指しするほどのものではない。

もし石平氏が、09年度に起きたレベル3以上の暴動ついての情報をもっているのならば、ぜひ私に一覧表にして送信して欲しい。私はただちにその現場に駆けつける。石平氏の手元には、年間9万件の暴動情報があるはずだから、それは簡単なことだろう。

A.≪私の暴動評価基準≫

暴動レベル0 : 抗議行動のみ 破壊なし

暴動レベル1 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以下(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ

暴動レベル2 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以上(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ 

暴動レベル3 : 破壊活動を含む抗議行動 一般商店への略奪暴行を含む  

暴動レベル4 : 偶発的殺人を伴った破壊活動

暴動レベル5 : テロなど計画的殺人および大量破壊活動

B暴動の傾向 ― 中間結論

①暴動レベル3以上のものは少ない。暴動レベル5以上のものは、チベット暴動だけである。

②原因は多岐にわたり、民衆の不満が些細な理由で、どこでも、いつでも爆発する状態である。

※現状の中国では、一般人民の順法意識が低く、すぐに暴力行為に訴えることが多い。

これを中国人の国民性として考え、今後も暴動が続発すると理解するか、

あるいは経済の発展と共に、中国人に順法意識が根付き、暴力行為が漸減していくと理解するか、

そのどちらかは今のところ結論が出せない。

③当事者に暴力組織関係者が含まれることが多い。

④当事者は公安や政府の建物を標的にして襲撃している。

※一般商店などへの破壊・略奪行為は、チベット暴動以外にはない。

⑤野次馬が当事者の約10~30倍集まる。

⑥野次馬が便乗暴徒化する可能性がある。

※過去の中国の歴史上では、このような野次馬の便乗暴徒化が、大動乱につながった例も少なくな

い。

 

「不動産はバブルになっている」

三橋・石平氏に限らず、日本のすべてのマスコミや中国ウォッチャ―は、この点で大きなミスを犯している。中国ではマンションは大きく値上がりしているが、土地はそれほど値上がりしていないからである。したがって「マンションはバブルになっている」と書くべきなのである。不動産とは「土地および建物」なのであるから、マンションだけを不動産と称するのは正確ではない。それでなくても日本人の頭の中には90年代初頭のバブル経済がこびりついているので、不動産バブルと聞けばすぐに土地とマンションを想像してしまい、大きな錯誤を犯してしまうからである。中国の事情は、それとはかなり違う様相を示しているのである。

最近やっと住宅用地の競売や農地の売買の記事を、ちらほら目にするようになったが、それはあくまでもマンション用の住宅用地で、一般の土地のものではない。ここまで私は土地の売買と簡単に表現してきたが、正確にいえばそれは、「土地使用権」の売買であり、中国では土地そのものの売買はできず、なおかつ使用権の売買も簡単ではない。いろいろな制約があり、税金関係も複雑である。したがって海外の一般人が簡単に参入できる分野ではない。だから土地についてはバブル状態になってはいない。もし三橋・石平の両氏はこれから文章を書くときは、不動産バブルと書かないで、マンションバブルと明記すべきである。ただしこれは日本のマスコミ全部がそうであるから、三橋・石平の両氏が間違っても仕方がないとは思うが。

私は三橋・石平両氏に、この文章を書くにあたって参考にしたと思われる中国全土の住宅用地以外の土地の値上がり一覧表を、ぜひ送信してもらいたいと思う。もしそれらの土地情報が仕入れられれば、私もまだ中国で一儲けできるからである。

「外貨準備高はあてにならない」

三橋氏は、「外貨準備高など、一国の対外資産における“政府の保有分”にすぎない。“国債金融市場で一段と存在感”云々と言うのであれば、外貨準備高ではなく、“対外資産の総額”について語らねばならない」(「中国経済・隠された危機」P.152)と書いている。この点については、私も同感である。ちなみに外貨準備高について、Wikipediaでは、「中央銀行あるいは中央政府の金融当局が外貨を保持している外貨の量を外貨準備高という。金融当局は、対外債務の返済、輸入代金の決済のほか、自国通貨の為替レートの急変動を防ぎ貿易等の国際取引を円滑にするために、外貨準備を行う。外貨準備は“国民経済の貯金”などとも呼ばれる。ただし、あくまでも主目的は為替変動への準備であり、外貨準備高の大きさが対外資産の大きさを表しているわけではないことには注意を要する」と説明している。

一昨年まで、中国は人民元高を狙った操作を防ぐために、会社に一定額以上の外貨の保有を許可しなかった。つまり会社に外貨が流入してきたら、ただちに強制的に人民元への両替をさせていたのである。したがって会社にはほとんど外貨が残っていない勘定になる。また中国では外貨の稼ぎ手の6割は外資だと言われている。つまり中国政府の持っている外貨は外資のものであり、一時的に人民元に両替されているだけである。もし外資がいっせいに外貨を持ち出すことになれば、政府の外貨準備高は急減するはずである。このような事態が起きないという保証はどこにもない。

これに反して、日本では民間会社がかなり外貨を保有しているし、対外資産も持っている。だから政府手持ちの外貨つまり外貨準備高をはるかに超えた対外資産を日本全体で保有していることになる。さらに日本には外資の参入が比較的少なく、中国のように外資の撤退で外貨準備高が揺らぐということにはならない。

だから三橋氏の言う「外貨準備高で、その国の経済の強弱を計るのは適切ではない」という見解は頷ける。

「中国に変わる次なる一手」

三橋・石平の両氏とも危機感を煽るだけで、この書の中では対処策を示していない。仕方がないので三橋氏の前著「本当にヤバイ!中国経済」前著を見てみたところ、彼は対処作として「筆者はスタグフレーションで中国経済が崩壊する、具体的には株式と不動産バブルが崩壊し、都市部の失業率が2桁に達し、経済成長率が1桁の前半にまで落ち込むと確信している」と予言し、その対処策として次の2点をあげている。彼は、第一に「理想的には、対中投資と対印投資の規模を拮抗させ、リスクをヘッジすることが望ましい」、次に「中国一本槍で輸出ビジネスを展開している企業は極めて危険である。この問題に対処する方法は一つだけである。対外投資の分散化と同じように、資本財の輸出先を分散化することでリスクを回避するしかない」と言っている。

こんな対処策ならば素人でも言える。三橋氏には次なる刊行物では、絶対安全かつ独創的儲け口を、ぜひご教授願いたいものだと思っている。なお私は自らの実戦経験を総括して、数年前に対処策として「チャイナプラスワン」について書いておいたので参考にしてもらいたい。

「国債の引き受け手がない」

三橋氏は前著「中国経済・隠された危機」 P.160で、「中国財政省が7月17日に実施した6か月物の国債入札は、応募者が少なくこの2週間で3度目の札割れとなった」と書いている。私は勉強不足のため、この情報の出所を確認できなかったので、この件については明快なコメントができない。ただし10/12付けの日経新聞は、「人民元建て国債 人気殺到。 香港、応募 販売枠の2倍」との見出しで、「募集後わずかの期間で個人投資家が殺到し、20日の締め切りまでにさらに応募が膨らむ可能性が高い」と報じている。この相反する現象を三橋氏はどのように解析するのであろうか。

 

2.「あと5年で中国が世界を制する」の正誤。

×「巨大な中国の労働市場では若い女達が余っている」

副島氏は本著のP.213で上記のように書き、「中国の若い女達の労働力は農村からあふれ出してきて常に余っているから奴隷みたいに売り買いされている」と続けている。この記述はあまりにも現実離れしているので、バカバカしくて反論する気にもならない。この点から判断して本著は読むに値しない。

×「“世界に先がけた中国経済の驚くべき回復力”の根拠」

副島氏は、「世界に先がけた中国経済の驚くべき回復力」という項目名を付け、上海株式市場の急回復を根拠にして、「米欧日先進国の苦境を尻目に、中国の経済回復は今や達成された」と断定している。経済回復の指標として、株価の動向を持ち出しても論拠としては薄弱である。株価そのものがなぜ反転上昇したのか、あるいは経済急回復の原因は何なのかを分析しなければ意味がない。副島氏はリーマンショック以降の迅速な中国政府の対応が、急回復の原動力であると言っているが、これも科学的分析にはほど遠い。

中国経済の減速は、すでに2007年末から急激に始まっており、それは五輪を控えた中国政府の失政の結果である。07年末、中国政府は国内を安定させるために、インフレ退治のための強烈な金融引き締めを行い、さらに労働者を暴動に走らせないために、労働者の権利を保護する労働契約法の施行と全労働者の社会保険への加入を公司に義務付け、最低賃金も大幅アップに踏み切った。その結果、08年に入るや賃金を含む福利厚生費などの大幅なアップで、赤字に転げ込んだ外資の撤退が相次いだ。中には韓国企業のように派手に夜逃げする経営者も現れた。

中国政府はその事態を、最初は軽視していたが、5月ごろになって経済に影響が出始め、政府首脳は大慌てで、手分けをして各地に実態把握に飛んだ。その結果、地方では容易ならざる事態が進行していることが判明した。政府はただちに金融引き締めを緩和し、労働法関係も弾力的な運営をするように下部に通知した。しかしながらいったん撤退した外資は戻らず、落ち込んだ経済は即座には回復しなかった。そこで新政策として、内需の拡大に目をつけ、家電の農村販売の優遇措置を打ち出した。また企業に資金が潤沢に回るように、各種の金融機関の創設を決めた。

華々しい五輪の舞台裏で、中国政府首脳は経済を回復させるために、涙ぐましい努力を続けていたのである。不幸にもそこにリーマンショックが重なってきたのである。そのとき中国政府首脳は、経済危機を回避するために、躊躇なく4兆元の財政出動を決定した。すでに政府首脳間に、大規模な財政出動不可避のコンセンサスができあがっていたからそれは簡単であった。だから中国経済は、慌てふためく「米欧日の先進国の苦境を尻目」に、「驚くべき急回復」を示したのである。つまり、中国はリーマンショック以前から経済危機打開策を打っていたのだから、急回復するのが当然の事態であり、リーマンショック後に慌てふためいて経済政策を検討している他の先進国とは、スタートラインが違い、1週早く走っていたと考えれば特別に驚嘆するほどのものではないのである。

しかしながら中国は、他の先進資本主義国のようにリーマンショックで経済危機に陥ったわけではないので、対策は財政出動だけでは不十分である。中国政府の失政そのものを検討し、より根源的な問題に手を打たなければ、財政出動というカンフル剤が切れたときには、再び危機が訪れるのは必定である。この危機から脱却する方法について、中国政府首脳も先進国のエコノミストも、明快な主張を持ち合わせていない。副島氏は、表面的な中国経済急回復の現状を見て、「あと5年後で中国が世界を制する」と断定しているが、それは早計である。

×「今の政治体制に逆らわない限りはなにをやってもよい」

副島氏は、上記のように書き、「中国の国民がそれぞれの経済活動で、一人一人が豊かになることを中国共産党は規制しようとしない」と付け加え、中国経済の急成長の要因を政府による規制が少ないことに求め、「日本も中国に見習って、本当の意味での官僚による統制からの規制撤廃をやらなければならない」と結んでいる。

これも副島氏の中国に対する著しい誤解から生じているもので、企業がこの言を信用して中国に進出したら、たいへんな目に遭うだろう。中国には規制がないのではなく、規制があっても目こぼしや裁量余地があり、それを前提にして成り立っているのが中国社会なのである。一般にそれは「上に政策あれば下に対策あり」といわれている。最近では商業活動のかなり細部に渡るまで、法律や規制が整備されてきており、それに熟知していないと思わぬところで大怪我をする。

たとえば08年1月施行の労働契約法についても、内容は日本の労働基準法よりもはるかに会社側に不利な内容になっている。だから政治体制に逆らわないからといって、会社側による労働者の理由なき解雇が、簡単にできるわけではない。しかしながらこの法律の適用も、全国一律ではなく、各地方によってかなり弾力的に運用されている。また会社側が行政との間に、どのようなパイプを築いているかで、大きな差が出てくる。

しかも中国の難しさは、行政の担当者が変わるとそれまで目こぼしされていたものが、厳格な規制や法律の適用のもとにさらされる場合があり、目こぼし分が過去にさかのぼって追求されることがあることである。だから副島氏のように呑気なことは言っていられない。最近では、国家財政が窮迫してきたので、税金の取り立てが厳しくなり、過去においてあいまいにされ課税されてこなかった分まで、推定課税されるような事態も生じてきている。

また、外資がいざ撤退というときになると、それまで規制の網を情状酌量で見逃されていた分などが、すべて浮上してくる。さらにいろいろな法律上の特典などを利用して企業運営をしていた場合、それらが厳格に査定されるので、それを一つ一つクリアーしなければならず、かなりの長時間を要する。ことに現金などの資産が残っており、それを持って帰ろうとする場合は、最後に外貨管理局の送金許可を取るまでは息が抜けない。それらの手続きはあまりにも煩雑なので、韓国企業のようにあっさり夜逃げしたほうが得策である場合もある。

副島氏の言うように、中国はそんなにおおらかな国ではない。

「中央アジアの時代が始まった」

副島氏は、「世界の中心はいずれ中央アジアに移る」、「あと3年したら、カザフスタンのアルマティに世界の金融中心が誕生する」、「中国はユーラシア大陸の中心部に向かって勢力を伸ばしていく」と書き、その根拠として、「世界史が500年ぶりに海運の時代から、再び陸上輸送(トラック・鉄道)の時代に大きく変わりつつある」からであると述べている。この主張の論拠は薄弱であるが、着眼点としては評価できる。先日、私がウルムチに調査に行き、漢族の商人と話していたとき、彼がウズベキスタンに販売網を広げていると語っていた。中央アジア諸国は不均等ではあるが、結構豊かになってきているからだという。韓国企業もスターリン時代の朝鮮人の強制移住の人脈で、カザフスタンにはかなり進出している。このような中央アジアの今後の経済成長に着目する副島氏の主張は、検討に値すると思う。

「東北地方の分析」

副島氏は、本書の終わりに近い部分で、「私は2008年の12月に中国東北地区(旧満州)へも調査に行った」と書き出し、瀋陽、丹東、大連などについて調査報告らしきものを書いている。これらはあまりにも常識的であり、間違いではないが、素人の旅行感想文の域を出ていない。また憶測で書いている部分が多く、このような記述を臆面もなく展開する副島氏の見識を疑う。

たとえば、副島氏は、「今の日本政府は、毒ガス兵器を貯蔵していた場所の洗浄代と、731部隊の被害者への補償で、おそらく1兆円を国家予算として組んで、中国側にお金を払っている最中だ。これを誰も言わない。日本国内では報道しないことになっている。反中国右翼言論人たちも大きく騒がない。騒ぐと731部隊問題の闇を自分たちの手で暴き出すことになり、やぶへびになるからである」と書いているが、この記述もかなり見当はずれである。

私はこの毒ガス兵器の大量に埋まっているハルバリンのある吉林省敦化市の経済顧問をやっているので、この事情については副島氏よりは詳しい。この事業は、一説には総額7兆円を越すと言われており、日本側は内閣府、中国側は人民解放軍が担当し、現在、着々と進行している。日本からはすでに元自衛隊員や某民間企業社員など数十名が現地に派遣され、任務を遂行している。しかしながら今のところ、その中身や進行状況については公表されていない。なにしろ両国ともに国家機密に関する特例扱いで、経済顧問の私にすら肝心な部分はつかめない。日本国内での報道が少ないのは、反中国右翼言論人の問題ではなくて、内閣府官僚に切り込まなかった従来の日本の政治家の側の怠慢である。今秋、民主党政権に交代したので、おそらくこの問題にもメスが入るだろう。もし新政権が敦化市側への交渉の窓口を必要としているのならば、私は橋渡し役を買ってもよいと考えている。

 

3.どちらにも軍配はあげられず。

どちらの本も、きわめて粗雑な中国分析である。しかしどちらの本もPHP、ビジネス社という著名な出版社から刊行されておりかなり売れている。だから著者と出版社はかなり儲かっているだろう。しかしどちらの本も日本社会に、中国に関する間違った情報を撒き散らしているという点では同罪である。これらの本を読んで、誤った認識を身に付け、間違った人生選択をする日本人も相当数いるだろう。それを彼らの自己責任と言ってしまえば簡単だが、著者や編集者、出版社は責任を感じなくてよいのであろうか。

                                                                  以上

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中国経済最新統計】(試行版)

 

上海センターは、協力会会員を始めとする読者の皆様方へのサービスを充実する一環として、激動する中国経済に関する最新の統計情報を毎週お届けすることにしましたが、今後必要に応じて項目や表示方法などを見直す可能性がありますので、当面、試行版として提供し、引用を差し控えるようよろしくお願いいたします。    編集者より

 

実質GDP増加率

(%)

工業付加価値増加率(%)

消費財

小売総

額増加率(%)

消費者

物価指

数上昇率(%)

都市固定資産投資増加率(%)

貿易収支

(億㌦)

輸 出

増加率(%)

輸 入

増加率(%)

外国直

接投資

件数の増加率

(%)

外国直接投資金額増加率

(%)

貨幣供給量増加率M2(%)

人民元貸出残高増加率(%)

2005

10.4

 

12.9

1.8

27.2

1020

28.4

17.6

0.8

0.5

17.6

9.3

2006

11.6

 

13.7

1.5

24.3

1775

27.2

19.9

5.7

4.5

15.7

15.7

2007

13.0

18.5

16.8

4.8

25.8

2618

25.7

20.8

8.7

18.7

16.7

16.1

2008

9.0

12.9

21.6

5.9

26.1

2955

17.2

18.5

27.4

23.6

17.8

15.9

  1

 

 

21.2

7.1

 

194

26.5

27.6

13.4

109.8

18.9

16.7

 2

 

(15.4)

19.1

8.7

(24.3)

82

6.3

35.6

38.0

38.3

17.4

15.7

 3

10.6

17.8

21.5

8.3

27.3

131

30.3

24.9

28.1

39.6

16.2

14.8

 4

 

15.7

22.0

8.5

25.4

164

21.8

26.8

16.7

52.7

16.9

14.7

 5

 

16.0

21.6

7.7

25.4

198

28.2

40.7

11.0

38.0

18.0

14.9

 6

10.4

16.0

23.0

7.1

29.5

207

17.2

31.4

27.2

14.6

17.3

14.1

 7

 

14.7

23.3

6.3

29.2

252

26.7

33.7

22.2

38.5

16.3

14.6

 8

 

12.8

23.2

4.9

28.1

289

21.0

23.0

39.5

39.7

15.9

14.3

 9

9.9

11.4

23.2

4.6

29.0

294

21.4

21.2

40.3

26.0

15.2

14.5

10

 

8.2

22.0

4.0

24.4

353

19.0

15.4

26.1

0.8

15.0

14.6

11

 

5.4

20.8

2.4

23.8

402

2.2

18.0

38.3

36.5

14.7

13.2

12

9.0

5.7

19.0

1.2

22.3

390

2.8

21.3

25.8

5.7

17.8

15.9

2009

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

 

 

1.0

 

391

17.5

43.1

48.7

32.7

18.7

18.6

2

 

3.8

(15.2)

1.6

(26.5)

48

25.7

24.1

13.0

15.8

20.5

24.2

3

6.1

8.3

14.7

1.2

30.3

186

17.1

25.1

▲30.4

▲9.5

25.5

29.8

4

 

7.3

14.8

1.5

30.5

131

▲22.6

▲23.0

▲33.6

▲20.0

25.9

27.1

5

 

8.9

15.2

1.4

(32.9)

134

▲22.4

▲25.2

▲32.0

▲17.8

25.7

28.0

6

7.9

10.7

15.0

1.7

35.3

83

▲21.4

▲13.2

▲3.8

▲6.8

28.5

31.9

7

 

10.8

15.2

1.8

(32.9)

106

▲23.0

▲14.9

▲21.4

▲35.7

28.4

38.6

8

 

12.3

15.4

1.2

(33.0)

157

▲23.4

▲17.0

▲2.05

7.0

28.5

31.6

9

8.9

13.9

15.5

0.8

(33.4)

129

▲15.2

▲3.5

10.6

18.9

29.3

31.7

 

注:1.①「実質GDP増加率」は前年同期(四半期)比、その他の増加率はいずれも前年同月比である。

2.中国では、旧正月休みは年によって月が変わるため、1月と2月の前年同月比は比較できない場合があるので注意

されたい。また、(  )内の数字は1月から当該月までの合計の前年同期に対する増加率を示している。

  3. ③「消費財小売総額」は中国における「社会消費財小売総額」、④「消費者物価指数」は「住民消費価格指数」に対応している。⑤「都市固定資産投資」は全国総投資額の86%2007年)を占めている。⑥―⑧はいずれもモノの貿易である。⑨と⑩は実施ベースである。

出所:①―⑤は国家統計局統計、⑥⑦⑧は海関統計、⑨⑩は商務部統計、⑪⑫は中国人民銀行統計による。