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京大上海センターニュースレター
第52号 2005年4月12日
京都大学経済学研究科上海センター

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目次
○中国人民大学楊瑞龍教授講演会のご案内
○ブラゴベスト・センドフ駐日ブルガリア大使講演会のご案内
○中国・上海情報 4.4-4.10
○河上肇記念シンポジウムと記念講演会のご報告
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中国人民大学楊瑞龍教授講演会のご案内
講演テーマ「グロバール経済の中の中国国有企業改革について」
講演者 楊 瑞龍 中国人民大学経済学院長
通訳  胡 霞  中国人民大学経済学院副教授
日時 4月18日(月)午後14:00-
会場 時計台記念館国際交流ホールT
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ブラゴベスト・センドフ駐日ブルガリア大使講演会のご案内
講演テーマ「EUの東方拡大と東アジアの可能性-ブルガリアの視点から-」
講演者 ブラゴベスト・センドフ駐日ブルガリア大使、世界大学協会名誉総裁
通訳  田中雄三龍谷大学名誉教授
日時  4月28日(木)14:00-
会場  時計台記念館国際交流ホールT
共催  京都大学経済学会
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中国・上海ニュース 4.4−4.10
ヘッドライン
■ 中国:日中歴史問題で抗議デモ多発、政府が『冷静』呼びかけ
■ 中国:新電力価格管理法実施、燃料価格と連動制
■ 中国:高値維持で石炭重点企業の利益が2倍に
■ 中国:3月国産乗用車販売台数、史上最高を記録
■ 自動車:東風日産が好調維持、3月販売台数1万2532台
■ 北京:原油高直撃、輸送コスト上昇が野菜価格に影響
■ 中国:仏アルストム幹部、鉄道事業めぐる交渉で訪中
■ 上海:上昇続きの住宅価格が春節以降小幅な下落
■ 浙江寧波:民間企業、相次いで外国人専門家を招聘
■ 中国:1-3月の企業景気指数が下降、マクロ調整の効果か
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             河上肇記念シンポジウムと記念講演会のご報告

 河上肇が亡くなったのは終戦後まもない1946年の1月30日で、来年は没後60周年になる。
経済学部は1979年の10月20日に河上肇生誕100年記念講演会を催したが、それから数えて
も四半世紀が経過している。経済学研究科・経済学部は、この間の歴史的経過をふまえつ
つ、政治経済学と経済思想における研究・教育の新たな発展をめざすために、3月16日に
この偉大な先達の名前を冠したシンポジウムと講演会を催した。シンポジウムは午後の2時
から5時半まで、講演会は6時20分から8時20分まで、いずれも時計台百周年記念ホール
で開催された。シンポジウムと講演会を合わせて400人近い老若男女の聴衆が集まり、河
上肇への畏敬の念がまだ衰えていないことが示された。研究科・学部の21世紀COEプログ
ラムと上海センターが共同して実施にあたり、総司会を八木紀一郎が担当した。

 シンポジウムのテーマは、「中国と日本の政治経済学」が選ばれた。これは近年の中国経
済の躍進と対外開放化のなかで、河上肇の探求も、彼によって広められた政治経済学も、
東アジアの近現代史のなかでのその意義が見直されているからである。はじめに、『甦る河
上肇―近代中国の知の源泉』の著のある三田剛史さん(学術振興会特別研究員)が、河上
と中国知識人のかかわりからはじめて、かれらの共産主義とのかかわりの背後に儒家的な
思想的特質が見られるとした。アモイ大学の張小金教授は、『資本論』の中国語への翻訳を
おこなった王亜南を紹介し、哲学・思想においても見識をもったすぐれた学者であったと述
べた。本学の大西広、山本裕美、本山美彦の3教授もパネルに加わり、それぞれ、中国の
マルクス経済学の現状、中国における政治経済学者の受難と経済改革への影響、中国と
日本の思想のなかのマルチチュードの像について論じた。討論においては、東アジアにお
ける思想遺産の意義、政治経済学の市場経済に対する態度、社会主義をどう理解するか
などが、フロアからの発言も交えて議論された。

 記念講演会の部では、はじめに中野一新本学名誉教授(河上肇記念会代表世話人)が「
河上肇と京都大学」について語られ、その後、住谷一彦立教大学名誉教授(東京河上会代
表)による講演「河上肇と比較経済思想―河上肇におけるヴェーバー的問題」がおこなわれ
た。この講演は、河上肇の「人と思想」を、「理念が転轍手となり、利害の力学が軌道を推し
進める」というマックス・ヴェーバーの宗教社会学の構図から理解して、河上肇における「宗
教的真理」の問題に解決を与えようとするものであった。住谷氏は、河上肇の探求を各段階
をおってたどられ、表面における変化にもかかわらず一貫したエートスが見られると論じられ
た。なお、この講演会では、山口河上会の代表からのあいさつも受けることができ、また河
上家ゆかりの方も参会された。
                                           (文責:八木 紀一郎)
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