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京大上海センターニュースレター
80号 20051025
京都大学経済学研究科上海センター

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目次

   上海センター・自動車シンポジウムのご案内

   上海センター・ブラウンバッグランチ・セミナーのご案内

   中国・上海情報 10.17 -10.23

中国自動車流通事情の現地調査を通じて

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京都大学上海センター・中国自動車シンポジウムの御案内

日時・会場 2005115()12時 京都大学法経総合研究棟大会議室

プログラム

挨拶 京都大学総長 尾池和夫                                                                  

第1部 市場はどこまで拡大するか――需要面の定量分析―                                                 

報告(1)現代文化研究所中国研究室研究主事 廖静南

報告(2)野村総合研究所事業戦略コンサルティング部

グループマネージャー上級コンサルタント 北川史和

報告(3)三菱総合研究所産業・市場戦略研究本部産業戦略研究部

国際産業研究チーム主任研究員 赤羽淳                     (社名五十音順)

2 パネル 品質・開発力をどう見るか――供給面の定性分析――

松下電器産業グローバル戦略研究所首席研究員 安積敏政

元東風本田発動機技術顧問 小澤晃

小島衣料代表取締役社長 小島正憲

ダイハツ工業製品企画部副部長 津曲正人

元いすゞ中国事務所所長・中国担当部長 中村研二

愛知大学経済学部教授 李春利                                               (氏名五十音順)

懇親会 

なお,事前のお申し込みがなくても御参加頂けますが,会場準備の都合上,下記までEメイルで御連絡頂ければ幸いに存じます。シンポジウム,懇親会とも参加費はございません。

京都大学大学院経済学研究科 塩地洋

shioji@econ.kyoto-u.ac.jp tel:075-753-3428 fax:075-753-3492            ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

上海センターブラウンバッグランチセミナー(8,9,10回)のご案内

後期も引き続きBBLを開催いたします。ふるってご参加ください。

8 「東アジアのインフラ・ファイナンス」
講師 生島靖久 国際協力銀行開発業務部 調査役
日時 112日(水) 1215分〜1345
場所 法経総合研究棟2階大会議室

9 「戦前・戦後の東アジア」
講師 堀和生 本学大学院経済学研究科 教授
日時 119日(水) 1215分〜1345
場所 法経総合研究棟1102演習室

10 「日中関係とナショナリズム−われわれはなぜこれほどまでに嫌われるのか?−」
講師 江田憲治 本学大学院人間・環境学研究科 教授
日時 1117日(木) 1215分〜1345
場所 法経総合研究棟1102演習室

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中国・上海ニュース 10.1710.23

 

ヘッドライン

           中国:石炭ベースの五ヵ年エネルギー戦略を発表

           中国:1−9月のGDP成長率9.4%

     中国:1−9月のCPI上昇は2%

     中国民間航空:旅客輸送量が世界第2位、1億3000万人に

     中国:ソウルの中国語表記「漢城」から「首爾」へ変更

     中国統計局報道官:日中間政治問題「経済への影響は必然」

     中国:造船量世界の15%超に、2010年まで成長続く

     中国財政部長:原油値上がり対策、増税で節約を奨励

     中国:「ニート族」増加、甘やかされ型も10%

     産業:トヨタ、広州工場のエンジン生産能力年50万基に、対日輸出も

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中国自動車流通事情の現地調査を通じて

大阪商業大学 孫 飛舟

 

 2001年頃から私は京都大学経済学研究科の塩地洋教授が団長とする「中国自動車流通現地調査チーム」に毎年参加し、上海、北京、広州などの東沿岸部を中心に現地の自動車流通事情を調査してきた。年追うごとに中国における自動車普及のスピードの速さに驚き、また現地の自動車流通業者のバイタリティに深く感銘を受けている。

 最近、中国では「3S店」や「4S店」と呼ばれる自動車ディーラーがかなり増えてきた。ちなみに、3S店とは、新車販売、部品販売、アフターサービスの三位一体の機能を持つディーラーのことで、4S店とは上記の3機能に情報フィードバック機能を加えた四位一体のディーラーのことである。1990年代の末、本田が中国に進出し、現地の広州汽車集団有限公司と共同出資して合弁メーカーである「広州本田汽車集団有限公司(以下、広州本田)」を設立した。その販売において、広州本田は中国で初めて4S店モデルを導入した。それまでの中国の自動車販売店では新車の売りっぱなしがほとんどで、アフターサービスの概念がないと言っても過言ではない。本田の販売理念は、新車販売だけでは駄目だ、より良いブランドイメージを確立するためにはしっかりしたアフターサービスの提供も欠かせない、またアフターサービスから得る収益もディーラーの経営を支える重要な基盤の一つになるというものである。

 本田の販売理念は見事に中国の消費者の心を捉えて、その4S店は破竹の勢いで急速に展開していった。僅か数年の間にその店舗数は200数十店舗までに上っている。私にとって一番印象深かったのは北京にある広州本田のとある4S店を訪れた時のことである。そこの総経理さんが我々を顧客情報管理室に案内し、そこに保管されているユーザーファイルを見せてくれた。そのファイルにはユーザーの氏名、住所、電話番号、購入車種、購入日時などの情報が記されている以外に1枚の写真が載っている。総経理さんは誇らしげに語ってくれた。「この写真ですが、写っているのはユーザーさん、ユーザーさんに車を売ったうちのセールスマン、セールスマネージャとサービスマネージャの4人です。この写真は2枚焼かれ、1枚は納車時にユーザーさんに渡します。もう1枚はこのユーザーファイルに入れます。納車後、ユーザーさんが整備、点検、または事故修理に来られる時にその写真に写っている人が責任を持って対応します。我々としてはユーザーさんに車を売りっぱなしではなく、その後のアフターフォローもしっかり対応できるようにしています。これについて、広州本田に徹底的に叩き込まれています。」

 この1件から広州本田がいかにアフターサービスを重視しているかを窺い知ることができる。現在、中国では立派なショールームとサービス工場を持つ3S店や4S店が街のあっちこっちに見かけるようになった。それは、これからの自動車販売にはアフターサービスが不可欠だという広州本田によってはじめて提示された販売理念が中国で認識され、花開くようになった証でもあると言ってよいであろう。