京都大学大学院経済学研究科付属プロジェクトセンター

10月17日(土)【制度的経済動学研究会】を開催いたしました。

2015年10月21日

10月17日(土)に制度的経済動学研究会が,京都大学大学院経済学研究科において開催され,嶋野智仁氏(京都大学・院生),浅田統一郎氏(中央大学)にご報告いただきました.
嶋野氏の報告タイトルは,“The effect of pro-shareholder income distribution and financial investment on capital accumulation: evidence from Japanese non-financial firms”というもので,日本のデータを用いて,「金融化」とよばれる近年の現象が,企業の設備投資に与える影響を分析したものです.データによると,利潤率が上昇しているにもかかわらず資本蓄積率が停滞しており,これは,「投資・利潤パズル」と呼ばれています.その理由を企業規模別および産業別のデータを用いて分析したところ,金融化により利潤シェアが上昇しているが,資本蓄積を刺激していない,また,企業の金融投資の増大が設備投資をクラウディング・アウトしている,ということを明らかにしました.
浅田氏の報告タイトルは,「名目利子率の非負制約と金融政策の動学理論:『ニューケインジアン』対『オールドケインジアン』」というもので,マクロ動学モデルに関する研究です.浅田氏は,期待形成,およびジャンプ変数・状態変数の取り扱いに基づき,ニューケインジアン・モデルとオールドケインジアン・モデルに分類し,名目金利の非負制約を導入したニューケインジアン・モデルにおいては,正常均衡とデフレ均衡が得られるが,デフレ均衡のほうが経済厚生は高いなど,いくつかのパラドックスが生じること,そして,オールドケインジアン・モデルでは,そのようなパラドックスが解消され,さらに,現実と整合的な結果を生み出すことができることを示しました.
当日は17名の参加者があり,大変活気のある研究会となりました.

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