京都大学経済学部同窓会理事長
大学院経済学研究科長
経済学部長
   田 中 秀 夫

経済学部は創立93年目を迎えました。昨年、学部長に選出され、2年目を迎えましたが、私の役割は100周年を視野において、学部・研究科を発展させる礎石を築くことであると考えました。それまでの学部長も、もちろん私情を捨てて、学部・研究科のために尽力されたことは申すまでもありません。

私がまず着手したのは戦略企画室を設けることです。ここで概算の戦略を練るとともに外部資金の獲得を進めることにしました。第二に、研究推進支援室を設け、科研費獲得の大幅アップを目指すことにしました。その成果は双方とも著しいものがあると申し上げて過言ではありません。

そしてもっと大きな目標としては同窓会との関係をさらに緊密にすることを掲げました。必ずしも東京、大阪など支部の理事会につねに出席できるわけではありませんが、大学での総会には多くの教授が出席するようになったという変化を皆さんに感じ取っていただいていることと存じます。

同窓会に期待することは多々あります。人的交流を通じて、京大経済関係者の友好関係を強固にすること、そして経済学部に様々な形でのご支援をいただくこと、また社会の現場からアドヴァイスをいただくことも期待しております。

こうしてこれまでのみずほフィナンシャルグループの寄附講義「先端バンキング論」に加えて、本年度から学部の講義として三井住友銀行グループ(SMBC)の寄附講義「投資銀行業務とグローバル戦略」と京都銀行の寄附講義「京都経済論」が始まることになりました。SMBCの講義は前期開講で、法経七番教室が満員になるほどの盛況であります。金融の最先端事情に学生がいかに強い関心をもっているかの証左だと思っています。新しく始まった寄附講義は寄附金もつけていただいていますので、運営費交付金が年々削減されるなかで、非常に助かっているのですが、これが実現したのは同窓会の先輩方のお世話の賜であります。

長い景気低迷、就職不安、3・11の東日本大震災などが学生諸君にストレスを与えているように思います。被災者支援が一方では熱心に行なわれていますが、福島第一原発が出口の見えない広範囲の放射能汚染を続けており、疲労感・閉塞感も強まってきました。こういう出来事がなくても問題を抱える学生はいましたし、学部として対応してきました。しかし、これからは以前にもまして不安や問題を抱える学生が増える可能性がありますので、学生相談窓口を常時開設して、相談に応じることにしました。

同窓会には100周年に向けていっそうのご支援をお願いしなければなりません。学部卒業50周年をお迎えになったOB会が毎年大学で開かれています。退職されました櫻田さんが長くお世話をされていました。今年は昭和36年卒の集まりがあるのですが、学部にはOBが気安く利用できる部屋もないので、そのようなニーズを満たす部屋としてコモン・ルームを東館の三階に作ろうと考えています。外部資金を利用させていただきます。また講義室が不足していますので、二階の大会議室を教室に転換し、地下に会議室、情報演習室、演習室を設ける工事も行ないます。工事が完了すれば、経済学部・研究科はこれまで以上に教育・研究に邁進できると考えていますし、経済界やOB会、同窓会との交流をさらに深める基盤を形成できると考えています。寄附金を提供していただいたみずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、京都銀行に改めて厚くお礼申し上げます。

経済学部は今では大学院での研究者養成にも力を注いでいます。しかし若手研究者の専任ポストが必ずしも十分にあるわけではありません。優秀でも専攻によっては専任ポストを得られない場合が案外多いことは皆さんご承知のことと思います。

経済学研究科にも20人を越えるOD(オーヴァー・ドクター)がおりますが、希望者全員を今年から非常勤講師にしました。研究支援というわけで、「現代経済学・経営学の先端分析」と題するリレー講義をやってもらっています。それ以外に昨年から総長裁量経費で若手研究者の出版助成が始まりましたが、これは全学の事業となっていますので、ここでは割愛します。

経済学部の上海センターが東アジア経済研究センターと改称したことはご存じの方が多いことと思います。センターは協力会のご支援を得て活発にシンポジウムなどを行ない、特に中国の学者・要人との交流に力を入れています。これからもいっそう発展させていきたいと考えています。また英語だけで学位が取得できる東アジア国際人材開発コースが3年目を迎え、この秋から優秀なドクターの学生を迎えます。

秋にはコモン・ルームができますので遠慮無くご利用いただきたいと思っていますが、同窓会等において長年活躍をされてきた会員のなかから、経済学部に特段の貢献をしていただいた方に報いたいと考えました。それで名誉フェローとフェローの称号授与を行ないたいという訳で、教員協議会(教授会)で規程を設けました。歴代の同窓会長などが候補になると思います。秋の総会でご報告したいと思っています。

ごあいさつ
 経済学部の近況
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