京都大学大学院経済学研究科附属プロジェクトセンター
大学院教育研究高度化プロジェクト

アカデミック・イノベーション・マネジメント

プロジェクト概要

国際競争力のある大学づくりの推進を目的とし、21世紀COE、グローバルCOE、世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムなど大型競争的研究資金制度が活用されてきた。制度の趣旨には肯定的な意見が多いものの、定まった事後評価手法の開発が不十分であることが「文部科学省政策棚卸しに関する結果」でも指摘されている。本研究では、大型競争的研究資金の投入によって、どれだけ研究成果の向上があったのか、どれだけ産業界への波及効果があったのか、科学技術・学術振興政策の対費用効果を分野別・大学別・専攻別・研究チーム別に評価する計量経済学的方法を開発し、それらを産業界の研究開発・パテント経営に利活用する具体策を検討する。本研究は、京都大学WPIプログラム「物質-細胞統合システム拠点」と提携し、文理融合型アカデミック・イノベーション・マネジメント研究会を開催し、公開ワークショップを通じて社会へ向けて情報発信していく。

研究方法
 
大型競争的研究資金の政策効果を文理双方の視点から学術的に分析することは、日本では十分に実施されていない。その理由の一つは、そうした目的を果たすのに必要な信頼できる学術データベースが存在しないからである。本研究を通じて我々が自ら構築する個別研究者の学術データベースを用いて、COE・WPIへ帰属可能な学術論文や特許の政策効果(Treatment effect)を定量的に測定すると共に、大学の研究成果の産業応用や社会的還元を政策的に提言する。
 2009(H21)年度研究計画 「学術データベースの整備・評価・分析」
COE・WPIに携わった約10,000名の研究者の研究業績をデータベース化し、大型競争的研究資金制度の政策効果をミクロ計量経済学的手法を用いて定量的に計測する。
 2010(H22)年度研究計画 「アンケート調査の実施・評価・分析」
COE・WPIに携わった研究者を対象に大型競争的研究資金制度の意義と問題点を探るアンケート調査を実施し、研究活動の異分野間融合を推進し、民間企業・ベンチャー企業での産業応用を活発化するためのサイエンス・リンケージを計量経済学的手法を用いて定量的に計測する。
 2011(H23)年度研究計画 「アカデミック・イノベーション・マネジメントの確立・運営・実践」
研究プロジェクトの評価手法を開発し、公開ワークショップを通じて分析結果を社会に向けて情報発信すると共に、そこで得られた知見をCOEやWPIの運営にも活用し、国際競争力のあるナショナル・イノベーション・システムの構築のための具体的な政策提言を行う。

期待される成果

本プロジェクトの達成目標として次の4点を掲げる。第一に、成果は国際学術会議や国際的学術雑誌での公表を目指し、アカデミック・イノベーション・マネジメントという文理融合分野を確立する。第二に、文部科学省、日本学術振興会などの科学技術・学術振興政策にとって有用な検討資料を供与する。第三に、京都大学をはじめとする日本の大学のためにアカデミック・イノベーション・マネジメント手法を開発提案する。第四に、本研究の成果を社会に向けて広く情報発信し、データベースの公開やノウハウの伝授に取組む。

研究会メンバー
 
【プロジェクトリーダー】
依田 高典 京都大学大学経済学研究科 教授
【学内連携教員】
仙石 愼太郎 京都大学物質ー細胞統合システム拠点(iCeMS) 准教授
 【学外連携教員】
後藤励 甲南大学 経済学部 准教授
【研究員】
福澤 尚美 京都大学大学経済学研究科 博士後期課程2年
後藤 康雄 京都大学大学経済学研究科 博士後期課程3年
草間 亮一 京都大学大学工学研究科 修士課程2年
【産学連携機関】
エルゼビア・ジャパン株式会社

アカデミック・イノベーション・マネジメント(AIM)研究会

第1回 2009年4月30日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:依田高典ほか 「今後の進め方の検討」
第2回 2009年6月1日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:仙石愼太郎ほか 「先行研究のサーベイ」
第3回 2009年7月8日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:依田高典ほか 「データベースの整備状況」
第4回 2009年7月30日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:仙石愼太郎ほか 「実態調査サーベイの検討」
第5回 2009年9月14日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:依田高典ほか 「分析手法の検討」
第6回 2009年10月6日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:仙石愼太郎ほか 「異分野融合調査の報告」
第7回 2009年11月11日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:依田高典ほか 「「21世紀COEプログラムの研究促進効果の実証分析」の中間報告」
第8回 20010年12月21日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:仙石愼太郎ほか 「iCeMSと東大CNBIのサーベイ結果の比較・検証」
第9回 20010年1月29日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:福澤尚美ほか 「「21世紀COEプログラムの研究促進効果の実証分析」の中間報告」
第10回 2010年3月5日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:安西智宏ほか 「学際・融合研究のマネジメント:東大ナノバイオ拠点の調査事例」
第11回 2010年3月30日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:依田高典ほか 「進化経済学会報告」
第12回 (公開ワークショップ)  2010年6月25日 16:00-18:00 iCeMS 2階 報告者:依田高典ほか 「アカデミックイノベーションマネジメント」
第13回 2010年7月15日 19:00-21:00 iCeMS 2階 報告者:Kathryn Ibata-Arens (DePaul University, USA) 「日米における起業の戦略と対策、生命科学産業の新たな集積地域に見られる要因」
第14回 2010年8月31日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:安西智宏 (東京大学) 「東大のCNBI拠点の分析結果の討議」
第15回 2010年9月30日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:(1) 福澤尚美「21世紀COEの政策効果の研究の進捗状況の報告」、(2) 小玉「異分野融合連携研究の先行研究の整理」
第16回 2010年10月29日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:渡辺麻子(トムソン・ロイター社)「大学評価に対するトムソン・ロイター社の取り組み」
第17回 2010年11月19日 16:00-18:00 iCeMS 2階 報告者:(1) 吉田秀紀(JST)「基礎研究プログラムにおけるアウトカム評価の設計」、(2) 中川正広(JST)「基礎研究からのイノベーション創出と評価 -JSTさきがけの事例-」
第18回 2010年12月7日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:西村由希子(東京大学先端科学技術研究センター)「米国中西部大学における技術移転・産学連携の現状及び考察~ウィスコンシン大学システムの事例を中心に~【前半】」
第19回 2011年1月24日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:西村由希子「米国中西部大学における技術移転・産学連携の現状及び考察~ウィスコンシン大学システムの事例を中心に~【後半】」
第20回 2011年2月22日 17:00-19:00 iCeMS 2階 報告者:(1)IMG 「 科学研究機関の国際認知度向上・融合研究推進にかかる事例研究」(2)依田高典 「京都大学若手研究者の競争力に関する一考察」
第21回 2011年3月22日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:大場郁子(エルゼビア・ジャパン) 「Scopusツール(SciVal experts, SciVal Spotlight, SciVerse Scopus)に関するプレゼンテーション」
第22回 2011年4月19日 18:30-20:30 iCeMS 2階 「2011年のキックオフ(研究計画と研究会運営についての討議)
第23回 2011年7月1日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:冨田稔 (三菱総合研究所) 「バイオ関連のプロジェクトから得られた知見、今後の課題について」
第24回 2011年7月14日 18:00-20:00 iCeMS 2階 報告者:小玉裕之 「iCeMSでの融合研究の実態調査(平成23年度版)の報告」
第25回 2011年9月1日 10:00-12:00 iCeMS 2階 報告者:玉田俊平太 (関西学院大学) 「サイエンス・リンケージ手法を用いた産学連携イノベーションの分析」
第26回 2011年10月7日 10:00-12:00 iCeMS 2階 報告者:仙石慎太郎 「共引用文献クラスター分析に基づく学際・融合研究の多面的評価」
第27回 2011年11月29日 13:00-15:00 iCeMS 2階 報告者:梶川裕矢 (東京大学) 「科学技術イノベーション政策学と計量書誌学:現状と課題」
第28回 2012年1月24日 10:00-12:00 iCeMS 2階 報告者:元橋一之氏(東京大学イノベーション政策研究センター) 「医薬品イノベーションのアライアンスに関する実証研究」
第29回 2012年2月16日 13:00-15:00 iCeMS 2階 報告者:トムソン・ロイター 「論文データベースを用いたWPI6拠点の評価結果について」

ワークショップ
「京都大学WPI-iCeMS・経済学研究科 共催ワークショップ エビデンスを活用したアカデミック・イノベーション・マネジメント」

1. 開催概要 • 日時:8月28日(木) 13:00 ~ 17:00 • 会場:京都大学物質-細胞統合システム拠点(WPI-iCeMS)本館2階セミナー室 (京都市バス「京大正門前」下車すぐ・「東山東一条」交差点北西角)
• 主催:京都大学大学院経済学研究科・京都大学WPI-iCeMS
• 共催:文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B)「異分野融合・学際連携の技術経営学:組織ダイナミクス可視化の実証研究」(研究課題番号:26285084, 代表者:仙石 愼太郎) • 対象:大学・公的研究機関(アカデミック)の政策・経営に携わる研究者・実務家 • 参加費:無料(懇親会は実費)
2. 開催趣旨 近年、日本の科学技術政策において、21世紀COE、グローバルCOE、世界トップレベル研究拠点(WPI)プログラムなど、大型研究プロジェクトが積極的に運用されています。京都大学WPI-iCeMS・経済学研究科では、アカデミック・イノベーション・マネジメント研究会を定期的に開催し、大型研究プロジェクトの評価・運営手法を学術的に研究してきました。本ワークショップでは、これまでの研究成果を発表すると共に、有識者との意見交換を行います。
3. プログラム(予定)
12:30 開場・受付開始 13:00 – 13:10 開会の挨拶
・ワークショップの趣旨説明 13:10 – 14:10 
発表・討論① • 演題:日本の生命科学・医学のスター研究者に見るサイエンス・リンケージ • 演者:依田高典(京都大学)・福澤尚美(NISTEP) 発表論文 発表スライド
14:10 – 15:10 発表・討論② • 演題:研究開発拠点プログラム・マネジメントおける科学計量学の活用の試み • 演者:仙石慎太郎・Alfonso Avila-Robinson(京都大学)・七条直弘(NISTEP)・安西智宏(東京大学)
15:10 – 15:30 休憩 15:30 – 16:30 発表・討論③ • 演者:Assessing the Knowledge-Building Dynamics of Countries in the Formation of Emerging Fields: A Bibliometric Approach on iPS Cells [英語] • 演者:Alfonso Avila-Robinson・仙石慎太郎(京都大学)
16:30 – 16:50 総合討論
16:50 – 17:00 閉会の挨拶・今後の予定

学会報告

進化経済学会 第14回大会 大阪大会 2010年3月27日 四天王寺大学 
[チュートリアルセッション]アカデミック・イノベーション・マネジメント(13:30-15:30 第7会場)
司会:依田高典(京都大学)
依田高典(京都大学)「アカデミック・イノベーション・マネジメント事始め」
仙石慎太郎(京都大学)「科学技術研究における融合・連携のマネジメント」
福澤尚美(京都大学・院)「 21 世紀 COE プログラムの研究促進効果の実証分析--社会科学分野における分析--」

参考資料

依田高典 (2010) 「科学研究、定量的な評価を:専門家の審査と両輪」日本経済新聞「経済教室」2010.6.2.

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