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AEHA
アメリカ経済史 学会
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発行:アメリカ経済史学会事務局
本年度全国大会が、10月9日北海学園大学にて開催されました。
共通論題は「市場と秩序」でした。
全国大会の報告・討論
●第1報告「ナショナリズムからローカリズムへ ― 20世紀後半南カリフオルニアにおける日系移民と地域 ― 」(木下なつき 北海道大学大学院):1960年代、ロサンジェルス市の都市開発の一となった日系社会の象徴である小東京の開発をめぐり、日系人、小東京関係者(非日系人を含む)、連邦政府、市など米国社会や日本政府、日系企業などの間で、対立と協調がみられた。その対立と協調をナショナリズムとローカリズムを軸にして報告された。
●第2報告「1935年全国労働関係法に見られる社会的規制に関する構想 ― 立法過程におけるリベラル派の議論を中心として ― 」(中島醸 一橋大学):国民への平等的な購買力の分配が産業復興の鍵であり、その購買力の平等的分配のためにはビジネスを規制する方向での国家介入が必要である、という共通認識を持つリベラル派内部において、ワグナー法の制定過程において、国家の公的介入をどこまで認め、どのような意味をもたせるのかについて見解がわかれていたということが報告された。
●第3報告「『市場革命』の時代における消費めぐって ― 北東部の女性の場合 ― 」(久保田圭子 長野県短期大学):19世紀前半の時代ににおける消費社会の研究においては、一般論としては農村社会では禁欲的、自給自足的と言われているが、そうではなく、徐々に消費が普及していったことを、北東部農村社会における女性を中心にして報告された。
●第4報告「市場の秩序と信用の国家管理 ― 1935年銀行法後の政策課題と100%準備案 ― 」(須藤功 明治大学):ラクリン・カリーの「小切手用預金の100%準備案」と「全銀行の準備制度加盟構想」について報告された。国家が全面的に出て、通貨供給を管理する必要があるとするマネタリストの起源が明らかにされた。
●第5報告「アメリカ合衆国における福祉改革と監産複合体 ― 市場・秩序・公共空間 ― 」(大辻千恵子 都留文化大学):1970年代からの大量拘禁(刑務所被収容者数の高まり)〔社会復帰よりも隔離〕、刑務所の民営化〔刑務所建設による地域経済再興〕、黒人男性への拘禁率の集中という背景から、アメリカ型の福祉国家をどのようにみるのか、が報告された。
●第6報告「ウォルター・リップマンとニューディール」(西川純子 獨協大学):新自由主義とは何かという観点から、ニューディールに対するリップマンの思想が報告された。リップマンはニューディールを批判、この批判に根拠を与えていたのがミーゼスとハイエクであったこと、どのような改革したらよいのか、新しい自由主義を提案したことが報告された。
討論においては、以上の6報告個々の論点について質疑応答があった。最後に本大会の共通論題である「市場と秩序」がなぜ選ばれたのかについての質疑があった。これに対して、経済活動全般を市場原理にゆだねるべきか、あるいは経済活動に一定の秩序を求め、経済活動に一定の枠を設けるべきかどうか、大きな流れとしてアメリカ史を貫いていると思われ、アメリカ社会が「市場と秩序」の問題と歴史的にどのように向き合ってきたのか、問い直してみたいと言う問題意識から選んだという応答があった。
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