新年のご挨拶
東アジア経済研究センター長 劉徳強
新年明けましておめでとうございます。
2011年は日本にとって大変な一年でした。3月11日に起きた東日本大地震、それによって引き起こされた巨大な津波、さらに津波によって引き起こされた原発事故等々、短期間のうちに我々の想像を絶する巨大な災害が次々と発生し、世界に大きな衝撃を与えました。ここで改めてこの一連の災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り致します。
東日本大地震で世界に衝撃を与えたのは災害の惨状だけではありません。巨大な災害を前に示された日本国民の冷静沈着さ、秩序の良さ、協力の精神などは同じように世界に大きな衝撃を与え、人々に大きな勇気と希望を与えました。とりわけ、中国人研修生を救出して自ら犠牲になった宮城県女川町佐藤充さんの義挙が多くの中国人に大きな感動を与えました。震災をきっかけに日本人は世界中から、とりわけアジアや中国の人々から一層尊敬されるようになったと思います。このことは今後、日中をはじめとする東アジアにおける協力関係の重要な基礎になるに違いありません。
さて、昨年における東アジア経済研究センターの活動ですが、この一年間、田中研究科長をはじめとする経済学研究科教職員の方々、森瀬会長や大森副会長をはじめとする協力会の理事や会員の方々の多大なるご指導とご協力のお陰で、ほぼ予定通り展開することができました。この場を借りて深く御礼を申し上げます。
以下では、本センターの昨年一年間に行われた主な活動についてご報告致します。
まず、本センターを代表するイベントとして、2つの大きなシンポジウムを開催しました。2011年7月11日(月)に、北東アジア研究交流ネットワーク(NEASE-Net、代表:谷口誠元国連大使)と共同で「激動の東アジア情勢と地域経済協力:TPPか東アジア共同体か、東日本大震災からの復興にむけて」を開催しました。このシンポジウムはタイトルの通り、 日本で大きな争点となっている国際経済関係の在り方を議論するものであり、日本、中国、韓国の3カ国の研究者が一堂に集まって激しく議論されました。
11月には中国自動車シンポジウム「中国における韓国自動車メーカー ―サンドウィッチ構造からの脱却はかる現代自動車―」を開催しました。世界的な金融危機の影響で日米欧の自動車生産が軒並み停滞する中で、韓国の現代自動車が近年、急成長を遂げていますが、このシンポジウムではその原因について検討されました。また、このシンポジウムでは、協力会会員へのサービス向上の一環として、11月5日(土)に京都で開催したほか、11月26日(土)には東京でも開催しました。本センターは今後東京でも積極的に活動を展開したいと思います。
本センターが行ったもう1つの重要な活動は日中共同持続的発展人材育成短期研修です。この事業は中国の経済発展に伴う環境問題の深刻化に対処するため、また、日中の環境協力を促進するために、中国の国家発展改革委員会及び中国国際青年交流中心と協力し、中国の中央及び地方の現役官僚を春と秋の2回(各回10名ずつ)に分けて京都大学に招き、日本の企業や地方自治体からの参加者とともに3週間の日程で省エネ、汚染削減、循環経済などについて研修するものです。中国側参加者は日本の環境問題や持続的発展問題に対する真摯な取り組みに強く感激し、日本人や日本社会に対しても極めてよい印象を持って帰国されました。
国際交流活動については、8月1日(月)にベトナム社会科学院哲学研究所所長ファン・バン・ドク氏による講演会「ベトナムにおけるビジネス倫理」、12月17日(土)にベトナム社会科学院研究員Nguyen Thi Thu Phuong氏による「中越問題講演会」を開催しました。また、8月3日(水)にベトナム・ラオスの若手研究者と本学の大学院生らが交流するInternational Young Scholar Workshop (IYSW)を、10月21日(金)には中国人民大学経済学院の学生と本学経済学研究科及び経営管理大学院の学生が交流する報告会を開催しました。
この他に、ニュースレターを予定通り毎週1回(計50回)発行し、中国経済研究会を授業期間中に毎月1回(計8回)開催しました。
今年は、東アジア経済研究センター(旧上海センター)が設立されてから10年目に当たる節目の年です。これまでの活動を総括し、これからの活動を一層活発なものにするために関係者一同が今まで以上に努力していきたいと思いますので、引き続きご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い致します。