設立の経緯
京都大学経済学部は、戦前に東亜経済研究所を設立し、学部をあげて中国経済研究に取り組んだ時期がありました。しかし、終戦直後に同研究所は廃止され、組織的な研究が実質不可能となり、学部内におけるアジア研究は、久しく少数の教員の個人的な営みにとどまっておりました。
ところが、現実社会の変化がこのようなアジア研究をめぐる状況に大きな転換をもたらしました。1990年代には、世界銀行が『東アジアの奇跡』(1993)を出したように、東アジア経済への関心は当時既に高まっており、2000年になって中国経済が劇的に成長を始めたことで、アジア研究に大きな衝撃を与え、当該傾向に拍車をかけることになりました。中国を中心とする東アジアの成長は、人類史においてまったく新しい事態であり、その発展の解明は世界的な課題であるという認識が広まりました。また、伝統的にアジア経済と深い結びつきを持つ関西の企業・実業界から、東アジア経済の専門研究機関を関西に設けて欲しいという声も高まってきました。さらに、経済学研究科内において、アジアを研究する教員が急速に増えてきました。これらの条件に促されて、2002年12月に経済学研究科は「中国と東アジアの産業・経済を多角的に解明する」ことを目的とした「上海センター」を設立するに至りました。設立時、名称を中国経済研究センターではなく上海センターとした理由は、このセンターの研究対象が中国経済のみではないことを示すためと、同時期に上海の復旦大学との提携が進んでいたためでありました。同年秋には、京大同窓会や関西の実業界、趣旨に賛同する個人によって、資金的な支援組織である上海センター協力会が設立されました。その後、本センターは東アジア経済・経営の調査研究に活発に取り組み、また人材交流や研究成果の社会還元にも取り組んで、今日に及んでいます。
2010年4月、中国人民大学が新たに提携大学として加わったことを契機に、本センターが中国以外の東アジア経済を研究対象に含めることを明示するために、その名称を「東アジア経済研究センター」に改称しました。東アジア経済研究センターの活動は京都大学内外の多くの組織や個人によってサポートされています。その中で、とりわけ本センターの支援組織である京大東アジア経済研究センター支援会(以下、支援会と略称)より多大なご協力を頂いています。この支援会は東アジア経済研究センター協力会の後継組織として2014年に設立されました。
この支援会には、本センターの趣旨に賛同してくださった法人や個人等が加入されており、産学連携の立場から人的、資金的支援(年会費)も含めて、本センターと共に東アジア地域に関する調査、研究と交流を推進しています。
また、支援会の活動と会員へのサービスについては、旧協力会の時のものを維持継承するだけでなく、さらに充実させていくことをうたっており、本センターは支援会会員のみが参加できるクローズド・タイプの研究会も開催しております。
本センターの趣旨にご賛同され新たに支援会会員となっていただける法人・個人を広く募集いたします。本センターホームページの「事業概要(設立の経緯)」をお読みいただき、ご検討賜るようお願い申し上げます。