『技術経営』講義概要


授業計画
 企業はどのように新しい技術や新製品を開発するのか。イノベーションはどのように発生,普及,進化するのか。イノベーションによって産業構造や企業間競争はどのように変わるのか。制度や組織は技術や製品の開発にどのような影響を与えるのか。これらの技術とイノベーションに関する様々な問題を理解するための概念や枠組みについて学ぶことがこの授業の目的である。
この目的を達成するため,通常の授業では,下記のテキストや別途配布されるテキストを読み,設定された論点に関して討論し,それを通じて技術経営を理解するために必要な考え方を能動的に学ぶ。また,技術経営の実務に関連したグループ・プロジェクトも実施し,具体的な事例を通じてより深い技術経営の理解を目指す。

経営学の基礎知識
 まず,経営学の知識が足りないという自覚のある人は,以下の文献を読んで準備しておいてほしい。
(1)伊丹敬之・加護野忠男『ゼミナール経営学入門 第3版』日本経済新聞社
(2)ジェイ・B・バーニー『企業戦略論(上)(中)(下)』ダイヤモンド社
(3)ハーバート・A・サイモン『経営行動』ダイヤモンド社

教科書
 全般にわたって領域をカバーしており,折に触れて言及する予定である。事前に通読し,さらに授業前には再度関連箇所に目を通してもらうことになる。
A.一橋大学イノベーション研究センター編『イノベーション・マネジメント入門』日本経済新聞社
B.ジョージ・デイ,ポール・シューメーカー『ウォートンスクールの次世代テクノロジーマネジメント』東洋経済新報社
C.クレイトン・クリステンセン,マイケル・レイナー『イノベーションへの解』翔泳社

参考書
 技術経営に関する具体的なイメージをつかんでもらうためのサブ・テキスト。
『ケースブック日本企業の経営行動3:イノベーションと技術蓄積』有斐閣

授業の予定


1.イントロダクション(10/6)

2.イノベーションのパターン:発生,普及,進化(10/13)
J・M・アッターバック『イノベーション・ダイナミクス』有斐閣
新宅純二郎『日本企業の競争戦略』有斐閣
A-第1章,第3章
B-第3章,第5章

3.イノベーションのパターンと企業の栄枯盛衰(10/20)
J・M・アッターバック『イノベーション・ダイナミクス』有斐閣
新宅純二郎『日本企業の競争戦略』有斐閣
クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』翔泳社
A-第4章
B-第7章
C-第1章,2章

4.ケース・スタディ(11/10)
技術経営関連のケースについて議論する。

5.イノベーションと企業戦略(11/17)
R・A・バーゲルマン,L・R・セイルズ『企業内イノベーション』ソーテック社
A-第5章
B-第6章,第8章,第14章
C-第7章,第8章

6.新製品開発のマネジメント(11/24)
藤本隆宏,キム・B・クラーク『製品開発力』ダイヤモンド社
藤本隆宏,安本雅典編『成功する製品開発』有斐閣
A-第6章
C-第3章,4章



7.新製品開発とアーキテクチャ(12/1)
国領二郎『オープン・アーキテクチャ戦略』ダイヤモンド社
カリス・ボールドウィン,キム・B・クラーク『デザインルール』東洋経済新報社
A-第6章(3)
C-第5章,6章

8.グループ・プロジェクト中間報告(12/8)
グループ・プロジェクトの進捗を確認するため,各グループに発表してもらいます。

9.次世代技術の識別と評価(12/15)
ドロシー・レオナルド『知識の源泉』ダイヤモンド社
エリック・フォン・ヒッペル『イノベーションの源泉』ダイヤモンド社
B-第4章,第7章

10.次世代技術開発と組織設計(1/12)
マルコ・イアンシティ『技術統合』NTT出版
(残りは学期開始後に指定)
B-第15章

11.事業創造とネットワーク(1/19)
アナリー・サクセニアン『現代の二都物語』講談社
(残りは学期開始後に指定)
A-第7章,第14章
B-第13章

12.グループ・プロジェクト最終報告(2/2)










グループ・プロジェクトについて

プロジェクトの内容
•新技術の事業化プロセスに関する事例研究の実施

プロジェクトの目的
•新技術の事業化の過程を,実際の事例を自ら構成することで深く理解する。
•グループによる問題解決の経験を深める。

プロジェクトの進め方
•1グループは4人程度で構成する。
•基本的にはインタビューなどの一次データを獲得できる対象を選択する。
•グループで中間報告までに以下の項目について用意する。
問題意識と調査課題
調査の方法と予備的な調査の経過
関連する技術経営論のまとめ
•最終報告では,調査の結果とその意義について報告する。
•最終的なレポートは,ターム・ペーパーとして個人が提出する。

*まずは以下について検討してほしい
問題意識は何か。それはどのような意義があるのか。
その問題意識から調査目的として何を設定するのか。
その調査目的に対して,どのように答えるのか。



以上


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