ケンブリッジ便り

10月分

10月の研究活動のまとめ
@執筆:和文論文草稿三編、書評二編、編著の校正作業。
A読書:共和主義、ルネッサンス寓意関係、オランダ史およびイタリア史関係(1031日)。



アップル・ディ

日本でも新米、栗、きのこなど、おいしいものが出揃ってきている頃ではないでしょうか。イングランドでも実りの秋になりつつあり、各種の収穫祭が行われています。その中でも最も一般的なのは、りんごの収穫祭(アップル・ディ)です。ケンブリッジでは、9年前に始まった大学植物園(http://www.botanic.cam.ac.uk/)での行事を、滞在中のMさんと妻と三人で見学に行きました。
 幸い好天に恵まれ、非常に多くの家族連れが植物園を訪れています。長蛇の列は、30種類前後の英・米・仏などのりんごの試食コーナーです。わたしたちも20分くらい並んで、酸味、歯ざわり、甘さなどが微妙に違うりんごの味を楽しみました。意外と違いが分かるものでちょっと驚きました。
 また試食一覧のりんごのプロフィールを見ていると、第二次大戦中前後に品種改良で生まれた種類が多いようです。何か戦争と関係があるのでしょうか。
 妻と私の好みは、酸っぱくて歯ざわりのしっかりしたMelrose米国産、1944-)とPearl英国産、1938年-)です。ちなみに、同僚の名前を思い出すようなIda red(アイダ・レッド米国産、1942年-)という種類もありました。試食コーナーの隣には、販売コーナーもあり、上記の二種類を含むりんごやりんごジュース、そして植物園で取れたはちみつも売られていました(1023日)。

Mさん来訪
秋のグランチェスターや、オックスフォード観光にも行ったあとで、滞在中の学部生は、2週間のグランド・ツアーを無事に終え、何故か大量のテディベアたちと共に帰国の途に着きました。自分たちへのお土産なのか、それとも誰かにあげるのでしょうか?? なぞは深まるばかりです。それはともかく英国での滞在経験が、今後の生活の糧になれば嬉しいですね。
 彼らと入れ替わりに、今度は、大学院生のMさんが、研究遂行のため約2週間の滞在です。国際学会での発表など、前期中は大活躍だったMさんには、少し英気を養ってもらいたいと思います。そして大学附属図書館での調査が順調に進むように、何か出来ればと思います。私自身は、久しぶりの彼との研究上の対話を非常に楽しみにしています(1015日)。



ハイムーン展覧会
in Cambridge

京都大学名誉教授高月さんの「環境マンガ展」が、ケンブリッジ大学のカレッジの一つであるニュー・ホールで行われ、無事にエディンバラから生還した(!)旧ゼミ生と妻と4人で見学に行きました。
 マンガは、ポケモンなどアニメ文化の受容という形で、この国でも既に馴染みの単語(Mangaで通じます)になっていますが、マンガ=アニメというイメージからはちょっとずれる、環境問題というシリアスな主題のマンガ(正確には、環境に関する風刺画でしょう)に、英国人がどのように反応を示すのかを知りたいというのも、この展覧会に行こうと思った理由です。
 金曜日の夕方ということもあり、英国人や外国人よりも、日本人の方が多かったので、残念ながら上記の目標は達成できませんでしたが、同じ大学に所属しながらも日本では見ることが出来なかった作品を、ゆっくりと鑑賞することが出来ました。
 その後は、主催者との歓談を中心とするレセプションです。日本語ですが、学部生の二人にも、こちらでよくある社交を体験してもらうことも参加理由の一つでした。あったばかりの人とコミュニケーションをするのは簡単ではありませんが、何事も慣れです。カレッジでのフォーマル・ディナーなどの英語での歓談も、こうした経験があれば、徐々に楽しめるようになると思います。とりあえずは、異国の地で振舞われたおすしに舌鼓を打ちながら、歓談を楽しんでいました107日)。


英蘇の違い
滞在中の旧ゼミ生二人は、わたしが授業やゼミでたびたび言及していたイングランドとスコットランドの違いを実感したいとのことで、今日から23日でエディンバラ旅行に出かけました。本当はスコットランドの高地地方(ハイランド)や、スミスなどを生んだ国際商業都市グラスゴーなどにもいければよいのですが、時間が限られているので、旧スコットランド王国の首都を徹底的に楽しむ計画となりました。
 グランド・ツアーの一環であれば、家庭教師 兼 お目付け役も同行しなければなりませんし、また、わたし自身も、彼の地の人々の素晴らしい笑顔に再び触れたいのですが、今週は新年度最初の週なので、いろいろと用事や面会があり断念。彼らが、イングランドに「帰国」してからの報告を楽しみにしましょう。
 しかし、空港行きバスの乗り場を教えていたにもかかわらず、なぜか勘違いの末、町外れのケンブリッジ駅からSOSの電話。長距離バス乗り場は鉄道の駅と同じという日本の常識に従ってしまったのです。英国やヨーロッパでは、鉄道を中心に発展した多くの近代都市を除いて、古い街では鉄道は町外れにあります。結局、空港まではタクシーになり、ちょっと高い授業料になりました。予約した飛行機には乗れたので、良かったとしましょう。二人旅は、波乱(?)のスタートです(104日)。