悉皆屋「越村染工場」

エルマガ・キモノで、どこ行く? [2005年01月07日(金)] で取り上げた「越村染工場」さんを訪問しました。

大宮通御池を上がったところにあります。



3代目の現主人の越村一也さんのお話を聞きました。

「悉皆屋(しっかいや)」とは、とにかくどんな業種・業態なのか、全体の構造をわかるのがむずかしい。

いろいろと聴きながら整理してみると・・・



誂え手描き友禅の世界では、デザインを起こしてそれをさまざまな職人さんが担当する工程を経て、完成するというもので、これらを指揮するというのが仕事。「染匠」と呼ばれています。

これだけ聴くとメーカーのようだが違うようです。

あくまでも問屋さんからの注文で、問屋さんから白生地を預かって、職人さんの間をコーディネートするという仕事。

ですから、まず、製品の製造者としては問屋の名前が一般的には示されていて、悉皆屋・染匠さんの名前ではありません。

それに、白生地などの原材料費や職人さんの工賃を負担することもありません。これらは問屋の領域です。

つまり、問屋さんがいわゆる製造問屋であるのだけれども、実際の製造の「親方」「指揮者」の役割を果たしているのが悉皆屋・染匠さんということになります。



越村一也さんは自ら筆をとってデザインをする方で、注文主と1年近くもやりとりしながらデザインをまとめているものもあるそうです。



それと越村さんのところは、2代目のお父さまが20年ぐらい前に、手描き友禅だけでは将来もたないと判断して、それから本格的に「着物クリニック」の仕事を始めたそうです。

これは当時としては早い判断で、これまでの積み重ねでいろんな問屋・小売・個人等から、着物の直しの相談・依頼がまいこんできているようです。



この直しという世界も奥が深い。

というのも、もともとは手描きですから。

1 汚れたのでそこに新たな柄を描き足してわからなくしてしまう

2 生地の色が地味なので違う色に染め直してしまう

3 柄の色が気になるので、違う色に染めてしまう

などなど。



昔、「ブランド」というテレビドラマがありました。今井美樹と市川染五郎の共演でしたが、その際も、今井演じる碧は有名ブランドのプレス担当。映画撮影用の一品もののドレスにコーヒーのしみをつけてしまって途方にくれたとき、染五郎演じる宗一郎がタクシーで夜通し飛ばして京都におもむいて、そこでシミ抜きをやって間に合わせてしまうというような話がありました。(第5話)



やはり京都にはそういうすごい技術がある、すごい人がいるという話ですね。














05/01/27 : Comment(0) : TrackBack(0)

学部ゼミプロジェクト発表会(3)

14日に行われた学部ゼミのプロジェクト発表会報告の続きです。



僕のゼミのプロジェクトは学生たち(3年)が企画し2年と一緒にチームをつくって1年間取り組んで発表というもので、テーマは自由。

毎年いろんなテーマが取り上げられます。一応、マーケティングのゼミなので、マーケティング・リサーチをやるということぐらいが共通項。



3つのプロジェクトに分かれているので、2つめを今日は紹介します。

「カバンプロジェクト」



「カバンプロジェクト」は何か形になるもの、商品開発をしようという目標で取り組まれたグループです。

大学生の通学カバンの調査・製作・販売をテーマに、マーケティングリサーチを行って、その調査結果を分析し、それにもとづいて商品コンセプトとデザインを考え、協力企業との交渉を経て、できれば商品化へというものです。



詳しいことは商品発表後ということで今は伏せておきます。お楽しみにしていてください!



このプロジェクトの経験で特徴的だったことの1つは、「調査を漫然とやるだけでは商品開発はできない」ということ。

商品を開発する切り口を見つけるんだ、この問題について消費者はどのようにみているのか、この解決策についての消費者の評価はなにか、というように、とにかくリサーチャーが問題意識を鋭く持って、能動的に向かわなければ、焦点がどんどんぼけていってしまい、拡散してしまって、商品コンセプトの像を描けません。



このようなリサーチは、時系列で課題が変わることもポイントです。

最初は、探索的なアプローチで、通学カバンの所有・利用状況、不満はなにか、購買選択理由などなどを調べて、切り口を探る。

つぎは、いくつか商品化のための切り口を設定しておいて、それをさらに深めるために、仮説をいくつかつくり、それを検証するようなリサーチ。

サンプルができてくるような段階では、さらにデザインの詳細を詰める等の細かいところを確認検証することが課題となる。



かたちあるものをつくるコミュニケーションの難しさというものも特徴的でした。

専門の方とのやりとりで、商品コンセプトからデザインへ起こしていったのですが、外注してつくっていただいたサンプルが、かなり指定していたものと違ってしまい、サンプルを使ってのグループインタビューを断念するほどでした。あまりにも違うサンプルをもとに、さらに手直しをして第2サンプルでようやくイメージに近いものへ。口や文章や絵だけでは十分なコミュニケーションができるとはかぎらず、ものづくりは、実際にものをつくって確認することの大事さを学びました。



もうしばらくしたらお披露目できると思います。

そのときにはさらに詳細を発表しますのでお楽しみに!!

05/01/25 : Comment(0) : TrackBack(0)

学部ゼミプロジェクト発表会(2)

14日に行われた学部ゼミのプロジェクト発表会報告の続きです。



僕のゼミのプロジェクトは学生たち(3年)が企画し2年と一緒にチームをつくって1年間取り組んで発表というもので、テーマは自由。

毎年いろんなテーマが取り上げられます。一応、マーケティングのゼミなので、マーケティング・リサーチをやるということぐらいが共通項。



3つのプロジェクトに分かれているので、その1つを今日は紹介します。

「雑貨屋プロジェクト」



学生や若い人に人気があって、ナゾの多いのがいわゆる雑貨店。

京都の四条界隈の雑貨店を調査したり、その利用やイメージについての消費者調査を行ったり。

さらに特定の雑貨店のご協力を得て、街頭来店調査等を行って、課題と解決策についての企画をまとめるというものでした。



おもしろい発見がいろいろありました。

雑貨店はどこも同じようなものがありながらやはりそこにしかない品揃え、雰囲気というものがあり、客層が結構違います。

きわめて嗜好性が高い!

だからか、ヘビーユーザー(月1回以上利用)においては、ほとんど「不満がない」という結果。満足してしまっている。

逆に言うと、自分に合うところを見つけてそこに行ってリラックスしたり遊んでいる感じか。



また、店員と客層の雰囲気が近く、それが好みの品揃えや雰囲気作りにつながっている。

チェーンストアとして標準化されたタイプの雑貨店もあるが、一般にはそれぞれのお店の店長やスタッフが自分たちの感性を大事にしてお店をつくっていくことで、命を吹き込んでいるというのが雑貨店。



もっとつっこんで分析考察してみたいと思ったのは、結局のところ、雑貨店のマーケティングの体系、法則のようなもの。

感性や雰囲気が大事というところでストップしていたら、具体的に組み立てたり、問題を発見したり解決したりという議論にならないので、それをいかに明確化するか、見えないものを見えるようにすることがマネジメントにおいては大事だと思います。

こういう小売店では、お店自身が、「製品」「ブランド」です。

お店のコンセプト、それを具体化する機能や演出、コミュニケーションといったものをデザインすることが求められます。



プロジェクトCのみなさん、お疲れ様でした。

ご協力いただいた雑貨店へのプレゼンテーションもがんばってください。

05/01/23 : Comment(0) : TrackBack(0)

第4回京都市伝統産業活性化検討委員会

昨夜は第4回京都市伝統産業活性化検討委員会が京都駅近くのキャンパスプラザで開催。

こんど京都市では伝統産業についての条例を制定する方向で、そのための議論をすすめています。



2時間ぐらいのなかで議論ができるのかということがありますが、今回もおもしろい会議でした。3人の女性の委員の意見を紹介します。



前日もごいっしょしていたサントリー不易流行研究所の佐藤友美子さんは・・

伝統産業を考える上で大事なことは、文化、生き方、生活とのかかわりを取り戻すこと。

生活からはなれてしまっていることが根本問題で、団塊の世代が「良き消費者」となってこういったものの価値を認めていけるようになるといい。

また若い人も「和」とは何かというむずかしい理屈ではなく、時間やゆとりや空間の魅力で京都を再発見し、着物や伝統工芸品を再発見している。いや前の世代から教えられていない分、新発見と言ってもいいぐらい。



ホテル日航プリンセス京都の支配人の南恵美子さんは・・・

ホテルの魅力をつくる上でも、京都の料理に京都の食器、陶磁器を合わせてつくっていきたい。こういう文化を大事にしていくことだと思う。



千家十職塗師十二代宗哲の中村弘子さんは・・

昔のように一部の人たちが深く楽しむ時代から、多くの人が文化的なものに触れるようになって薄くなってきている。

だから私たちもやり方をそれに合わせて変えていくべき。

たとえば、私は着物は洋服のように着よう、洋服は着物のように着よう、と考えている。

もっと「きれい」ということにこだわったら、逆に今のスタイルにこだわらない可能性があるのでは。



僕の言葉でまとめてしまっているので、細かい言葉の違いはご容赦ください。

文化を創造継承するのが伝統産業であるという理解が、とても大事だとあらためて学びました。



2月の上旬には提言(中間報告)が発表され、パブリックコメントが募集されます。その際には、また報告しますね。

05/01/21 : Comment(0) : TrackBack(0)

市場創造と社会貢献の新しい関係(1)

今日はサントリーの不易流行研究所での勉強会で報告。

佐藤友美子部長とはある演劇でいっしょになり、NHKのドキュメンタリーでともに紹介されたことも。その話は別の機会に。



昨年の11月18日、京都橘女子大学(4月から 京都橘大学 男女共学化)の現代マネジメントフォーラム「企業の市場創造と社会貢献ー現代マネジメントの使命」が開かれました。

松下電器産業株式会社の中村邦夫社長の基調講演ののち、パネリストによるシンポジウムが行われました。

そこでパネラーの一人としてお話しようと準備したことを、そのときは15分で十分に話せなかったので、あらためて取り上げました。



要点は・・

売れない、消費者がわからない時代において、革新的提案による「市場創造」、それによる「社会的イノベーション」が求められる。

寄付やフィランソロピーとは別に、「社会的イノベーション」を引き起こし、エコロジーやユニバーサルデザインやディーセントワークなどの社会的課題の解決に取り組むビジネスそのものが、「社会貢献」である。



要するに、本業こそ、金儲けの事業こそが社会貢献でもなければならないというコンセプト。

金儲けとは別に社会貢献があるという対立的な見方は克服すべきである。



続きはまた。

05/01/19 : Comment(0) : TrackBack(0)