2016年11月08日
11月5日(土)・制度的経済動学セミナー報告
11月5日(土)に制度的経済動学セミナーが,京都大学大学院経済学研究科において開催され,吉田博之氏(日本大学),阿部太郎氏(名古屋学院大学)にご報告いただきました.
吉田氏の報告タイトルは,“Recessions in Japan and the United States: An Optimizing IS-LM Framework with the New Keynesian Phillips Curve”というもので,取引費用アプローチに基づく貨幣を導入した動学的最適化付きのマクロ・モデルを提示し,条件次第では,長期において不況経路が最適解として得られることを証明しました.さらに,日本と米国のデータを用いた実証分析をおこない,日本は不況経路が生じる条件を満たしていることを示しました.
阿部氏の報告タイトルは,「南北経済と温室効果ガス排出権取引」というもので,温室効果ガス排出権取引を考慮した南北構造主義モデルを扱った既存研究を紹介しました.報告では,Murshed (1995)とRazmi (2016)という2つの南北モデルが取りあげられ,南北の環境規制や環境効率の変化が,南北の交易条件や格差などに与える影響が議論されました.