京都大学大学院経済学研究科付属プロジェクトセンター

11月6日(木 )【国際経済学セミナー】を開催しました。

2014年11月07日

11月6日(木)に国際経済学セミナーを開催し、関西大学の高内 一宏先生に”Rules of origin and uncertain cost of compliance”というタイトルで報告していただきました。

 

自由貿易協定において,関税同盟とは異なる「自由貿易地域」という形式の協定の場合は,加盟各国が域外関税率を自由に設定できるため,域外国企業 は低関税率の加盟国を経由して,他の加盟国市場へ「迂回輸出」を行う誘因をもつことが知られています.それを防止するために「原産地規則 (ROO)」が各協定において設定されています.原産地規則を満たせば,無関税で他の加盟国市場へ輸出できるにもかかわらず,原産地規則を満たす域内国企業とそうでない域内国企業があり,しかも原産地規則を満たさない域内国企業の割合が相当程度存在していることがいくつかの実証研究によっ て報告されています.本稿では,なぜそのような企業行動が観察されるかについて,寡占市場のモデルにおいて生産費用の不確実性の観点から説明しています.具体的には,原産地規則を満たすように生産する際の生産費用が不確実であるとき,対称的な企業間で,原産地規則を満たす企業とそうでない 企業が混在する均衡の存在が示されました.また,消費国の消費者余剰は,他の均衡と比べて混在均衡において最低になることや,企業数の増加とともに原産地規則を満たす企業の割合が上がるなどの興味深い結果も報告されました.

以上のような興味深い理論分析の内容に関して,活発な議論が行われました.

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