『近代スイス経済の形成 ―地域主権と高ライン地域の産業革命―』
内容紹介とフォローアップ
美しき産業革命!? 知られざる先進工業国の逆説の近代史
2002年2月刊行 556ページ
定価:本体5000円 ISBN: 4-87698-434-4
出版社へのリンク 京都大学学術出版会(直販あり)
本書に対する書評
- Pierre-Yves Donze氏(スイス国立科学基金)による書評
Schweizerische Zeitschrift fur Geschichte = Revue suisse d'histoire = Rivista storica svizzera.近刊掲載予定 - 内田日出海氏(成蹊大学)による書評『社会経済史学』Vol.68, No.6 2003年,108-113頁。
- 岩井隆夫氏(長崎県立大学)による書評『史学雑誌』112編第2号,2003年2月20日発行,92-101頁所収。
- 幸田亮一氏(熊本学園大学)による書評『経営史学』Vol.37 No.3 (2002年12月),103-107頁所収
- 佐藤勝則氏(東北大学)による書評『西洋史研究』新輯第31号(2002年)133-141頁所収。
学会・研究会での本書へのコメント
- 渡辺尚氏(東京経済大学)によるコメント 空間経済史研究会,2002(平成14)年度例会 3月31日(日) 会場:箱根 KKR宮ノ下
- ばん澤歩氏(大阪大学)によるコメント ドイツ資本主義研究会,2002(平成14)年度例会 12月1日(日) 会場:専修大学
- 高橋秀行氏(流通科学大学)によるコメント 社会経済史学会近畿部会・経営史学会関西部会合同合評会 2003(平成15)年1月11日(土), 司会 ばん澤歩 会場:関西学院大学
目 次
序 章 スイス--知られざる先進工業国
第1章 研究史と課題
第1節 産業革命
第2節 スイス社会経済史に関する研究史
第2章 産業革命の歴史的前提
第1節 国家・社会の構造と政治史的背景
第2節 チューリヒとグラールス
第3節 東スイスとフォルアルベルク
第4節 捺染業と改革派スイス商人
第5節 産業革命前夜のスイス東北部
第3章 19世紀スイスの綿工業--産業革命の基軸部門
第1節 19世紀の経済環境と綿工業の位置づけ
第2節 工場制生産の成立と普及
第3節 工場制確立期の生産・流通構造
第4節 確立期以降の発展過程
第4章 綿から機械へ--歴史的産業連関の1事例
第1節 綿の紡績
第2節 機械の製造
第5章 農村工業と世界市場--産業革命の後衛部門とその構造
第1節 1830年前後までの綿工業
第2節 東スイス織布業と輸出市場
第3節 東スイスとフォルアルベルクの刺繍業
第4節 農村工業と世界市場
第6章 高ライン地域の経済構造--国境をまたぐ経済圏
第1節 高ライン地域東部--東スイスとフォルアルベルク
第2節 高ライン地域西部--アルザス,バーデン,バーデン
第3節 高ライン地域の経済構造とスイス
第7章 スイスの自由貿易主義と統一関税圏の形成過程
第1節 国家連合の時代の関税制度と通商環境
第2節 連邦国家のもとでの統一関税制度
第8章 鉄道建設と交通政策
第1節 国家連合時代の鉄道
第2節 連邦国家と鉄道政策
第3節 連邦鉄道の創設へ
終 章 高ライン地域の産業革命とスイス
第1節 「国民国家」の形成と経済空間
第1節 その後のスイスと高ライン地域
本書の背景と視点
作成中
誤記・誤植一覧
●以下の内容は2002年4月20日時点で確認ずみのものです。御指摘くださいました多くの方に心より御礼申し上げます。
訂正箇所 | 誤 | 正 |
---|---|---|
13頁 写真説明 2行目から3行目 | 当初絹紡績工場として | 当初絹紡績工場の労働者住宅として |
Turicum社の工場 | Turicum社の所有 | |
64頁 6行目 | 中世期 | 中世 |
140頁 註339 5-6行目,および,同7行目 | サン・テチエンヌ・ラボー | ラボー・サン=テチエンヌ |
155頁 3行目 | 1880年代 | 1780年代 |
194頁 8行目 | 輸出代替 | 輸入代替 |
247頁 23行目 | 大陸的では | 大陸では |
254頁 13行目 | 専任経営者 | 専門経営者 |
316頁 21~22行目 | 1829年 | 1828年7月1日 |
316頁 24行目 | 1829年6月 | 1830年1月 |
324頁 6行目 | Exportgesellscaft | Exportgesellschaft |
341頁 下から5行目 | 電機モーター | 電気モーター |
385頁 11行目 | 遷移帯 | 漸移帯 |
405頁 13行目 | Vevein | Verein |
487頁 本文最下行 | 位地 | 位置 |
538頁 和書参考文献101番 | 村上高 | 村山高 |
554頁 索引見出し | 人名索引 | 人名・地名・企業名索引 |
内容に関わる訂正・修正点,その他
ドイツ語表記とフランス語表記の問題について
★複数の方から,とくにアルザスの企業名・人名等の固有名詞について,独仏語発音表記の混同ではないかととの指摘をうけました。本書では,アルザスの社名については,「et」とフランス語で組み合わされている場合でも,明らかにドイツ語圏出身者の家名であり,すくなくとも当時において,フランス語環境の中でもオリジナルなドイツ語発音,アレマン語的発音がされていたと推定される場合には,不統一であってもドイツ語発音にしたがった表記としております。その他,直接スイスでの発音を確認しえたものについては,標準ドイツ語の発音から外れる固有名詞はそのままカタカナをあてています。
ただし,少数,誤認識であるか,あるいは発音の地域的・固有名詞的偏差なのか,確認しえていない固有名詞があり(123頁,Dollufus, Koechlinなど),現在再確認中です。