『中立国スイスとナチズム ―第二次世界大戦と歴史認識―

内容紹介とフォローアップ

ヨーロッパ現代史に残された記憶の空白を啓く

独立専門家委員会 スイス=第二次大戦【第一部原編】 

黒澤隆文【編訳】(第一部1・2・4章訳,第二部1章執筆) 

川﨑亜紀子・尾崎麻弥子・穐山洋子【訳著】

2010年11月10日刊行  菊上製・719+x ページ

定価:税込 9,450円 ISBN978-4-87698-965-2

出版社へのリンク 京都大学学術出版会(直販あり) 

「日本語版のための前書き」(独立専門家委員会ベルジエ委員長)

「この報告書は,第二次大戦中のスイスの役割や行動に関して,1996年から2001年の5年間になされた厖大な調査の結論を総括したものです。人々の記憶と歴史を取り扱うこの重大な任務は,歴史家と法律家,スイス人と外国人の9名からなる,「独立専門家委員会」によって遂行されました。この委員会は,スイス連邦政府によって設けられ,強力な調査権限を与えられたうえで,スイスの内外で大きな論争となっていた一連の問題の全てに答えをだすように求められたのです」

「推薦のことば」(元駐スイス日本国大使・元警察庁長官 国松孝次氏)

「先の大戦中ナチス・ドイツに「協力」したスイスの過去を,比類なく公正かつ真摯に総括して高い評価を得た「ベルジェ委員会」――その最終報告書を多様な論考を付して紹介する本書は,自国の過去に関する「歴史認識」を問われ続ける日本人に大いなる啓発を与えるだろう。

本書に対する書評

◆Pierre-Yves Donze(京都大学白眉センター准教授)Schweizerishe Zeitschrifft fur Geschichte, 2011 Vol. 2 (June)

◆Pierre-Yves Donze(京都大学白眉センター准教授)著「黒澤隆文編訳『中立国スイスとナチズム――第二次世界大戦と歴史認識』」『経営史学』第47巻3号(2012年12月),81-83頁

目 次

日本語版のための前書き――ジャン・フランソワ・ベルジエ

第一部 ナチズム・第二次大戦とスイス 最終報告書 〔翻訳〕

まえがき

1 委員会設立の経緯と課題 (黒澤隆文訳)

1.1 ナチス期のスイス :現在の問題として/1.2 研究対象,課題および方法/1.3 史料の保存状態と閲覧特権

2 国際情勢とスイス (黒澤隆文訳)

2.1 国際情勢/2.2スイスの内政と経済/2.3戦中戦後のスイス/2.4戦争とその帰結/2.5民族社会主義者による犯罪

3 難民と難民政策 (川﨑亜紀子訳)

3.1 :経過/3.2 認識と行動/ 3.3関係者とその責任/3.4費用負担/3.5国境越えとスイス滞在/3.6身代金とと解放/3.7文脈と比較

4 国際経済関係と資産取引 (黒澤隆文訳)

4.1 国際経済関係/4.2兵器産業と軍需品輸出/4.3電力/4.4アルプス通過交通と運輸サービス/4.5金取引/4.6銀行システムと金融サービス/4.7ドイツにおけるスイス保険業/4.8スイスの製造業と在ドイツ子会社――戦略と経営/4.9戦時捕虜と強制労働者の使用/4.10「アーリア化」/4.11各種の文化財の流出・取引・略奪/4.12ドイツによるスイス国内でのカモフラージュ・回避工作

5 法とその運用 (川﨑亜紀子訳)

5.1公法/5.2私法

6 戦後における財産権の問題 (尾崎麻弥子訳)

6.1補償に関する諸概念とその前提/6.2スイスにおける返還の要求 交渉と立法の取り組み/6.3銀行部門,休眠資産とと返還阻害要因/6.4保険業における返還問題/6.5略奪された有価証券の返還問題/6.略奪された文化財の返還問題/6.7カモフラージュ工作と返還要求/6.8結論

7 結論:研究成果と未解明の問題 (尾崎麻弥子訳)

 

第二部 スイスの近現代史と歴史認識 〔日本人研究者による論文〕

はしがき (黒澤隆文)

1 多国籍企業・小国経済にとってのナチズムと第二次大戦 (黒澤隆文著)

1.1国境経済圏の多国籍企業――ゲオルク・フィッシャー社の事例/1.2 二重の封鎖・二つの陣営・双子の法人と二つの本社/1.3 国際比較の試み――小国・中立国・被占領国を中心に

2 スイス・フランス国境地域と第二次大戦 (尾崎麻弥子著)

3 スイスのユダヤ人解放をめぐって――アルザスユダヤ人との関係を中心に―― (川﨑亜紀子著)

4 スイスの外国人政策――19世紀末から「外国人の滞在と定住に関する連邦法(1931年)成立まで――」 (穐山洋子著)

5 スイスの「過去の克服」と独立専門家委員会 (穐山洋子訳)

 

本書の背景と視点

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誤記・誤植一覧

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