2014年12月18日
12月18日(木)に国際経済学セミナーを開催し、University of BirminghamのPierre-Louis Vézina先生に”Production fragmentation, Upstreamness, and Value-added: Evidence from Factory Asia 1985-2005″というタイトルで報告していただきました。
最近の貿易動向に関して,中国は輸出額は大きいものの,中国国内で生産される付加価値額が低いということが多くの研究によって指摘されています. それを踏まえて本稿では,アジア国際産業連関表を用いて,地域内での分業が進んでいるアジアの主要国について,各国の付加価値のシェアとその 1985年~2005年の間の変化を調べました.その結果,他のアジア主要国と比べて,中国の付加価値の国内シェアが必ずしも低いわけではないことや,各国とも1985年~2005年の間に付加価値の国外シェアが上昇しており,生産の国際分業が進展していることが分かること,また1985 年~2005年の間に中国が日本に次ぐアジア地域内の付加価値の源泉として成長していることなど,中国について一般に言われていることが必ずしも データでは確認されないことが報告されました.
さらに,産業の「上流度合い(upstreamness)」を測る指標を横軸にとり,付加価値の国 内シェアの割合を縦軸にとった図に,各国の産業別の値をプロットすると,1985年のデータでは両者の間に明確な関係がないのに対して,2005 年には上流度合いが高い国-産業と低い国-産業ほど付加価値の国内シェアも高いという逆U字の「スマイル・カーブ」の関係が見られることが示され ました.
これらの大変興味深い実証結果について活発な議論が行われました.