京都大学大学院経済学研究科付属プロジェクトセンター

6月27日(土)【制度的経済動学研究会】を開催しました。

2015年07月01日

【研究会開催報告】
6月27日(土)に制度的経済動学研究会が,阪南大学あべのハルカス・キャンパスにおいて開催され,4件の研究報告がありました.参加人数は21名で,それぞれの報告に対して多くの質疑応答がなされ,大変活気のある研究会となりました.
第1報告者の西洋氏(阪南大学)は,日本の各産業の付加価値と労働生産性のデータを用い,産業構造変化と経済成長の関係について実証分析を行いました.90年代以降,それまで縮まりつつあった部門間成長率格差が拡大傾向にあること,産出の構造変化が経済成長率に与える影響が弱まってきていることを明らかにしました.
第2報告者の村上弘毅氏(東京大学)は,消費決定のラグ,投資決定のラグ,投資の懐妊期間に関するラグという3種類のラグを考慮したケインズ的マクロ動学モデルを展開しました.3つのラグのうち,消費決定のラグと投資決定のラグは既存研究で考慮されておらず,ラグの大きさに応じて景気循環が生じうることを示しました.
第3報告者の渡邉敏生氏(甲南大学)は,政府支出を租税と国債で賄うケインズ的マクロ動学モデルを分析しました.国債残高・資本比率が高い状況では,経済安定化にとって金融政策が有効であることを論じました.
第4報告者の阿部太郎氏(名古屋学院大学)は,グローバリゼーション下において所得再分配政策が有効であるかどうかを検討しました.基本となるモデルはBowles (2012)であり,このモデルに有効需要を導入し,資産の再分配政策は賃金と雇用を増大させるとは限らないことを示しました.

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