京都大学大学院経済学研究科付属プロジェクトセンター

5月29日(土)【制度的経済動学研究会 】を開催しました。

2016年05月31日

 

5月29日(日)に制度的経済動学セミナーが,京都大学大学院経済学研究科において開催され,鍋島直樹氏(名古屋大学),吉原直毅氏(マサチューセッツ大学アマースト校),諸富徹氏(京都大学)にご報告いただきました.
 
鍋島氏の報告タイトルは,「金融化と現代資本主義――ポスト・ケインズ派のアプローチ――」 というもので,ポスト・ケインズ派のアプローチにもとづいて,現代資本主義の大まかな見取り図を示しました.まず資本主義の歴史的進化を振り返ったうえで,世界金融危機の構造的な原因と,危機の解決のための方策を探り,これらの考察を通じて,資本主義の行方について論じました.
 
吉原氏の報告タイトルは,「資本主義的世界システムの経済原理」というものです.資本主義社会における経済成長とは資本蓄積およびGDPの成長であり,そのためには資本増大・労働節約的技術革新を媒介とする市場的競争メカニズムが不可欠であることを示しました.そして,今後展望すべきポスト資本主義社会では,経済成長の概念も技術革新の位置づけも変わらざるを得ないことを論じました.
 
諸富氏の報告タイトルは,「資本主義経済の非物質主義的転回」というもので,現代資本主義では,イノベーションを支える制度構築と人的資本への投資の重要性が高まり,それが企業の競争優位を左右するようになってきたことを示しました.そして,一連の実証研究でも,無形資産投資の絶対的かつ相対的な伸びが観察されており,人的投資の重要性を高め,国家が,社会的投資国家としての色彩を強く帯びざるをえないと論じました.

 

 

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