国際農政論 ※専門科目IⅠ 3~4回生配当
授業時間: 2010年度後期、火曜日3限
講義内容: 農業政策の是非は、農業問題へのリアルな視点を抜きに語ることはできない。事実、新自由主義的グローバリズムに沿った農業政策は、農業を「構造改革・貿易自由化の障碍」と捉え、市場原理主義が農民、農村、食料に及ぼしてきたor及ぼしうる負の影響への反省を欠いている。本講義は、主として1980年代後半以降の国際的な農業政策の展開過程を振り返りながら、その政治経済的な背景と各国・各地域の農業構造に及ぼしてきた影響を実証的に明らかにする。その際、農産物・食料の生産・加工・流通過程で市場影響力を強めるとともに、政策形成過程でも強大な政治力を行使している多国籍アグリビジネスの動向にも注目する。さらに、こうした「上からのグローバル化」に対抗してローカルから胎動しつつあるオルタナティブな農と食をめざす取り組み
(「下からのグローバル化」) にも焦点を当てながら、今後の農業政策のあるべき方向性について考えてみたい。
1. 世界「食料危機」の構造と国際社会の対応 (2010.10.5)
2. 農業・食料の支配構造:国際政治経済学アプローチ (2010.10.12)
3. GATT・WTO交渉と多国籍アグリビジネス(1)全体構造 (2010.10.19)
4. GATT・WTO交渉と多国籍アグリビジネス(2)バナナ紛争 (2010.10.26)
5. GATT・WTO交渉と多国籍アグリビジネス(3)GMO紛争 (2010.11.2-9)
6. GATT・WTO交渉と多国籍アグリビジネス(4)綿花紛争 (2010.11.9-16)
7. バイオ燃料ブームの政治経済学(1) (2010.11.30)
8. バイオ燃料ブームの政治経済学(2) (2010.12.7)
9. 多国籍アグリビジネスの事業展開と「企業の社会的責任」(1) (2010.12.14)
10. 多国籍アグリビジネスの事業展開と「企業の社会的責任」(2) (2010.12.21))
11. 農業と食料のグローバル・ガバナンスを展望する (2011.1.11)
12. 期末試験 (2011.2.1)
評価: 期末試験
参考書: 大塚茂・松原豊彦編『現代の食とアグリビジネス』有斐閣、2004年
本講義と関連のある他の科目:
<前提> 社会経済学入門、社会経済学1・2、現代経済事情、経済政策論1・2、農業経済論、地域開発論
<関連> 世界経済論、国際経済学、欧米経済史、ヨーロッパ経済論
オフィスアワー: 授業終了後15:00~16:00
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