京都大学大学院経済学研究科付属プロジェクトセンター

スマート・グリッド・エコノミクス

プロジェクトリーダー

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依田 高典(いだ たかのり)

京都大学 大学院経済学研究科 教授

プロジェクト概要

本プロジェクトでは、フィールド実験のランダマイズド・エクスペリメント手法を用いて、電力消費に関する個票データに基づいて、ピークカット・ピークシフトのトリートメント効果評価を行い、それら経済効果の日米国際比較を通じて、日本のスマートグリッドの経済効果の測定を行う。

 

研究方法

本研究の基礎となるフィールド実験のランダマイズド・エクスペリメント(Randomized Experiment, RE)手法の学問的背景について説明する。米国エネルギー省では、連邦予算に基づくスマートグリッド社会実験のガイドラインを策定し、経済効果を正しく測定するために、産官学のテクニカル・アドバイザリー・ボードを立ち上げ、RE社会実験を推奨している。RE社会実験は既に開発経済学や労働経済学の分野ではセルフセレクション・バイアスを排除して真のトリートメント効果を得るための必須なツールとして定着しているが、今後、大規模な産業政策へも適用が求められていくと予想される。

 

期待される成果

研究のカバーする範囲は、経済産業省が現在、推進しているスマートグリッド国内実証プロジェクトの個票データを用いて、①時間帯別料金・ピーク料金・オフピーク料金などのダイナミックプライシング、②電力消費の見える化など、情報提供を主要としたトリートメント効果である。また、どれだけの①総電力消費量削減、②電力消費デマンドピークカット、③電力消費デマンドピークシフトがあったかを定量的に測定する。こうした経済効果をもとに、電力不足が懸念される日本経済においてどのような料金体系を作れば良いのか、有用な需要弾力性情報が得られる。小売り全面自由化や発送電分離など、将来の電力産業の規制改革において、スマートグリッドを活用したデマンド・レスポンスの経済効果は事業者・政府の双方にとって貴重な参考資料として活用される。

 

環境省ナッジ事業

2019年度、依田 高典 京都大学教授(事業代表者)、伊藤 公一朗 シカゴ大学准教授(海外アドバイザー)、北川 透 ユニバーシティカレッジ・ロンドン准教授(海外アドバイザー)の研究グループは、環境省の委託事業として、booost technologies 株式会社やロバスト・ジャパン(株)と協働して、世帯の節電・省エネのフィールド実験に取り組んでいます。2019年度冬期には、来年度以降の実証事業の大規模な展開を見据え、7日間の「無理せず楽しく節電!DAY」プロジェクトを企画・運営し、協力小売電気事業者の需要家約700世帯を対象に、報酬(リベート)の提供が節電行動に与える効果を検証するための実証実験を行いました。

 
2019年度環境省ナッジ事業 実証結果報告
 

プロジェクトメンバー

リサーチ・フェロー

名前 所属 職名
伊藤 公一朗 シカゴ大学公共政策大学院
ハリススクール
Associate Professor
牛房 義明 北九州市立大学 
経済学部経済学科
教授

 

学外研究協力者

名前 所属 職名
田中 誠 政策研究大学院大学
【GRIPS】
教授
後藤 励 慶應義塾大学大学院
経営管理研究科
教授
王 文傑 南洋理工大学 助教
村上 佳世 関西学院大学経済学部 准教授

 

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