京都大学 大学院経済学研究科・経済学部

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教授

坂出 健(さかで たけし)

基本情報
  • 学位:
    京都大学大学院経済学研究科
  • 担当講義科目:

    【学部】

    【大学院】
  • 専門分野:
    欧米経済史
  • キーワード:
    航空機産業、原子力産業、国際政治経済学
主要著作・論文
  • 坂出健「プロジェクト・キャンセルをめぐる米英航空機生産提携の形成」『アメリカ経済史研究』第2号,2003年
学生にすすめる本

みなさんには,これからの4年間で,講義や演習などを通じて,多くの知識に触れ,吸収する機会があるのですが,そうした情報もうまく整理されないとあまり意味がありません。卒業論文を執筆する人は,自分で収集した文献や事実を収集する段階から整理していないと,いざ執筆の段になって,「あの論文どこにあったっけ……?」となり,貴重な時間と思考の流れを損なうことになりかねません。ここでは新旧の情報整理に関わる本を三冊紹介します。〔1〕野口悠紀雄『「超」整理法 情報検索と発想のシステム』(中公新書,1993年)- 本書は,「情報を分類することがそもそも不可能・危険・ムダである」という認識に基づき,すべての紙媒体の情報を角型二号(A4)封筒に入れ,内容とは関係なく,時間軸という唯一信頼できる検索キーにしたがって,本棚の左端から並べるという方法をとっている。私もトライしてみて,その合理性に感動したのですが,いくつかの試行錯誤を経て,本棚の[「超」整理]部分は一部残存しているものの,基本的には従来の「知的生産」方式に回帰してしまいました。「知的生産」方法とは,〔2〕梅棹忠夫『知的生産の技術』(岩波新書,1969年)で提唱された方法で,一枚一項目の原則で,規格化されたカードに情報を書き込み整理するというやりかたです(時計台下の生協購買部にこの京大方式にカスタマイズされたカードが販売されています)。〔1〕と〔2〕は,ファイリング・キャビネットの有用性をめぐる評価の違いに端的にあらわれるように,整理する・しないという鋭い衝突が存在するのですが,両方を試してみるなかで,〔1〕と〔2〕の共通性,つまり情報を整理するときの守るべき原則というものに気づきました。その原則というのは(1)紙媒体情報がすべてタテになっており(積まれておらず),それらがヨコから一覧でき,必要な情報が取り出せる状態にある,そのために(2)整理段階での規格化が不可欠であり,(3)整理される情報と整理スペースの適切なバランスが必要である,などである。また,〔2〕も実は「分類しない」方式である。くりかえしカードをくり,いろいろくみあわせることによって「未整理のカード」を発見し,創造につなげていくという一種の発想法なのである。このカードを使った発想法という点では,〔3〕川喜田二郎『発想法 創造性開発のために』(中公新書,1967年)が参考になる。観察・記録・分類・統合のプロセスにおいてカードのグループ編成を通じていかに発想するかという点を探求したこの方法(著者の頭文字をとって KJ法)は,野外科学・共同研究のなかで育まれたという点で,文系での個人研究とは異なる部分も多いが,発想の方法という点でたいへん勉強になる。みなさんも,いろいろな方法を試して自分にあった整理法(つまり,発想法)を考案して下さい。

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