京都大学 大学院経済学研究科・経済学部

研究科長・学部長あいさつ

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経済学研究科長 経済学部長
若井 克俊

京都は歴史的に日本文化の中心地であり、今なお多くの伝統産業が盛んである一方で、世界 屈指の先端技術をもつ多くの革新的な企業を輩出し、今日では世界のイノベーション・セン ターとしての地位も確立しています。また、京都は世界有数の大学の集積地域であり、約40校の大学で15万人の学生、それに1万2千人を超える外国人留学生が学んでいます。京都大学経済学部は、1919年に設立され、日本の大学でも最も長い歴史を持つ経済学部の一つです。この100年を超える歴史を通じ、本学部は研究と教育両面において経済学の発展に大きく貢献してきました。個性豊かな歴代教員たちは、独創的な研究を行い、それを教育に還元してきました。本学部で学んだ後、日本各地そして世界各国の大学で研究する数多くの経済学者が学界をリードしています。われわれの特色は、京都という地域に相応しい「伝統と革新」、そして京都大学の先人たちによって共有されてきた「リベラルな知的雰囲気」にあります。近年では優秀な若手教員を積極的に採用し、世界的に見て高い水準の研究成果を生み出しております。


経済学部には、1,000名を越える学生が在籍しており、入門科目から専門科目へと積み上げ て履修していく深い専門性と、各科目を4つのコースに分類し隣接科目も柔軟に履修できる広い学際性を兼ね備えた体系的なカリキュラムを提供しています。また、少人数教育を重視しており、3・4回生に対してゼミナールを開講しています。近年では、国際交流協定を締結している海外の大学への留学も盛んです。さらには、一定の要件を満たせば、学部4回生から大学院科目を受講し、修士課程を1年で修了できる「学士・修士5年プログラム」(修士課程短期修了制度)も整備しています。このように充実した教育システムのもとで、学部生は自分の目標を定め個性を伸ばすことができます。そして本学部の卒業生は、大学院へ進学して研究者を目指す人から、内外の民間企業や官公庁に就職し、国内のみならず海外においても第一線で活躍する優秀な人材を多く輩出しています。


1953年に設置された大学院経済学研究科には、現在では200名以上の大学院生(うち100名以上が海外からの留学生)が在籍しています。2019年に修士課程の組織改編を行い、①博士後期課程進学そして研究者になることを目指す「研究者養成プログラム」と、②社会の要請に応えるべく専門的かつ実践的な経済学的分析能力の習得を目指す「高度専門人材養成プログラム」を開設しました。それぞれのプログラムの目的に沿った多様な科目を配置し、充実したカリキュラムを用意しています。そして博士後期課程では指導教員による指導、各種セミナーへの参加・発表を経て高いレベルの博士学位論文の執筆に注力します。また国際化を一層推進するため、2009年に「東アジア持続的経済発展研究プログラム」、2021年に「国際連携グローバル経済・地域創造専攻」を設立し、世界各国から優秀な学生を募り、原則として英語で講義を行っています。


本研究科・学部には、57万冊もの蔵書を誇る経済学研究科・経済学部図書室や、Wi-Fiを通じてデータベースや電子ジャーナルにアクセスできるなどの知的インフラが整備されており、経済学の研究・勉学を行うために最高の環境が提供されています。また、経済学部には、文系入試、理系入試、特色入試、外国学校出身者、3年次編入などの各種の方式を通じて選抜した学生が入学します。ここには高度な文科的素養を持つ者、理科的才能に秀でた者、様々な国の出身や学歴を経た者が含まれ、その多様性は京都大学の中でも屈指と言えます。様々なバックグラウンドを持つ学生たちがゼミナール等で出会い、教員や先輩を交えて議論し切磋琢磨することで、創造性が刺激され、人間的成長を遂げ、知識創造社会の発展に貢献しうる人材として育っています。私たちは、そのような空間を大切にし、これからも一層充実させるため不断に努力する所存です。