東日本大震災、とりわけ、福島第一原子力発電所の事故によって、我々は、日本の電力供給システムのあり方について、考え直さなければならないことに気がつきました。東京電力管内での計画停電や、その後全国に広がった電力不足は、これまで、安定的な電力供給を保障してきた、日本の電力供給システムへの疑念をもたらしました。集中電源による、一方向型の大量送電システムは、電源が事故で損傷すると、システム全体が停止してしまうリスクが、初めて明らかとなったのです。
一方で、エネルギーの低炭素化をどう進めるか、という点は、重要な課題となっています。原子力発電のリスクが明らかになった今、原子力への依存度を下げ、なおかつ、火力発電にも傾斜せず、エネルギーの低炭素化を進めるためには、再生可能エネルギーの飛躍的拡大が必要になってきます。再生可能エネルギーに立脚した、分散型電力供給システムに転換することが、エネルギーの安定供給と低炭素化を実現する、革新的な方法だといえます。
さらに、再生可能エネルギー発電事業に各地域が取り組みことで、産業と雇用を創出し、売電事業を通じて都市から農山村への資金還流を促すことができると考えています。そして、そこから生み出された資金を、地域に再投資することで、持続可能な発展の基盤を創出することが可能となります。このことを可能にするために、その事業経営体が、外部資本ではなく、その地域の住民によって担われることを想定しています。