Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

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京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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No.4 日本の公営企業と独シュタットベルケの財務分析比較

2019年9月30日
京都大学大学院地球環境学舎研究科 坂本 祐太

 これからの再生可能エネルギー推進においては地域でそれを推進する主体が重要であり、その主体論の発展において日本の公営企業は独シュタットベルケの経営力を参考にできるのではないかと考えた。そこでドイツのシュタットベルケと、シュタットベルケの事業に該当する日本の公企業において、社会インフラ関連に準じた6つの事業区分に分類し財務分析を行った。財務分析の要点は以下の3つにまとめられる。

(1)ビジネスモデルの顕著な違いが見られる。シュタットベルケの業績はエネルギー事業部門の売上に大きく依存しており、また事業トータルな収益は交通事業の赤字を補填することを可能にしている。対して、日本の公営企業はシュタットベルケと異なり赤字補填の概念はなく、分離された個々の事業分野の効率化に焦点を当てなければならない。

(2)シュタットベルケは日本の公営企業よりもはるかに高い投資収益性と資産効率を示している。その原因は、バランスシートにおける資産と資本における構造的な違いにある。

(3)日本の公営企業はシュタットベルケに対して個々では高いROSを示す事業区分もあるが、ROEおよびROAのパフォーマンスが総じて低い。これは、バランスシートの資産額が巨大であり、特に高い固定資産額を誇り、従って資産回転率が低い水準となっていることが原因である。さらに、日本の公営企業の内、比較的高い収益性を示す事業区分は売上高補助金比率が低いのだが、同時に高い自己資本比率を保持していることから資本効率は低い水準を示している。

 この研究で明らかになった日本の公営企業の投資効率の構造的な課題は、今後日本の公営企業が法人化・民営化する際の方向性、そして目標値の設定やビジネスモデルの設計に参考となる可能性がある。

キーワード:財務分析、シュタットベルケ、日本の公企業、KPI分析、ビジネスモデル比較、再生可能エネルギー