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京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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No.5 Public Valueを織り込むPublic Corporate Governanceの在り方
- ドイツ・シュタットベルケの事例研究からの考察副題 -

2019年10月15日
立命館大学経営学部国際経営学科教授 ラウパッハ スミヤ ヨーク

 1980年から始まったNew Public Management(NPM)の流れを受け、多くの自治体は、元々行政組織の一部であった公共サービス提供の遂行責任を行政組織から切り離し、法人格や独立経営組織を有する「公企業」に移転している。このような「法人化」(corporization)と代理人化(agencification)は、プリンシパル=エージェント理論が論じている、様々なガバナンスの課題を抱えている。しかし、公企業のガバナンスは、民間企業の企業統治論と多くの本質的な相違点があるとPublic Corporate Governanceの学術領域で議論されている。本論文は、公共サービスの法人化と代理人化によるガバナンスの特徴と、公企業のパフォーマンス評価方法に分析の焦点を与えている。ドイツの社会インフラ・サービスの総合提供事業者であるシュタットベルケ(都市公社)の事例研究を通じて、NPMの限界を論じる上、その拡張として、公営企業の社会的な「公共価値」(=Public Value)を重視する論理的なフレームワークや評価仕組みを紹介する。そして、Public Valueを織り込むPublic Corporate Governanceの可能性或いはその在り方を考察していく。結論として、高度なPublic Corporate Governanceの仕組みを誇れるドイツのシュタットベルケは、経済効率を徹底していると評価する反面、社会的なアウトカムである「成果」を十分にガバナンスに反映できない。公企業にとって重要な競争差別要因になりうる「公共価値」重視のガバナンスに関心が高まっているが、その実践的な制度設計と運営に多くの課題が残っているという結論に至る。

キーワード:公企業、独シュタットベルケ、パブリック・バリュー