Research Project on Renewable Energy Economics, Kyoto University

京都大学経済学研究科

再生可能エネルギー経済学講座

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No.8 複数国の半導体産業企業の環境生産性分析

2020年1月25日
京都大学大学院経済学研究科 再生可能エネルギー経済学講座 研究員 栗田郁真

 2015年に採択されたパリ協定の下、日本は2017年に温室効果ガスの排出削減に向けた長期的戦略「長期低炭素ビジョン」を公表し、そのなかで、炭素生産性やエネルギー生産性の大幅な向上が不可欠であることを論じている。炭素・エネルギーを含めた生産性に対する社会的関心が高まっていることから、本稿は、世界各国に点在する半導体産業を事例として、資本・労働・エネルギーを投入物、売上高を産出物、温室効果ガスをのぞましくない産出物と見なして、それらの要因を合算して生産性を分析するデータ包絡分析を実施した。先行研究において複数の国に点在する企業のデータ、特にエネルギー消費量に関するデータを収集することが困難であったが、本稿は、Global Reporting Initiativeを順守した企業が発行する環境報告書に掲載されているエネルギー消費量および温室効果ガス排出量のデータを利用した。投入物と産出物を考慮した無志向/投入志向/産出志向のモデル、ならびに投入物と産出物とのぞましくない産出物を考慮したモデルを設定し、2018年の25社の半導体産業企業を対象に分析を行ったところ、資本・労働・エネルギー・売上高で評価して効率的でないと評価された企業は、それらに加えてGHGを加味した場合にその効率性はさらに低く評価されることが明らかとなった。

キーワード:データ包絡分析(DEA)、半導体産業、環境生産性、炭素生産性、国際比較